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GEO対策でよくある失敗7選|AI時代のSEO思考から抜け出せない企業たち

コラム 2026-06-12
GEO対策でよくある失敗7選|AI時代のSEO思考から抜け出せない企業たち
著者:喜多 陽平 / Kita Yohei

GEO対策の相談を受ける中で、同じ失敗パターンを何度も見ます。FAQを増やす。構造化データを入れる。llms.txtを置く。どれも間違いではありません。しかし、それだけでAIに選ばれるようになるわけではありません。私が見てきた中で特に多い失敗を整理します。

失敗① 引用数だけを追う

GEO対策を始めた企業が最初に追いかけがちな指標が「引用数」です。ChatGPTやGeminiに自社名が登場した回数を数えて、増えていれば成功と判断する。気持ちは分かります。可視化しやすい数字だからです。

しかし引用されることと、推薦されることは別問題です。「CRMとは何ですか?」という質問にAIが自社名を出すことと、「CRMを導入したい」という質問に自社が候補として挙がることは、意味がまったく異なります。前者は情報の説明に使われているだけで、後者は候補選定に関わっています。

引用数が増えていても、それが購買意図のないクエリに集中しているだけなら、売上への影響は限定的です。どのクエリで・どんな文脈で登場しているかの方が重要だと私は思っています。

関連:引用・推薦・選定の違いについてはAIに引用されても売上は増えないをご覧ください。

失敗② FAQを増やせば勝てると思う

FAQを増やせばAIに強くなると言われることがあります。実際、FAQはAIが引用しやすい形式です。質問と回答が明確に分かれており、AIが情報を取り出しやすい構造になっています。

しかしFAQは「説明を補助する」ためのものであり、「なぜその会社を選ぶべきか」を伝えるものではありません。「返金ポリシーはどうなっていますか?」「導入にどのくらいかかりますか?」というFAQをいくら増やしても、AIが比較候補として自社を扱う理由は生まれません。

FAQだけを増やしても、AIが「この会社は〇〇に向いている」と説明できるようにはなりません。FAQは補助輪であり、本体ではありません。

失敗③ llms.txtを置けば終わりだと思う

2026年に入ってから、「llms.txtを置きましたか?」という話題をよく聞くようになりました。llms.txtはAIに対してサイトの概要を伝えるためのファイルで、GEO対策の文脈で注目されています。

しかし置くことが目的になっているケースが増えていると私は感じています。llms.txtはAIへの案内板です。案内板は目的地そのものではありません。サイト内に定義・比較・事例などの情報がなければ、AIは結局何を学習・引用すれば良いのか分かりません。

llms.txtは入口であり、本体ではありません。案内板を整える前に、案内する先のコンテンツが充実しているかを確認することが先だと思っています。

失敗④ AI利用率が高い業界ほどGEO優先度が高いと思う

ヘルスケア・金融・法律はAIが最も活発に使われている領域のひとつです。毎日4,000万件の健康質問がAIに投げられており、AIに金融相談する米国人は1年で10%から55%に増加しています。これらの数字を見ると「この業界はGEO対策が急務だ」と感じるのは自然な反応です。

しかしGenviewが業界別のGEO優先度を評価する際に見ているのは、AI利用率ではありません。「AIの回答に登場しないことが、競争上どれだけ致命的か」です。ヘルスケアや法律では、AIが情報を提供した後に医師・弁護士という人的な介在が残ります。AIが候補を出して終わり、という構造にはまだなっていない。

AI利用率が高いことと、AIに登場しないことの機会損失が大きいことは、別の話です。この違いを理解せずにGEO優先度を判断すると、本当に急ぐべき業界を見誤ります。

関連:業界別の構造的な違いについてはAI利用率が高いのにGEO優先度が低い業界とは?をご覧ください。

失敗⑤ AIに認識されることと推薦されることを混同する

「AIが自社の名前を知っている」ことと、「AIが自社を推薦する」ことは別です。この違いを意識せずにGEO対策を進めると、施策の方向性がずれます。

AIが自社を認識している状態とは、「この会社は存在する」とAIが把握していることです。しかし認識されているだけでは、特定のクエリに対して自社が候補として登場するとは限りません。「おすすめのCRMを教えて」という質問に自社が出てくるためには、認識を超えた「推薦される理由」が必要です。

AIは定義が明確で、比較される文脈を持ち、特定の課題と結びついている会社を推薦しやすいとされています。知名度があっても、これらが整っていなければ推薦されません。逆に業界では無名でも、この条件を満たしていれば繰り返し推薦される会社があります。

関連:AIに選ばれる会社の条件については有名なのに推薦されない会社、無名でも推薦される会社をご覧ください。

失敗⑥ 自社を定義できていない

これが最も根本的な失敗だと私は思っています。

「CRMです」「マーケティング支援会社です」だけでは不十分です。AIは「誰向けで」「何を解決し」「何が競合と違うのか」まで説明できる会社を推薦しやすい傾向があります。自社を一言で定義できない企業は、AIにも定義されません。

AIが自社を説明しようとしたとき、情報が曖昧であれば曖昧に説明されます。「中小企業向けのCRMです」ではなく「EC事業者のリピート購入を増やすCRMです」と定義されている会社の方が、そのクエリが来たときにAIは迷わず推薦できます。

GEO対策の技術的な施策は、この定義が固まってから意味を持ちます。定義が曖昧なまま構造化データを入れても、FAQを増やしても、AIに伝わるものがありません。自社が何者かを言語化することが、GEO対策の出発点です。

失敗⑦ GEOをSEOの延長だと思う

SEOに取り組んできた企業ほど、GEOをSEOの延長として捉えがちだと感じています。使う言語が似ているからです。「最適化」「可視性」「コンテンツ」——同じ言葉が出てきますが、目指しているものが根本的に違います。

SEOは「このキーワードで上位表示されるか」という競争です。クリック率・順位・トラフィックが主な指標になります。一方GEOは「この質問に対してAIが自社をどう説明するか」という競争です。順位ではなく認識が中心になります。

SEO思考のまま取り組むと、キーワードを詰め込む・ページ数を増やす・リンクを集めるという方向に向かいます。しかしGEOで重要なのは、AIが自社を正確に理解して、適切なクエリで推薦できる状態を作ることです。発想を切り替えないと、施策の方向がずれ続けます。

まとめ

GEO対策の失敗の多くは、技術不足ではなく認識のズレから始まります。

FAQ・構造化データ・llms.txtは重要です。引用数のモニタリングも必要です。しかしそれらは手段であり、本質ではありません。

GEO対策の本質は、AIに「この企業・人物・サービスは何者で、何に強く、どの文脈で参照できるか」を一貫して認識される状態を作ることです。技術的な施策はすべて、この状態を作るための手段に過ぎません。

突き詰めるとそれだけだと私は思っています。

関連記事:GEO対策の優先度については業界別GEO優先度マップ(2026年版)をご覧ください。

続編:私が考えるGEOの本質(近日公開)

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