著者:喜多 陽平 / Kita Yohei
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GEO対策の始め方とは|まず何から着手すべきか

GEO対策は、いきなり記事を書き換えたり、外部メディアへの掲載を増やしたりするところから始めるものではありません。

最初に決めたいのは、「AIに自社をどう認識・推薦してほしいか」と「ユーザーがどのような質問をしたときに自社が選ばれたいか」です。そのうえで、ChatGPTやGeminiなどの実際の回答を確認し、理想と現状のギャップを特定します。

GEOそのものの意味や基本的な考え方については、GEOとは?|AIに選ばれるブランドのための生成エンジン最適化入門で詳しく解説しています。

30秒でわかる結論

GEO対策は、「理想を決める → 現状を測る → 自社情報を整える → 第三者情報を整える → 再計測する」の5ステップで進めます。

  • 最初に「どの質問で、どのように選ばれたいか」を決めます。
  • AI回答では、言及・推薦・引用・情報の正確性を分けて確認します。
  • 自社サイトだけでなく、AIが実際に参照する比較サイト・専門メディアなども確認します。
  • Genviewの15業界450クエリ調査では、AI引用URLとGoogle上位10位の重複率は合算25.0%でした。
  • 一度整備して終わりではなく、AI・クエリごとに継続して測定します。

この記事でわかること

  • GEO対策を始める5つのステップ
  • 最初に設定すべきAIクエリ
  • 自社サイトと第三者サイトで確認すべき情報
  • GEOで見るべき計測指標
  • 初めて取り組む際の注意点

GEO対策は「施策」ではなく「計測と改善のサイクル」で考える

GEO対策というと、「FAQを増やす」「構造化データを入れる」「メディア掲載を増やす」「llms.txtを設置する」といった個別施策から考えがちです。

しかし、何が不足しているかは企業・業界・クエリによって異なります。

理想のAI認識 → 確認クエリ → 現在のAI回答 → ギャップの特定 → 改善 → 再計測

たとえば、すでに自社サイトは正確に引用されているものの、「おすすめの○○」では競合しか推薦されていない企業に対して、構造化データだけを追加しても、本当の課題を解決できるとは限りません。

逆に、自社は推薦候補に入っていても、料金や機能を古い情報で説明されているなら、優先すべきは公式情報と外部情報の更新です。

GEOでは、「何となくAIに良さそうな施策」を順番に実施するのではなく、AI回答を確認して不足している部分から改善することが重要です。

GEO対策を始める5つのステップ

ステップ1|理想のAI認識と確認クエリを決める

最初に、「AIに自社をどう紹介してほしいか」を言語化します。

たとえば、単に「CRM企業として認識されたい」では十分ではありません。

「EC・通販事業者向けに、メール・LINE・顧客データを統合できるCRMとして紹介されたい」のように、誰に対して、どのような強みを持つ企業・サービスとして認識されたいのかまで具体化します。

そのうえで、その理想が実際のAI回答に反映されているかを確認するクエリを作ります。

クエリは、検索キーワードをそのまま置き換えるのではなく、ユーザーがAIに相談する自然な質問として設計します。

検討段階 質問例 主に確認すること
発見・課題解決 「○○を改善するには?」「○○に向いているサービスは?」 カテゴリや解決策として認識されるか
比較・選定 「おすすめは?」「AとBの違いは?」「○○向けを比較して」 推薦候補、比較理由、選定理由
指名・事実確認 「Aの料金は?」「Aには○○機能がある?」 公式情報の引用、説明の正確性

「GEO対策でどのキーワードを取るか」ではなく、「どの相談で自社を選んでもらいたいか」から逆算するのがポイントです。

ステップ2|ChatGPT・Geminiで自社と競合の現在地を測る

クエリを決めたら、ChatGPTやGeminiなどに実際に質問を入力します。

このとき確認したいのは、自社名が出るかどうかだけではありません。

  • ブランドが言及されているか
  • 比較・推薦候補に入っているか
  • どのように説明されているか
  • 説明内容は正確か
  • どのURL・ドメインが引用されているか
  • 競合はどの情報源を通じて評価されているか

「引用されている」と「選ばれている」は同じではありません。

たとえば、自社サイトの記事がAI回答の情報源として引用されていても、おすすめ企業としては競合しか紹介されていないケースがあります。

反対に、自社サイトが引用されていなくても、比較サイトや専門メディアを根拠として、自社ブランドが推薦候補に入ることもあります。

そのため、GEOでは「自社URLが引用されたか」だけを成果指標にしてはいけません。

Genviewが15業界450クエリを対象に行った調査では、AI引用URLとGoogle上位10位の重複率は、ChatGPTで13.9%、Geminiで29.0%、合算で25.0%でした。

指標 ChatGPT Gemini 合計
AI引用URL数 2,142件 5,864件 8,006件
Google上位10位との一致数 298件 1,703件 2,001件
重複率 13.9% 29.0% 25.0%

対象:15業界、各30クエリ、合計450クエリ。調査時点:2026年8月。

海外でもAhrefsが15,000プロンプトを調査し、ChatGPT・Gemini・Copilotが引用したURLのうち、同じプロンプトでGoogleトップ10に入っていたものは平均12%だったと報告しています。

2つの調査は対象や調査方法が異なるため数字を直接比較することはできませんが、共通しているのは、SEO順位を見るだけではAIが実際に使っている情報源を把握しきれないという点です。

Genviewの調査方法と業界別の結果については、SEO上位サイトはAIにも引用されるのか?15業界450クエリをChatGPT・Geminiで調査で詳しく公開しています。

ステップ3|自社サイトの公式情報・一次情報・構造を整える

AI回答の現状を確認したら、自社サイト側の不足を改善します。

ここでは、「公式情報」「一次情報」「技術・構造」の3つを分けて考えると整理しやすくなります。

公式情報を正確に整理する

まずは、自社が事実として公開すべき情報を確認します。

  • 商品・サービス内容
  • 料金
  • 機能
  • 対象ユーザー
  • 対応地域・条件
  • 会社情報
  • 実績
  • 導入方法

特に注意したいのが、新旧情報の混在です。

料金改定やサービス内容の変更後も古いページが残っていると、AIが旧ページを参照して古い情報を回答することがあります。

Genviewが自社サービスの料金・機能変更後を2週間定点観測した実験でも、AIごとに新情報への切り替わり方が異なり、一度新情報を回答した後に旧情報へ戻る「揺り戻し」も確認されました。

詳しくは、AIの回答はいつ最新になる? 自社サービスの機能・価格変更を2週間、定点観測してみたをご覧ください。

AIが引用する理由になる一次情報を増やす

次に重要なのが、自社だからこそ出せる情報です。

一般論をまとめただけの記事は、同じ内容を多くのサイトやAI自身が説明できます。一方、独自調査、実験データ、導入事例、顧客データ、具体的な実績、専門家による実務経験などは、他社がそのまま代替できません。

Googleも生成AI検索向けの公式ガイドで、一般化された「commodity content」ではなく、ユーザーにとって独自で有用な「non-commodity content」を作ることが長期的に重要だと説明しています。

GEO対策だからと大量の記事を新しく作るのではなく、「自社にしか出せない根拠は何か」からコンテンツを設計することが重要です。

AIや検索エンジンが取得・解釈しやすい構造にする

内容が整ったら、Webページとして取得・解釈しやすい状態も確認します。

  • 分かりやすい見出し構造
  • 結論を先に示す文章構成
  • FAQ
  • schema / JSON-LD
  • canonical
  • XMLサイトマップ
  • robots.txt
  • AIクローラーのアクセス可否
  • llms.txt

Googleも、AI OverviewsやAI Modeを含む生成AI検索について、従来のSEOのベストプラクティスが引き続き有効であると説明しています。

ただし、「AIが読める状態」と「AIに選ばれる状態」は同じではありません。

構造化データを設置しただけで、自社が比較候補や推薦候補になることが保証されるわけではありません。また、Googleは生成AI検索向けに特別なschema.orgマークアップは不要としています。

llms.txtも同様に、GEOの必須施策ではなく補助的な技術整備として位置づけるのが適切です。

ステップ4|AIが参照する第三者情報と外部言及を整える

GEOでは、自社サイトだけを改善して終わりではありません。

AI回答では、比較サイト、業界メディア、ポータル、レビュー、専門家記事など、自社以外の情報源を根拠として企業や商品が説明されることがあります。

そこで重要なのが、「有名なサイトへ片っ端から掲載する」のではなく、自社にとって重要なクエリでAIが実際に参照している情報源を確認することです。

Genviewの15業界450クエリ調査では、Google上位サイトの中でAIにも引用されたサイトタイプを分析したところ、全体では公式サイトのAI引用移行率が最も高かった一方、業界によって傾向が異なりました。

引用構造 主な業界例 最初に確認したい情報源
公式サイト型 アパレル、食品・飲料、家電、旅行、士業、医療 公式ページ、一次情報、FAQ、仕様・根拠情報
比較サイト型 中古車、不動産、化粧品、サプリ、保険、引っ越し 主要ポータル、比較サイト、掲載情報
メディア型 SaaS、英会話 専門メディア、解説・比較記事
アフィリエイト型 転職 おすすめ・比較・ランキング系情報源

つまり、「公式サイトだけ整えればよい」「Wikipediaを作ればよい」「比較サイトへ載ればよい」といった、全企業に共通する一つの正解があるわけではありません。

Wikipediaや企業データベースも第三者情報源の候補にはなりますが、優先順位は企業ごとに異なります。まずAI回答の引用元を確認し、その業界・クエリで実際に使われている情報源から整える方が合理的です。

Built InのGEO実務記事でも、「Share of Modelの監査」「引用可能な情報資産」「第三者掲載」「Wikipedia・Crunchbaseなどの情報整備」「AI出力による計測」という考え方が紹介されています。

ステップ5|言及・推薦・引用・情報正確性を継続して測定する

改善したら、同じクエリをもう一度確認します。

GEOは「対応したので完了」ではなく、AI回答がどう変わったかを継続的に観測する取り組みです。

指標 確認する状態
ブランド言及率 対象クエリのうち、自社名・ブランド名・商品名が回答に登場した割合
推薦・候補入り率 おすすめ・比較クエリで、自社が候補として提示された割合
引用状況 自社・第三者のどのURLやドメインが回答の情報源になっているか
情報正確性 AIが説明する料金・仕様・特徴・対象条件などが公式情報と一致しているか

また、1つのAIだけを見て判断するのも避けた方がよいでしょう。

Genviewの450クエリ調査では、Google上位10位との重複率がChatGPTで13.9%、Geminiで29.0%と異なりました。

そのため、重要なクエリについては、AI別・クエリ別・日時別に変化を追うことが重要です。

GEO対策で最初にやること・後回しでよいこと

GEO対策では、すべての施策を一度に実施する必要はありません。

優先度 主な取り組み
最初にやる 理想のAI認識、重要クエリ、AI回答確認、競合・引用元確認、公式情報の誤り・不足の特定
次にやる 一次情報、FAQ、比較・事例コンテンツ、第三者情報、必要な技術整備
優先度を見て判断 llms.txt、Wikipedia、外部掲載、全AIの監視など

GEOでは「何をやるか」より、「なぜ今それをやるのか」が説明できることが重要です。

GEO対策でよくある3つの失敗

初めてGEOに取り組む際、特に避けたいのは次の3つです。

  1. クエリを決めずに施策を始める
  2. 引用だけを成果指標にする
  3. 自社サイトだけを改善して終わる

クエリを決めなければ、自社がどの購買・検討場面で選ばれたいのかが曖昧になります。引用だけをKPIにすると、引用はされているのに推薦されていない状態を見落とします。そして自社サイトだけを改善すると、AIが比較サイトやメディアを根拠に回答しているケースに対応できません。

GEO対策では、このほかにもAI生成コンテンツの量産や、構造化データ・llms.txtへの過信、情報の不一致など、避けたい失敗があります。具体的な注意点は、 GEO対策でよくある失敗 で詳しく解説しています。

また、GEO対策を始める前に整理しておきたい前提や確認事項については、 GEO対策を始める前に確認したいこと をご覧ください。

GEO対策を始める前の10項目チェックリスト

確認 確認項目
AIに自社をどう認識してほしいか言語化できている
自社が選ばれたい重要クエリが決まっている
ChatGPTで現在の回答を確認した
Geminiで現在の回答を確認した
同じクエリで競合がどう扱われているか確認した
AIが引用しているURL・ドメインを確認した
自社サイトの料金・機能・会社情報が最新になっている
自社サイトと第三者サイトの情報に不一致がない
独自調査・事例・実績など、自社にしか出せない一次情報がある
言及・推薦・引用・正確性を継続計測する方法が決まっている

すべてにチェックが入ってからGEOを始める必要はありません。むしろ、チェックが入らなかった項目が「最初に改善する候補」です。

GEO対策は一度整備して終わりではない

AIの回答は固定されていません。

同じ質問でも、AIサービス、回答日時、Web検索の有無、参照する情報源、サイトの更新状況などによって回答は変化します。

計測 → 改善 → 再計測

一度の回答で自社が出たから成功、一度出なかったから失敗、と判断するのではなく、重要なクエリ群を継続的に確認していくことが重要です。

よくある質問

Q

GEO対策は何から始めればいいですか?

A

最初に、「AIに自社をどう認識・推薦してほしいか」と「どの質問で選ばれたいか」を決めます。その後、ChatGPTやGeminiなどに実際の質問を入力し、自社・競合の言及、推薦、引用元、説明の正確性を確認してください。施策は、その結果から不足している部分を特定して決めます。

Q

SEOをやっていればGEO対策は不要ですか?

A

不要とは言えません。SEOの技術基盤や高品質なコンテンツはGEOでも重要ですが、Genviewの独自調査ではAI引用URLとGoogle上位10位の重複率は合算25.0%でした。SEO順位に加えて、AI上での言及・推薦・引用・情報正確性も別途確認する必要があります。

Q

GEO対策は無料でも始められますか?

A

はい。最初の現状確認は、普段利用しているChatGPTやGeminiなどに重要クエリを入力し、回答を記録するところから始められます。ただし、対象AIやクエリ数が増えると手作業での継続管理が難しくなるため、その場合はGEO計測ツールを利用する方法があります。

Q

GEO対策の効果は何で測ればよいですか?

A

「自社サイトが引用されたか」だけではなく、ブランド言及率、推薦・候補入り率、引用元、情報正確性を分けて確認するのがおすすめです。さらにAI別・クエリ別・日時別に記録すると、どの質問やAIで改善したのかを切り分けやすくなります。

まとめ|GEO対策は「理想→計測→改善」から始める

GEO対策の出発点は、施策を増やすことではありません。

「どの質問で、どのように選ばれたいか」を決め、現在のAI回答との差を確認することです。

そこから、自社サイトの公式情報や一次情報を整え、AIが実際に参照する第三者情報との整合性を確認し、必要な技術基盤を整えます。

そして改善後も、言及・推薦・引用・情報正確性を継続して確認します。

理想のAI認識 → 現状計測 → 自社情報の改善 → 第三者情報の改善 → 再計測

GEOは「この施策をすれば必ずAIに選ばれる」という一つのテクニックではありません。自社にとって重要な質問でAIが何を回答し、何を根拠にしているのかを確認しながら、必要な情報を継続して整えていく取り組みです。

GEOそのものの意味や全体像から確認したい場合は、GEOとは?|AIに選ばれるブランドのための生成エンジン最適化入門をご覧ください。

参考サイト

一次情報・外部調査

Genview独自調査・検証