リランキング(Reranking)とは|意味・RAGでの位置・コサイン類似度との違い
著者:喜多 陽平(Genview チームリーダー / 株式会社FID) 公開:2026-06-09
リランキング(Reranking)とは、RAGシステムにおいて初期検索で取得した複数のドキュメントを、より精度の高いモデルで再評価・並び替えるプロセスのことです。
英語表記:Reranking(読み方はリランキング)
コサイン類似度などによる粗い絞り込みの後に行われる「二段階目の選別」にあたります。ここで残ったドキュメントが、AIが回答を作るときのコンテキストとして渡されます。
この言葉の基本
リランキングという言葉の読み方・分野・行われる位置
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 英語表記 | Reranking |
| 読み方 | リランキング |
| 分野 | RAG・情報検索 |
| 行われる位置 | 初期検索(Retrieval)の後、回答生成の前 |
| 使われるモデルの例 | クロスエンコーダー |
| 混同しやすい言葉 | Retrieval、コサイン類似度 |
リランキングが使われる文脈
RAGシステムの検索の段階は、速さと精度のかね合いで設計されます。まずコサイン類似度のような軽い指標で候補のドキュメントを素早く絞り込み、その後、より精度の高いモデルで並べ直す、という二段階の構造が一般的です。この二段階目をリランキングと呼びます。
RAGの流れの中でのリランキングの位置(件数は一例)
| 段階 | 何をするか |
|---|---|
| ① 初期検索 | コサイン類似度などで、候補を粗く絞り込む(例:100件→20件) |
| ② リランキング | 精度の高いモデルで再評価し、さらに絞り込む(例:20件→3〜5件) |
| ③ コンテキストの構築 | 選ばれたドキュメントをLLMに渡す |
| ④ 推論・回答生成 | 渡された情報を使って回答を作る |
リランキングに使われるモデル(クロスエンコーダーなど)は、クエリとドキュメントを組にして同時に評価します。そのため初期検索より細かく関連性を判断できますが、計算に手間がかかります。すべてのドキュメントに対して行うのではなく、初期検索で絞り込んだ候補だけに対して行うのはこのためです。
コサイン類似度との違い
コサイン類似度は、クエリとドキュメントの意味がどれだけ近いかを数値で表す指標で、初期検索の入口で使われます。リランキングでは、そのドキュメントが本当にそのクエリに答えているかという、より細かい関連性が評価されます。意味が近いことと、クエリに答えていることは同じではありません。
似た言葉との関係
Retrieval
Retrievalは、クエリに関連するコンテンツを取得する処理です。リランキングは、Retrievalで取得した候補を並べ直す後段の処理として位置づけられます。
チャンク
RAGシステムでは、文書をチャンクという単位に分けて取得することが多く、その場合はリランキングもチャンク単位で行われます。
GEO対策における位置づけ
リランキングは、取得されたコンテンツのうち、どれが実際にAIの回答のコンテキストに入るかを決める段階です。検索で取得されることと、リランキングを経て回答に使われることは、別の段階として分けて考えられます。
ただし、リランキングの実装はAIシステムによって異なり、すべてのAIがリランキングを行っているわけではありません。評価の基準も、多くは公開されていません。
リランキングが、AI検索の仕組みの中でどこに当たるかは、AI検索の仕組みとはで解説しています。
よくある誤解
コサイン類似度が高ければ、リランキングでも上位になる
リランキングでは別の評価のしかたが使われます。意味が近くても、クエリに答えていないドキュメントは、リランキングで下位になることがあります。
すべてのAIがリランキングを行っている
実装はシステムによって異なります。初期検索の結果だけで回答のコンテキストを作るシステムもあります。
リランキングの評価基準は公開されている
多くのAIシステムのリランキングモデルは公開されていません。公開されている情報から推測はできても、特定の基準が確実に効いているとはいえません。
リランキングに関連する用語
リランキングに関連する用語と、その意味
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| RAG | 取得した情報をLLMによる生成に使う仕組み。リランキングはその途中の段階 |
| Retrieval | クエリに関連するコンテンツを取得する処理。リランキングの前段 |
| コサイン類似度 | 初期検索で使われる、意味の近さを表す指標 |
| チャンク | RAGシステムでコンテンツを取得する単位 |
| 推論(Inference) | LLMが回答を生成するプロセス。リランキングで選ばれたドキュメントがここで使われる |
よくある質問
Q リランキングは何をする処理ですか?
初期検索で取得した候補のドキュメントを、より精度の高いモデルで再評価して並べ直し、回答のコンテキストに使うものを絞り込む処理です。
Q コサイン類似度とリランキングはどう違いますか?
コサイン類似度は初期検索で候補を粗く絞り込むための指標です。リランキングはその後に、残った候補がクエリに答えているかをより細かく評価する段階です。初期検索を通らなければ、リランキングの対象にもなりません。
Q なぜすべてのドキュメントをリランキングしないのですか?
リランキングに使われるモデルは、クエリとドキュメントを組にして評価するため計算に手間がかかります。そのため、初期検索で絞り込んだ候補だけに対して行うのが一般的です。