Googleの内部クエリ分類から見る、AI Overviewsが出やすい検索・出にくい検索
著者:喜多 陽平(Genview チームリーダー / 株式会社FID) 公開:2026-08-14
AI Overviewsが出るかどうかは、キーワードの見た目より、Googleがその検索をどう分類しているかで変わります。
ふだんGoogle検索をしていて、ある検索ではAI Overviewsが出るのに、別の検索では出ない、ということに気づきました。「Salesforce」と打っても出ないのに、「Salesforceとは」と打つと出る。同じ単語を含んでいるのに、結果がまるで違います。これはどういう理屈なのか、海外の調査データを追いかけてみました。
AI Overviews(AIによる概要)は、Google検索の結果の上に、AIが複数のWebページをまとめて表示する回答の枠です。
この記事の読み方
この記事の数字は、弊社の観測ではなく、公開されている外部の調査(Ahrefs、Pew Research Center、Semrush)です。弊社は、AI Overviewsの出方をまだ観測していません。数字は2026年9月29日に原典で確かめました。後半の「見立て」は、私(喜多)が調査を読んで考えた仮説です。
30秒でわかる結論
- 「なぜ〇〇なのか」を聞く検索では、59.8%でAI Overviewsが出ていました(Ahrefs)
- 「〇〇と△△の比較」の検索は26.2%で、Googleの8つの分類の中で下から2番目でした
- 特定のサイトに行くための検索では、0.9%でした
- AI Overviewsは、理由・真偽・定義を聞く検索で出やすく、比較やサイトに行く検索で出にくい。分かれ目は「答えが1つに定まるかどうか」ではないか、と考えています
この記事で扱う範囲
Googleの検索の分類と出現率/検索の意図・語数・分野による違い/出る範囲の変化/私の見立て(外部の調査のまとめで、弊社はAI Overviewsを観測していません)
Googleは、検索を裏側で8つに分類している
調べていて一番面白かったのは、SEOツールの会社 Ahrefs が、2025年9月のデスクトップの検索結果1億4,600万件を分析した調査です。この調査には、少し変わった経緯があります。SEOの専門家 Mark Williams-Cook 氏が、Googleのバグバウンティ(脆弱性を報告する制度)に関わる調査の中で、Googleが検索を内部で分類するのに使っている「クエリ分類器」を見つけました。理由・真偽・定義・結果・短い事実・手順・比較・その他の8つです。
Ahrefs は、この8つの分類ごとに、AI Overviewsが出た割合を数えています。すべての検索でならすと、出た割合は20.5%でした。
一番出やすかったのは、「なぜ〇〇なのか」を聞く理由の検索(59.8%)でした。次が「はい・いいえ」で答える真偽の検索(57.4%)、「〇〇とは」の定義の検索(47.3%)と続きます。意外だったのは、比較の検索が26.2%と、8つの中で下から2番目だったことです。「比較はAIに答えさせやすい」という直感とは、逆でした。
「Salesforce」と「Salesforceとは」の差は、検索の意図で説明できる
Ahrefs は、この分類とは別に、検索の意図(情報を知りたい・特定のサイトに行きたい・買う前に比べたい・買いたい)ごとのデータも出しています。冒頭の疑問の答えは、ここにありました。
特定のサイトに行きたいだけの検索(ナビゲーショナル)でAI Overviewsが出た割合は、0.9%でした。100件に1件も出ない計算です。「Salesforce」とだけ打つ検索は、まさにこの型です。Googleからすれば、要約を挟まずに公式サイトへ送ればよい、ということなのだと思います。
※ Ahrefs の本文には「0.09%」とありますが、同じ記事の表(2,909,989件中26,413件)から計算すると0.9%です。この記事では表の値を使っています。
一方、「Salesforceとは」は、社名を含んでいても、意図としては定義を聞く、情報を知りたい検索です。情報を知りたい検索でAI Overviewsが出た割合は21.4%、定義の検索に限ると47.3%でした。同じ単語を含んでいても、Googleが読み取る意図が違えば、出方はまったく変わります。
ブランド名を含まない検索は、含む検索の1.9倍の割合でAI Overviewsが出ていました(含まない24.9%、含む13.1%)。ブランド名を含む検索の多くは、行き先がすでに決まっている、サイトに行くための検索に寄りやすいから、と考えれば筋が通ります(出典:Ahrefs、同上)。
語数が多い検索ほど、AI Overviewsが出やすい
検索の語数との関係も、はっきりしていました。Ahrefs の調査では、1語の検索では9.5%だったのが、7語以上では46.4%まで上がります。
別の手法の調査でも、同じ傾向が出ています。米国の Pew Research Center が、2025年3月に米国の成人900人の実際の検索を追った調査では、1〜2語の検索でAIの要約が出たのは8%、10語以上の検索では53%でした。「who」「what」「when」「why」のような疑問詞で始まる検索では60%です(出典:Pew Research Center「Google users are less likely to click on links when an AI summary appears in the results」2025年7月22日)。
検索の件数を数えた Ahrefs と、人の検索を追った Pew で、近い傾向が出ている点は、この傾向の確からしさを支えていると思います。語数が多い質問と、キーワードとの関係は、ロングテールキーワードとAI検索の質問は何が違う?GEO対策でのキーワードの扱い方でも扱っています。
医療の検索ほど出やすく、ニュースと地域の検索では出にくい
もう1つ意外だったのが、YMYL(健康やお金など、人生に影響する情報)の検索です。「AIは、リスクの高い医療の情報には慎重になるはず」という予想に反して、YMYLの検索でAI Overviewsが出た割合は34.3%で、それ以外の検索(17.2%)の約2倍でした。医療に限ると44.1%まで上がります(出典:Ahrefs、同上)。Googleが医療の要約をためらっているどころか、むしろ積極的に答えを出しているように見えるのには、驚きました。
逆に、とても時事性の高いニュースの検索(6.3%)や、地域の検索(7.9%)では、出る割合がはっきり低く抑えられています。時事性の高い情報や、場所によって変わる情報は、AIがまとめるにはリスクが高いと判断されているのかもしれません。
AI Overviewsが出る範囲は、広がりつつある
ここまでの数字は、2025年9月の時点のものです。出る範囲は動いています。
SEOツールの会社 Semrush が、2025年1〜11月に1,000万件以上のキーワードを追った調査では、AI Overviewsが出た検索のうち、情報を知りたい検索が占める割合は、1月の91.3%から10月には57.1%まで下がりました。同じ期間に、買う前に比べたい検索は8.15%から18.57%に、買いたい検索は1.98%から13.94%に、特定のサイトに行くための検索は0.84%から10.33%に増えています(出典:Semrush「Semrush AI Overviews Study: What 2025 SEO Data Tells Us About Google's Search Shift」2025年12月15日)。
この数字は「AI Overviewsが出た検索の内訳」で、Ahrefs の「その型の検索のうち何%で出たか」とは数え方が違います。それでも、これまで出にくかった、買う前後の検索やサイトに行く検索にも、少しずつ広がっていることは読み取れます。「サイトに行く検索ではほぼ出ない」という線引きは、今後も動く可能性が高いと見ています。
私の見立て:Googleが避けているのは「危険なテーマ」ではなく「答えが定まらない問い」
ここまでのデータを並べて、私は1つの仮説にたどり着きました。理由・真偽・定義の検索で出やすく、比較の検索で出にくい。医療では出やすいのに、ニュースや地域の検索では出にくい。一見ばらばらに見えるこの動きは、「テーマの危険度」ではなく、「答えが1つに定まって動かないかどうか」という基準で説明できるのではないか、ということです。
医療の「なぜ〇〇になるのか」「〇〇とは何か」は、見た目は危険なテーマですが、医学的にほぼ確立した答えがあります。だから出やすい。比較の検索は、テーマ自体は無害でも、使う人の条件によって最適な答えが変わり、優劣を言い切りにくい。だから出にくい。ニュースや地域の検索も、答えが時々刻々と変わったり、個別の事情に左右されたりするので、まとめた瞬間に古くなったり外れたりしやすい、と考えています。
Googleは、AIによる概要とAIモードについて、「関連する複数のサブトピックやデータソースに対して検索を実行し、それをもとに回答を組み立てる」手法を使う場合がある、と説明しています(出典:Google 検索セントラル「AI features and your website」2025年12月31日更新)。複数の情報源を集めて組み立てるなら、情報源どうしが食い違いにくい、答えが確立した問いほどまとめやすいはずです。答えの安定性で出す・出さないを分けているように見えるのは、この仕組みとも合うと思います。
この仮説が正しければ、GEOで見るべきなのは「自社の業界が危険かどうか」ではなく、「自社が答えている問いに、揺るがない1つの答えがあるかどうか」です。同じ業界の中でも、確立した事実を扱うページと、条件によって答えが変わる比較のページとでは、AI Overviewsでの扱われ方がまったく違う可能性があります。AI検索全体の仕組みは、AI検索の仕組みとは?情報取得からLLMの回答生成まで解説で解説しています。
よくある質問
Q AI Overviewsは、どんな検索で出やすいですか?
Ahrefs が2025年9月の検索結果1億4,600万件を分析した調査では、「なぜ〇〇なのか」を聞く検索で59.8%、「はい・いいえ」で答える検索で57.4%、「〇〇とは」の検索で47.3%と、理由・真偽・定義を聞く検索で出やすくなっていました。語数が多い検索や、医療の検索でも出やすい傾向があります。比較の検索(26.2%)や、特定のサイトに行くための検索(0.9%)では出にくくなっていました。
Q 社名だけで検索すると、AI Overviewsが出ないのはなぜですか?
社名だけの検索は、特定のサイトに行くための検索と読み取られやすいためだと考えられます。Ahrefs の調査では、この型の検索でAI Overviewsが出たのは0.9%でした。同じ社名でも「〇〇とは」と聞くと、定義を知りたい検索になり、出る割合は47.3%まで上がります。
Q この出方は、これからも変わらないのですか?
変わっていく可能性が高いと見ています。Semrush の2025年の調査では、AI Overviewsが出た検索のうち、情報を知りたい検索の割合は1月の91.3%から10月の57.1%に下がり、買う前後の検索やサイトに行く検索の割合が増えていました。数字は調べた時点のものとして読みます。
まとめ
AI Overviewsが出るかどうかを左右しているのは、キーワードの見た目ではなく、Googleがその検索をどう分類しているかです。理由・真偽・定義を聞く検索では出やすく、比較やサイトに行く検索では出にくい。社名を含んでいても、行き先を知りたいのか、意味を知りたいのかで、結果はまったく変わります。医療の検索で出やすく、ニュースや地域の検索で抑えられていることは、Googleの線引きが「安全か危険か」だけでは説明できないことを示しています。
ただ、その線引きは2025年のあいだにも動いていました。自社が出たい検索で、今AI Overviewsが出ているかは、その時点で確かめる必要があります。