著者:喜多 陽平 / Kita Yohei

メディア・パブリッシャー向け|AIに選ばれるためのクエリ設計ガイド

読者はAIに対して、いきなり「〇〇というメディアは信頼できる?」と聞くとは限りません。

クエリ設計とは、ChatGPTやGeminiなどの生成AIに対して、自社メディアが引用・参照されてほしい質問(クエリ)を意図的に洗い出し、監視・改善の対象として登録する作業です。メディア・パブリッシャーのGEO対策では、媒体名だけを登録しても不十分です。読者がAIに相談する「トピック・専門分野・比較・信頼性」の文脈ごとにクエリを設計することが、AIに引用元として選ばれるための起点になります。

たとえば、「円安が続く理由を教えて」「経済ニュースに強いメディアは?」「A社とB社、どちらの経済ニュースサイトが信頼できる?」「〇〇の報道は信頼できる?」——このように、トピック・専門分野・比較・信頼性の文脈で相談します。Genviewでは、こうしたクエリをTOFU・MOFU・BOFUの3段階に分けて設計します。

そもそもメディア・パブリッシャーでGEO対策がなぜ必要なのかは、メディア・パブリッシャー向けGEOとはで解説しています。

※メディア・パブリッシャーは、他業界のように「商品を買う」のではなく「情報源として信頼し、引用元に選ぶ」という文脈が中心になります。そのため本記事では、TOFU・MOFU・BOFUの定義を媒体向けに読み替えています(TOFU=特定の媒体を意識していない一般的なトピック質問、MOFU=どの媒体の報道を信頼すべきか比較している段階、BOFU=特定の媒体・記事の信頼性を最終確認する段階)。

この記事でわかること

  • TOFU・MOFU・BOFUという3段階でのクエリ設計の考え方(メディア向けの読み替え方)
  • メディア・パブリッシャーで登録すべき5つの文脈
  • そのまま使えるクエリ例

この記事は、メディア・パブリッシャーのGEO対策で「実際にどんなクエリを登録すればいいか」を具体的に示す実践ガイドです。メディア・パブリッシャー向けGEOとはが「なぜGEO対策が必要か」を解説する概論記事だとすれば、この記事は「では何を監視すればいいか」に直接答えるものです。以下のクエリ例は、自社の媒体名に置き換えるだけで、Genviewへのクエリ登録にそのまま使えます。

1. TOFU:特定の媒体を意識していない段階

TOFUは、読者がまだ特定の媒体名を意識せず、一般的なトピックについてAIに質問している段階です。この段階では、そのトピックに関する回答の中で、自社メディアの記事が引用元として使われるかを確認します。

たとえば「円安が続く理由を教えて」「生成AIが経済に与える影響を教えて」のように、時事的なトピックそのものを起点にクエリを作ります。ここでは、まだ「どの媒体の報道が正しいか」という比較にすら至っていないことがポイントです。

ここで自社メディアが引用元として出てこない場合、AIから見ると「そのトピックに対する信頼できる情報源」として認識されていない可能性があります。

2. MOFU:どの媒体を信頼すべきか比較している段階

MOFUは、読者が複数の媒体を比較し、どこの報道を参考にすべきか検討している段階です。カテゴリ内での比較だけでなく、「A社とB社、どちらの経済ニュースサイトが信頼できる?」のように具体的な媒体名を挙げた比較も、まだ判断を決めきっていない以上MOFUに含まれます。

この段階では、他媒体と比べたときに、自社メディアが参照元として選ばれる理由をAIが説明できるかを確認します。たとえば「独自取材に強い経済メディアを比較して」「A社とB社、どちらの報道が正確?」のように、専門性比較・速報性比較・媒体名指定の比較を登録します。

MOFUでは、自社が比較候補に入っているかだけでなく、独自取材の有無・速報性・専門性・データの正確性など、どの評価軸で語られているかを見ることが重要です。

3. BOFU:特定の記事・媒体の信頼性を最終確認する段階

BOFUは、読者がすでに1つの媒体・記事に絞った上で、それを引用・信頼していいか最後の確認をしている段階です。他媒体との比較ではなく、「この媒体・この記事でいいか」の最終確認である点がMOFUとの違いです。

この段階では、自社メディアや特定の記事について、AIが正確に説明できているかを確認します。たとえば「〇〇の報道は信頼できる?」「〇〇のこの記事は独自取材に基づいている?」のようなクエリです。

BOFUでは、報道の正確性、独自性、記者の専門性、他媒体との内容の食い違いなどについて、AIが誤った情報や古い情報を出していないかを確認します。

4. メディア・パブリッシャーで登録すべきクエリの考え方

メディア・パブリッシャーでは、最低限以下の5つの文脈を入れるのがおすすめです。「トピック」「専門分野」「カテゴリ」はTOFU、「比較」はMOFU、「信頼性」はBOFUに相当します。

メディア・パブリッシャーで登録すべき5つの文脈
文脈 目的 クエリ例
トピック 時事トピックの回答で引用元候補に入るか見る 円安が続く理由を教えて
専門分野 特定の専門テーマで参照されるか見る スタートアップの資金調達動向を教えて
カテゴリ 媒体カテゴリ内で認識されているか見る 経済ニュースに強いメディアは?
比較 他媒体と比べて参照元に選ばれる理由を見る A社とB社、どちらの経済ニュースサイトが信頼できる?
信頼性 引用前の信頼性確認に正しく答えられるか見る 〇〇の報道は信頼できる?

媒体名だけでなく、読者がAIに実際に相談しそうな言葉に置き換えて登録することが重要です。本記事では「ビジネス・経済ニュース」を例にしていますが、テクノロジー・ライフスタイル・スポーツなど、自社の主力分野が異なる場合は、上記の文脈をその分野に読み替えてクエリを設計してください。

5. そのまま使えるクエリ例

※本記事では「ビジネス・経済ニュース」を例にクエリを紹介しています。実際に登録する際は、自社の主力分野に置き換えてご利用ください。

TOFU:トピック段階のクエリ例

  • 円安が続く理由を教えて
  • 生成AIが経済に与える影響を教えて
  • 最近の株価上昇の背景を教えて
  • 中小企業の人手不足対策について教えて
  • インフレが家計に与える影響を教えて
  • スタートアップの資金調達動向を教えて
  • 今年の景気見通しを教えて
  • 働き方改革の最新動向を教えて
  • サブスクリプション経済の広がりについて教えて
  • 業界再編の動きを教えて

MOFU:媒体比較段階のクエリ例

  • この件についてどのメディアが詳しく報じている?
  • 経済専門メディアと一般メディア、どちらが詳しい?
  • A社とB社、どちらの経済ニュースサイトが信頼できる?
  • 独自取材に強い経済メディアを比較して
  • 速報性が高い経済ニュースメディアはどこ?
  • 業界専門メディアと大手新聞、どちらが専門的な分析をしている?
  • 海外経済ニュースに強いメディアを比較して
  • データジャーナリズムに強いメディアを比較して
  • 〇〇と△△ならどちらの報道が正確?
  • 有料会員限定記事が多いメディアと少ないメディア、どちらが情報量が多い?

BOFU:信頼性確認段階のクエリ例

  • 〇〇の報道は信頼できる?
  • 〇〇の記事は独自取材に基づいている?
  • 〇〇のこの記事は正確?
  • 〇〇の経済報道の評判は?
  • 〇〇はどんな読者層に向いている?
  • 〇〇の有料会員登録は必要?
  • 〇〇の速報性は高い?
  • 〇〇の記者の専門性は高い?
  • 〇〇と他のメディアで報道内容に食い違いはある?
  • 〇〇はどこで読める?

まとめ

  • メディア・パブリッシャーのGEO対策では、媒体名だけを見るのではなく、読者がAIに相談する文脈ごとにクエリを設計することが重要
  • TOFUでは、特定の媒体を意識していない読者の時事トピック
  • MOFUでは、カテゴリ内での比較や具体的な媒体名を挙げた比較
  • BOFUでは、1媒体・1記事に絞った上での信頼性の最終確認
  • この3段階でクエリを登録することで、AI上で自社メディアがどのように認識・引用・比較されているかを確認できる

よくある質問

Q: 「〇〇の報道は信頼できる?」のように自社名を含むクエリだけ登録すれば十分ですか?
A: 自社名を含むクエリ(BOFU)はAIが自社をどう説明しているかの確認に欠かせませんが、それだけでは不十分です。読者の多くは、まだ媒体名を意識していない段階で「円安が続く理由」のような時事トピックそのものをAIに尋ねます。自社名を含まないTOFU・MOFUのクエリも登録することで、そのトピックの回答で自社が引用元として使われているかを確認できます。
Q: 他媒体からの被リンクが多ければ、AIに引用されますか?
A: 被リンクはAIの認識に一定の貢献をしますが、それだけで引用が保証されるわけではありません。AIは一次情報性・著者の専門性・情報の鮮度など複数の要素から引用元を判断するため、クエリ設計と合わせて、記事側の構造(結論を先に示す・著者情報を明記する等)を整えることが重要です。詳しくはメディア・パブリッシャー向けGEOとはで解説しています。
Q: 登録したクエリで成果が出ているか、どう確認できますか?
A: Genviewでは、標準対応のChatGPT・Geminiに加え、Perplexityなどをオプションで追加すれば、登録したクエリごとの出現状況を継続的に計測できます。施策を実行した前後で、AIの説明がどう変わったか・競合メディアとの差が縮まったかを、クエリ改善(適合・誤認識・言及なしの分類)とブランド認識改善(認識一致率)という2つの指標で数値として追えます。まずは14日間の無料トライアルで現在のAI認識を確認し、対策の出発点を把握することをおすすめします。

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