RAGとは?意味・仕組みとAI検索における役割
著者:吉田 清登(株式会社FID CMO / Genview PM)
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RAG(ラグ/Retrieval-Augmented Generation/検索拡張生成)とは、関連情報を取得するRetrievalと、その情報を利用して回答を生成するGenerationを組み合わせた仕組みです。
RAGでは、ユーザーの質問に関連する情報を外部の情報源から取得し、その情報をLLMの入力コンテキストとして利用して回答を生成します。
RAGはWeb検索そのものを意味する言葉ではありません。取得元には、Web、検索インデックス、社内文書、データベース、ベクトルストアなど、さまざまな情報源が利用されます。
RAGとは
RAG(ラグ)は、Retrieval-Augmented Generationの略で、日本語では一般に「検索拡張生成」と訳されます。
LLMは大量のデータをもとに学習していますが、モデル内部の知識だけですべての最新情報や、企業・組織が保有する固有情報を扱えるわけではありません。
RAGでは、回答を生成する前に質問に関連する情報を外部から取得し、その情報をLLMへ渡して回答生成に利用します。
基本的な流れは、
質問 → 関連情報を取得 → 取得した情報をLLMへ渡す → 回答を生成
です。
つまりRAGは、単なる検索でも、LLMによる文章生成だけでもありません。
必要な情報を取り出すRetrievalと、取得した情報を使って回答するGenerationを組み合わせることが基本的な考え方です。
RAGの仕組み|RetrievalからGenerationまで
RAGは、大きく分けるとRetrieval(情報取得)とGeneration(回答生成)の2つの段階で考えると理解しやすくなります。
1. Retrieval(情報取得)
最初に、ユーザーの質問に関連する情報を外部の情報源から探し、取得します。
取得対象には、たとえば次のようなものがあります。
- Webページ
- 検索インデックス
- 社内文書
- マニュアルやFAQ
- データベース
- ベクトルストア
この「必要な情報を探して取り出す処理」がRetrievalです。
RetrievalはRAGを構成する処理の一つであり、Retrieval単独をRAGとは呼びません。
Retrievalそのものについては、Retrievalとはで詳しく解説しています。
2. Generation(回答生成)
次に、取得した情報をユーザーの質問などと一緒にLLMへ渡し、その情報を利用して回答を生成します。
LLMは取得情報を単純に表示するだけではなく、質問や文脈に応じて内容を整理し、回答として文章を生成します。
つまりRAGは、
関連情報を取得するRetrievalと、その情報を使って回答を生成するGenerationを組み合わせた仕組み
と整理できます。
なお、RAGの具体的な実装方法はシステムによって異なります。EmbeddingやVector Search、文書のChunkingなどが利用される場合もありますが、これらをすべてのRAGに共通する必須条件と考える必要はありません。
RAGはなぜ必要なのか
LLMは大量の情報をもとに学習していますが、すべての情報をモデル内部に保持しているわけではありません。
また、モデルの学習後に更新された情報や、一般公開されていない社内文書、独自データなどは、モデル内部の知識だけでは利用できない場合があります。
RAGを利用すると、回答時に外部情報を取得できるため、たとえば次のような用途に利用できます。
- 更新された商品情報やマニュアルを参照した回答
- 社内文書に基づく回答
- FAQやサポート文書に基づく回答
- 特定のデータベースに基づく回答
- 検索結果やWebページを利用した回答
モデル内部の学習済み知識だけに依存する場合と比べて、回答時に利用可能な外部情報を反映しやすくなることがRAGの特徴です。
ただし、RAGを利用すれば情報が必ず最新になるわけではありません。
取得元となる文書やデータそのものが古ければ、RAGでも古い情報を回答に利用する可能性があります。
また、RAGを利用したからといって回答の正確性が保証されるわけでもありません。
たとえば、
- 必要な情報をRetrievalで取得できなかった
- 質問との関連性が低い情報を取得した
- 取得した情報自体が古い、または誤っていた
- LLMが取得情報を適切に解釈・利用できなかった
といった場合には、不正確な回答が生成される可能性があります。
そのためRAGでは、「必要な情報を適切に取得できるか」と「取得した情報を回答生成で適切に利用できるか」の両方が重要です。
RAGとAI検索の関係
RAGは、AI検索の仕組みを理解するうえで重要な基礎概念の一つです。
AI検索では、ユーザーの質問に応じてWebや検索インデックスなどから情報を取得し、その情報を利用してLLMが回答を生成する仕組みが使われる場合があります。
この流れは、RAGの基本的な考え方と共通しています。
「AI検索=RAG」ではありません。
AI検索はRAGという一つの仕組みだけで定義できるものではなく、サービスや機能によって、
- どの情報源を利用するのか
- どのように情報を検索・取得するのか
- 取得した情報をどのように選ぶのか
- LLMの内部知識と外部情報をどのように組み合わせるのか
- どのように最終回答を生成するのか
などは異なります。
そのため、公開されている情報以上に個別サービスの内部実装を推測し、「このAI検索は必ずRAGを使っている」と断定するのは適切ではありません。
AI検索全体の情報取得から回答生成までの流れについては、AI検索の仕組みとは|情報取得からLLMによる回答生成までをご覧ください。
Retrieval・Grounding・LLMとの違い
RAGを理解するときは、Retrieval、Grounding、LLMとの役割を分けて考えると整理しやすくなります。
| 用語 | 意味 | RAGとの関係 |
|---|---|---|
| Retrieval | 質問に関連する情報を検索・取得する処理 | RAGを構成する情報取得処理の一つ |
| Grounding | AIの回答を取得情報などの根拠となる情報に基づかせる考え方・処理 | RAGがGroundingに利用される場合があるが、同じ概念ではない |
| LLM | 文章の理解・生成などを行う大規模言語モデル | RAGでは取得された情報を利用して回答を生成する役割を担う |
| RAG | 外部情報の取得と、その情報を利用した生成を組み合わせる仕組み | RetrievalやLLMを組み合わせて回答生成に外部情報を利用する |
Retrievalは「情報を取り出す処理」、Groundingは「回答を根拠となる情報に基づかせる考え方・処理」、LLMは「文章を理解・生成するモデル」です。
RAGは、これらと同じ概念ではありません。
特に、RAGはGroundingに利用される場合がありますが、RAGそのものがGroundingを意味するわけではありません。
GenviewではRAGをどう捉えているか
Genviewでは、RAGをGEO専用の仕組みや施策とは捉えていません。
AI検索が外部情報をどのように取得し、その情報を回答生成に利用するのかを理解するための重要な基礎概念として位置づけています。
企業側にとって重要なのは、「RAGに最適化する」という抽象的な発想だけではありません。
実際には、
- 自社の重要情報がWeb上に公開されているか
- 公開されている情報が正確で、必要に応じて更新されているか
- 企業・商品・サービスの説明がページ間で矛盾していないか
- 一次情報や根拠となる情報が明確に存在するか
- 実際のAI回答でどの情報源が参照されているか
などを確認することが重要です。
情報の主題や質問への回答が明確になるようコンテンツを整理することは、読者が情報を理解しやすくするための基本的な情報設計でもあります。
ただし、FAQ、BLUF、特定の見出し構造などを採用しただけで、RAGによる取得やAI回答への引用が保証されるわけではありません。
RAGという特定の仕組みを攻略することではなく、正確で確認可能な情報を整え、実際のAI回答と参照元を継続的に確認することが重要です。
RAGについてよくある誤解
誤解①:RAGはWeb検索そのものである
RAGとWeb検索は同じものではありません。
RAGは、外部情報を取得し、その情報を利用して回答を生成する仕組みです。
情報取得の手段としてWeb検索を利用する場合もありますが、社内文書、データベース、検索インデックスなど、Web以外の情報源を利用する場合もあります。
誤解②:RAGを使えば回答は必ず正確になる
RAGは外部情報を回答材料として利用できるため、知識集約型の質問への対応や事実性の向上に役立つ場合があります。
ただし、回答の正確性を保証するものではありません。
必要な情報を取得できない場合、取得情報そのものが不正確な場合、LLMが取得情報を適切に利用できない場合などには、不正確な回答が生成される可能性があります。
誤解③:RAGを使えば常に最新情報で回答できる
RAGは回答時に外部情報を利用できるため、モデル内部の知識だけに依存する場合より、更新された情報を回答へ反映しやすくなります。
ただし、検索対象となる文書やデータが更新されていなければ、古い情報が取得される可能性があります。
RAGそのものが情報の最新性を保証するわけではありません。
誤解④:RAGを使えばハルシネーションはなくなる
RAGを使っても、ハルシネーションがなくなるわけではありません。
外部情報を回答材料として利用できても、
- 関連情報を取得できない
- 誤った情報を取得する
- LLMが情報を誤って解釈する
などの可能性は残ります。
RAGは「必ず正しい回答を生成する仕組み」ではありません。
誤解⑤:AI検索はすべてRAGで動いている
AI検索とRAGは同じものではありません。
AI検索でRAGの考え方と共通する仕組みが利用される場合はありますが、サービスごとの内部構造は異なります。
公開情報以上に個別サービスの内部実装を推測し、「すべてのAI検索がRAGを使っている」と考えるのは適切ではありません。
誤解⑥:RAGに最適化すればAIに引用される
「RAG対策」を行えばAI回答への引用が保証されるわけではありません。
AIがどの情報を取得し、どの情報源を回答へ利用するかは、質問との関連性、取得処理、情報源の内容、回答生成など複数の要素に左右されます。
企業側では、特定のRAG方式を攻略するというより、正確な公式情報や一次情報を整備し、実際のAI回答と参照元を確認することが重要です。
よくある質問
まとめ
RAG(ラグ/Retrieval-Augmented Generation/検索拡張生成)とは、関連情報を取得するRetrievalと、その情報を利用して回答を生成するGenerationを組み合わせた仕組みです。
外部の情報源から必要な情報を取得し、その情報をLLMの回答生成に利用することで、モデル内部の学習済み知識だけに依存する場合より、更新された情報や特定領域の情報を反映しやすくなります。
ただし、RAGはWeb検索そのものではありません。また、RAGを利用すれば情報が常に最新になるわけでも、回答が必ず正確になるわけでも、ハルシネーションがなくなるわけでもありません。
RAGを理解するときは、
Retrievalで必要な情報を取得し、Generationでその情報を利用して回答する
という基本構造とともに、Retrieval、Grounding、LLM、AI検索それぞれとの違いを分けて考えることが重要です。
AI検索全体の仕組みについては、AI検索の仕組みとは|情報取得からLLMによる回答生成までをご覧ください。