著者:吉田 清登(株式会社FID CMO / Genview PM)
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GEO対策について調べると、構造化データ、FAQ、llms.txt、コンテンツ改善、外部メディア対策など、さまざまな施策が出てきます。

もちろん、どれも必要になる可能性があります。

ただし、最初に決めるべきなのは施策ではありません。

「AIの回答の中で、自社をどのように説明してほしいのか」という理想の状態です。

なぜなら、理想が決まっていなければ、ChatGPTやGeminiの回答を見ても、何が良くて何が悪いのか判断できないからです。

構造化データを追加すべきなのか、コンテンツを直すべきなのか、外部情報を整えるべきなのかも決められません。

GEO対策は、「何を実装するか」から始めるのではなく、「どんなAI回答を目指すのか」を決めるところから考えます。

この記事では、その理由と実際の進め方を整理します。

30秒でわかる結論

GEO対策は、FAQや構造化データなどの施策から始めるのではなく、「AIに自社をどのように説明してほしいのか」という理想のAI回答を決めるところから考えます。

  • まず、AI回答の中で自社がどのように説明されてほしいかを決める
  • 次に、ChatGPTやGeminiなどの実際の回答を確認する
  • 本記事でいう「認識」とは、AI内部の状態そのものではなく、実際のAI回答で自社がどう説明されているかを指す
  • 理想のAI回答と実際のAI回答との差が、GEOで改善すべきGAPになる
  • GAPが分かってから、自社サイト・外部メディア・UGC・AIが参照している情報などを確認する
  • FAQ、構造化データ、コンテンツ改善などは、そのGAPを埋めるために選ぶ個別施策

「何をどう実装するか」を考える前に、まず「AI上でどんな回答を目指すのか」を決めます。そのうえで実際のAI回答を監視し、理想とのGAPを確認する。これがGEO対策の基本的な進め方です。

GEO対策は「How」から始めない

新しい施策が登場すると、どうしても「何をすればいいのか」に目が向きます。

GEOでも同じです。

  • 構造化データを入れた方がいい
  • FAQを増やした方がいい
  • llms.txtを設置した方がいい
  • AIクローラーを許可した方がいい
  • 一次情報を増やした方がいい
  • 外部メディアで言及を増やした方がいい

こうした施策は分かりやすいため、ついここから始めたくなります。

しかし、先に施策だけを選んでしまうと、

その施策によって、何を改善したいのか

が曖昧になります。

たとえばFAQを追加したとしても、現在のAI回答で何が足りていないのかが分からなければ、そのFAQが本当に必要なのか判断できません。

外部メディアで言及を増やしても、どの文脈で自社を説明してほしいのかが決まっていなければ、企業名が出るだけで終わる可能性があります。

AI検索やGEOについて発信する複数の企業でも、具体的な施策を始める前に、「AIにどう説明されたいか」「自社が何者で、何を提供しているのか」「どの質問や文脈で候補になりたいのか」を整理する重要性が指摘されています。

言葉は異なりますが、共通しているのは、

施策の前に、まず目指す状態を決める

という順番です。

本記事でいう「認識」とは何か

ここで、「AIに認識される」という言葉を整理しておきます。

この言葉だけを見ると、AIの内部に、

この会社は○○の会社だ

という固定されたプロフィールが存在し、それを直接確認できるように聞こえるかもしれません。

しかし、企業側からAI内部の状態を直接見ることはできません。

同じ質問でも、AIプラットフォーム、質問の仕方、タイミング、取得された情報などによって回答は変わります。

そのため、この記事では「認識」を、

実際のAI回答の中で、企業・ブランド・サービスがどのように説明されているか

という観測可能な状態として扱います。

たとえば、あるサービスについて、

「メール配信ツールです」と説明されるのか、「EC事業者向けのCRM・マーケティング支援ツールです」と説明されるのかでは、ユーザーが受け取る印象は大きく違います。

重要なのは、「AIの内部で何が起きているか」を推測することではありません。

実際にユーザーへ提示されている回答が、自社の意図する説明と合っているかを確認することです。

AIが企業やブランドをどのように扱うかについては、AIは企業・ブランドをどう認識するのかで詳しく解説しています。

まず「理想のAI回答」を決める

GEO対策を始める前に、まず決めるべきなのが理想のAI回答です。

ここでいう理想とは、単に、

  • AIに出たい
  • おすすめされたい
  • 有名な会社だと思われたい

ということではありません。

少なくとも、

  • 何の会社・サービスとして説明されたいのか
  • 誰に向けたサービスなのか
  • どんな課題を解決するのか
  • どんな強みで説明されたいのか
  • どんな質問や検討場面で候補になりたいのか

といった方向性を整理しておく必要があります。

ただし、このページでは理想の認識の作り方そのものには深く入りません。

具体的な設計方法については、AIは企業・ブランドをどう認識するのかで詳しく整理しています。

ここで重要なのは、

理想が決まっていなければ、現在のAI回答が良いのか悪いのかを判断できない

ということです。

理想がなければ、AI回答の「ズレ」は判断できない

たとえば、AIに自社サービスについて質問したところ、

「中小企業向けのマーケティングツールです」

という回答が返ってきたとします。

これだけを見ても、その回答が良いのか悪いのかは分かりません。

もし自社が、

中小企業向けの幅広いマーケティングツール

として説明されたいのであれば、大きな問題ではないかもしれません。

一方で、

EC事業者向けで、LINE・メール・顧客データを一元管理できるCRM

として説明されたいのであれば、

  • EC向け
  • CRM
  • LINEとの連携
  • 顧客データの一元管理

といった重要な特徴が回答から抜けています。

このとき初めて、

理想と現実にGAPがある

と判断できます。

つまりGEO対策では、単にAI回答を見るだけでは不十分です。

理想のAI回答と比較して初めて、改善すべき箇所が見えてきます。

次に、実際のAI回答を確認する

理想のAI回答を決めたら、次に実際の回答を確認します。

たとえば、

  • 自社名
  • サービス名
  • 自社が属するカテゴリー
  • 比較・推薦に関する質問
  • ユーザーが抱える具体的な課題

などをChatGPTやGeminiで確認します。

ここで重要なのは、

「AIに自社について聞けば、AI内部の本当の認識が分かる」

と考えないことです。

確認できるのは、あくまでその質問に対して、その時点で提示されたAI回答です。

そのため、一度だけ質問して判断するのではなく、重要なクエリを決めて継続的に観測する方が実務では有効です。

Genviewでも、登録したクエリに対してChatGPTやGeminiなどの回答を継続的に計測し、

  • 正しく言及されているか
  • 自社サイトが参照されているか
  • 対象URLが参照されているか
  • 誤った説明が含まれていないか
  • そもそも言及されていないか

を確認します。

GEOの現状把握は、AIに「あなたは私をどう思っていますか」と聞くことではありません。

ユーザーが実際に使う質問に対して、自社がどう説明されているのかを見ることです。

理想と現実のGAPが、改善点を見つける起点になる

ここまで来ると、GEOで何を改善すべきかが見えてきます。

理想のAI回答

「製造業の複雑なシフト管理に対応できる勤怠管理サービス」

実際のAI回答

「一般的なクラウド型勤怠管理サービス」

この場合、

  • 製造業向け
  • 複雑なシフトへの対応

という重要な特徴が十分に伝わっていません。

逆に、理想が「EC向けCRM」で、実際のAI回答が「EC向けCRMで、LINEとメールを一元管理できるサービス」であれば、理想にかなり近い状態です。

このように、

理想 → 実際のAI回答 → GAP

という順番で見れば、GEO対策の課題を具体化できます。

Genviewでは、この「理想と現実の差」を改善の起点として考えています。

GAPが分かってから施策を選ぶ

GAPが見つかったら、次に、

なぜそのズレが起きているのか

を調べます。

たとえば「製造業向け」という特徴がAI回答に出てこないのであれば、

  • 公式サイトに明確に書かれているか
  • サービスページで十分に説明されているか
  • 導入事例に製造業の実績があるか
  • 比較サイトや第三者メディアでどう説明されているか
  • AIがどのURLを参照しているか

などを確認します。

そこで初めて、

  • サービスページを改善する
  • 導入事例を追加する
  • FAQを追加する
  • 内部リンクを整理する
  • 構造化データを実装する
  • 外部メディア上の情報を修正する
  • 独自データや一次情報を追加する

といった施策の優先順位を決められます。

構造化データやFAQは重要です。

しかし、それ自体がGEOの目的ではありません。

理想と現実のGAPを埋めるために必要なら実施する。

この順番で考えることが重要です。

「理想のAI回答」には根拠も必要になる

もう一つ、理想のAI回答を考えるときに忘れてはいけないことがあります。

それは、

そう説明されるだけの根拠が、本当にあるのか

ということです。

たとえば、

  • 「サポートが手厚い」
  • 「高品質」
  • 「導入しやすい」
  • 「業界に強い」

といった表現だけでは、かなり抽象的です。

AI回答で企業やサービスを比較・説明する際には、

  • 対応範囲
  • 料金
  • 機能
  • 導入社数
  • 導入事例
  • 調査結果
  • 性能値
  • 利用条件

など、具体的に確認できる情報が説明材料になります。

ここで重要なのは、「数字を出せばAIに選ばれる」ということではありません。

自社が主張している強みを、確認可能な具体的情報で説明できる状態にすることが重要です。

理想のAI回答は、広告コピーを作ることではありません。

実態に基づいて、「どのように説明されたいか」を整理することです。

自社サイトだけを見ても原因は分からない

GAPの原因を調べる際、自社サイトだけを確認して終わるのも不十分です。

AI検索では、公式サイト以外の情報が参照されることがあります。

たとえば、

  • 比較サイト
  • 専門メディア
  • ニュース記事
  • レビュー
  • SNS
  • UGC

などです。

そのため、自社サイトでは「A」と説明しているのに、外部では「B」と説明されている場合、実際のAI回答でも説明が安定しない可能性があります。

ただし、情報をすべて同じ文章に統一すればAIに推薦される、という話ではありません。

自社・外部・UGCは、それぞれ役割が異なります。

重要なのは、企業・ブランド・サービスについての基本的な事実に、大きな矛盾がないかを見ることです。

この考え方については、GEO対策で重要な3つの情報層とは?自社・外部・UGCの考え方で詳しく解説しています。

GEO対策を進める基本的な順番

1. 理想のAI回答を決める

AI回答の中で、自社がどのような企業・ブランド・サービスとして説明されたいのかを整理します。

2. 実際のAI回答を監視する

重要なクエリを使い、ChatGPTやGeminiなどで現在どのように説明されているかを継続的に確認します。

3. 理想と現実のGAPを整理する

何が足りないのか、何が間違っているのか、どの文脈で候補になれていないのかを確認します。

4. GAPの原因を調べる

自社サイト、外部メディア、UGC、AIが参照しているURLなどを確認します。

5. 必要な施策を選ぶ

コンテンツ改善、FAQ、構造化データ、一次情報、外部情報整備などから、GAPに応じた施策を選択します。

つまり、

理想 → 監視 → GAP → 原因 → 改善

という流れです。

施策を先に決めるのではなく、理想と現在のAI回答の差を確認してから、必要な改善を選びます。

よくある質問

Q

GEO対策では、最初に構造化データを実装すべきですか?

A

必ずしもそうではありません。まず、理想のAI回答と実際のAI回答との差を確認します。そのうえで、構造化データが改善に必要であれば実装します。

Q

「AIにどう認識されているか」はAIに直接聞けば分かりますか?

A

AIに自社名やサービス名を質問することで、その時点の回答を確認できます。ただし、それをAI内部の固定された認識そのものと考えるのは適切ではありません。質問内容やAIプラットフォーム、タイミングなどによって回答は変わるため、重要なクエリを継続して観測することが大切です。

Q

理想のAI回答はどこまで具体的に決めるべきですか?

A

少なくとも、何の会社・サービスか、誰向けか、どのような課題を解決するか、何に強いか、どのような質問や検討場面で候補になりたいかを整理すると、現状とのGAPを判断しやすくなります。具体的な設計方法は、AIは企業・ブランドをどう認識するのかで解説しています。

Q

自社サイトの表現を統一すれば、AI回答も安定しますか?

A

それだけで保証されるわけではありません。AI回答には、自社サイトだけでなく外部メディアやその他の情報源が使われる場合があります。まず公式情報を整理したうえで、外部情報や実際のAI回答とのズレも確認することが重要です。

Q

GEO対策ではSEOと違う施策だけを行えばよいですか?

A

いいえ。GEOでも、正確な情報、分かりやすいページ構造、一次情報、内部リンクなど、SEOと共通する基盤は重要です。一方で、検索順位だけでなく、AI回答でどう説明・言及・参照されているかを観測する点がGEOでは重要になります。

まとめ

GEO対策には、さまざまな施策があります。

構造化データ、FAQ、一次情報、コンテンツ改善、外部メディア、UGC。

どれも重要になる可能性があります。

ただし、最初に決めるべきなのは施策ではありません。

AIに自社をどのように説明してほしいのかという「理想のAI回答」です。

その理想を決めたうえで、実際のAI回答を監視する。

そして、

理想と現実はどこが違うのか

を整理します。

そのGAPの原因を調べてから、必要な施策を選びます。

GEO対策で重要なのは、先に「構造化データを入れよう」「FAQを作ろう」「外部メディアを増やそう」と施策を決めることではありません。

「AIの回答の中で、自社はどのような存在として説明されたいのか」を決め、その理想と実際のAI回答との差を継続的に確認することです。

GAPが見えたとき、初めて「何を改善すべきか」が具体的になります。

GEO対策の始め方全体については、GEO対策の始め方|初心者が最初にやるべきこともあわせてご覧ください。

参考サイト

外部参考ページ

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