ベクトル検索とは|意味・仕組み・キーワード検索やEmbeddingとの違い
著者:喜多 陽平(Genview チームリーダー / 株式会社FID) 公開:2026-06-02
ベクトル検索とは、Embeddingによって数値ベクトルに変換されたデータ同士の「近さ」を計算することで、意味的に関連するコンテンツを取得する検索手法のことです。
英語表記:Vector Search
キーワードの一致ではなく意味の類似度を基準にするため、表現が違っても内容が近いコンテンツを取得できます。RAGで使われる取得手法のひとつです。
この言葉の基本
ベクトル検索という言葉の英語表記・分野・検索の基準
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 英語表記 | Vector Search |
| 分野 | 情報検索、RAG、AIチャット・AI検索 |
| 検索の基準 | 意味の類似度(ベクトル同士の近さ) |
| 類似度の計算に使われるもの | コサイン類似度など |
| 混同しやすい言葉 | Embedding、キーワード検索 |
類似度の計算によく使われるのはコサイン類似度です。ベクトル間の角度が小さいほど(コサイン値が1に近いほど)、意味的に近いと判断されます。
ベクトル検索が使われる文脈
RAG(Retrieval-Augmented Generation)では、BM25・ベクトル検索・ハイブリッド検索など複数の取得手法が使われます。ベクトル検索はそのひとつです。
ユーザーのクエリをベクトルに変換し、事前にベクトル化・インデックス化されたコンテンツの中から、意味的に近いものを取得します。取得されたコンテンツはLLMのコンテキストに渡され、回答の生成に使われます。
キーワード検索との違い
キーワード検索とベクトル検索の違い
| 項目 | キーワード検索 | ベクトル検索 |
|---|---|---|
| 検索の基準 | 単語の一致 | 意味の類似度 |
| 表現の違いへの対応 | 弱い(同義語・言い換えを認識しにくい) | 強い(意味が近ければ取得される) |
| 主な用途 | 従来の検索エンジン | RAG・AIチャット・意味検索 |
たとえば「費用対効果の高いクラウドサービス」というクエリに対して、「コストパフォーマンスに優れたクラウド基盤」というページは、キーワード検索では取得されにくいですが、ベクトル検索では意味的に近いとして取得される可能性があります。
似た言葉との関係
Embedding
Embeddingは「テキストなどのデータをベクトルに変換する技術」で、ベクトル検索は「変換されたベクトルを使って類似度で検索する手法」です。Embeddingがなければベクトル検索は成り立たず、両者はセットで使われます。
Retrieval・RAG
Retrievalは、AIが回答を作る前に情報を取得する処理です。ベクトル検索は、そのRetrievalを実装する手法のひとつにあたります。RAGは、取得した情報をLLMによる生成に使う仕組み全体を指します。
リランキング・チャンク
ベクトル検索で取得した候補を、別のモデルで評価し直して並べ替える処理をリランキングと呼びます。また、類似度を計算する単位は、文書を分割したチャンクであることが一般的です。
GEO対策における位置づけ
ベクトル検索は、AIがキーワードではなく意味でコンテンツを選ぶ仕組みを理解するための言葉です。ベクトル検索で取得されることと、そのコンテンツが回答の中で引用として表示されることは、別の段階の話です。
ベクトル検索が、AI検索の仕組みの中でどこに当たるかは、AI検索の仕組みとはで解説しています。
よくある誤解
ベクトル検索とEmbeddingは同じもの
別の概念です。Embeddingは「変換」、ベクトル検索は「検索」と分けて考えると整理しやすくなります。
ベクトル検索で上位に来れば必ずAIに引用される
取得されることは引用の前提ですが、取得のあとにリランキングなどの段階がある場合もあります。取得されただけでは、引用されるとは限りません。
ベクトル検索に関連する用語
ベクトル検索に関連する用語と、その意味
よくある質問
Q ベクトル検索とEmbeddingの違いは何ですか?
Embeddingはデータをベクトルに変換する技術で、ベクトル検索はそのベクトルを使って類似度で検索する手法です。
Q ベクトル検索とキーワード検索は何が違いますか?
検索の基準が違います。キーワード検索は単語の一致で探し、ベクトル検索は意味の類似度で探します。言い換えや同義語で書かれたページも、意味が近ければベクトル検索では取得されることがあります。
Q すべてのAIがベクトル検索を使っていますか?
使っているとは限りません。RAGでも、BM25・ハイブリッド検索・グラフ検索など他の取得手法が使われます。学習済みの知識から答える場合や、検索エンジンのインデックスを参照する場合は、取得の経路がまた異なります。