著者:喜多 陽平(Genview チームリーダー / 株式会社FID) 公開:2026-08-24

年齢が上がるほど生成AIを使う人は減りますが、50代・60代にも、無視できない数の利用者がいます。

先月、シニア向けの健康食品を扱うクライアントから、こう聞かれました。「うちのターゲットは50代・60代だから、GEO対策よりも、GoogleのAI Overviews(検索結果に出るAIの要約)の対策を優先すべきですよね?」

私は「そうですね」と即答しました。ところが電話を切ったあとで、その根拠を自分の言葉で説明できないことに気づきました。「年齢層が高い人ほど、ChatGPTやGeminiは使わず、Google検索にとどまっている」。業界でよく聞く前提ですが、いつ、どの調査で確かめられた話なのか、出典を教えてくれる人はいません。

そこで、海外の調査データと日本の公的統計を、自分で並べて見てみました。

この記事の読み方

この記事の年代別の数字は、弊社の観測ではなく、公開されている外部の調査(米国の Pew Research Center と、総務省の情報通信白書)です。それを私(喜多)が読んで考えたことをまとめています。数字は、2026年9月29日に原典で確かめました。気になった数字は、本文のリンクから元の調査で確かめてください。

30秒でわかる結論

  • 日本で生成AIを使ったことがある人は、50〜59歳で44.2%、60〜69歳で33.5%でした(総務省)
  • 米国では、65歳以上の23%が、ChatGPTなどのAIチャットボットを使ったことがあると答えています(Pew Research Center)
  • 60〜69歳で国を比べると、日本の33.5%は、米国・ドイツ・中国より低い数字でした
  • 「年齢が上がるほど使う人が減る」は正しく、「50代以上はほとんど使わない」は言い過ぎでした。50代以上向けでも、ChatGPTやGeminiでの見え方を確かめる対象から外さないほうがよいと考えています

この記事で扱う範囲

米国と日本の年代別の利用データ/60代の国際比較/仮説の答え合わせ/年代を入れた質問での確かめ方(外部の調査のまとめで、弊社の観測ではありません)

仮説:50代以上はChatGPTを使わず、Google検索にとどまっているのではないか

確かめたい仮説は、シンプルです。「toC商材のターゲットが50代以上なら、ChatGPTやGeminiに自社が認識・引用されるための対策(GEO対策)はまだ効き目が薄く、Google検索のAI Overviewsの対策を優先すべきだ」。

この仮説の裏には、「年齢層が高いほどAIチャットボットの利用は少なく、検索エンジンに頼っている」という前提があります。前提の向きは、おそらく正しいはずです。けれど、「どれくらい少ないのか」を数字で見たことはありませんでした。そこを確かめます。

AI検索が、Web検索と回答の生成をどう組み合わせているかは、AI検索の仕組みとは?情報取得からLLMの回答生成まで解説で解説しています。

米国:シニアのAIチャットボット利用は、どのくらいか

まず見たのは、米国の Pew Research Center が2026年6月に発表した調査です。「ChatGPT、Gemini、CopilotのようなAIチャットボットを使ったことがあるか」と、Google検索の中のAIの要約とは分けて、チャットボットそのものの利用を聞いています。今回知りたかった軸そのものでした。

AIチャットボットを使ったことがある人の割合(米国・年代別・2026年) ChatGPT・Gemini・CopilotのようなAIチャットボットを使ったことがある米国の成人の割合。18〜29歳66%、30〜49歳61%、50〜64歳42%、65歳以上23%。出典は Pew Research Center(2026年6月17日発表)。 18〜29歳 66% 30〜49歳 61% 50〜64歳 42% 65歳以上 23%
AIチャットボット(ChatGPT・Gemini・Copilotなど)を使ったことがある米国の成人の割合。濃い色が50歳以上。出典:Pew Research Center「How Americans' opinions and use of AI differ by age」2026年6月17日発表(調査は2026年2月17〜23日、米国の成人5,119人)。

65歳以上の23%という数字だけを見ると、「やっぱり少数派」という印象を受けます。Pew は2024年の同じ調査との比較も出していて、2024年は50〜64歳が25%、65歳以上が12%でした。単純に並べると、2年でほぼ倍になっています。

正直に書くと、Pew 自身が「2024年は、チャットボットについて少しでも聞いたことがある人にだけ聞いた」と注記しています。聞き方が違うので、この伸びをそのまま利用の伸びと言い切ることはできません。それでも、65歳以上の4人に1人近くがチャットボットを使ったことがある、という今の数字は、受け止めてよいと思います。

日本:年代別の生成AI利用と、60代の国際比較

次に日本です。助かったのが、総務省が2026年7月に公表した令和8年版の情報通信白書でした。日本・米国・ドイツ・中国の4か国を同じ設問で比べた、年代別の生成AIの利用経験が載っています。日本と海外を同じ軸で見るという、今回いちばんやりたかったことが、公的な資料でそのまま取れました。

生成AIサービスを使ったことがある人の割合(日本・年代別)

年代 使ったことがある
15〜19歳91.7%
20〜29歳78.2%
30〜39歳56.3%
40〜49歳49.0%
50〜59歳44.2%
60〜69歳33.5%

出典:総務省「令和8年版 情報通信白書|年齢階層」図表Ⅰ-1-1-7(2026年7月)

全体では58.8%で、前の年度の調査の26.7%から、ほぼ倍になっています。ここにも白書に注記があり、前の年度までは20歳以上が対象で、今回から15〜19歳が加わっています(出典:総務省「令和8年版 情報通信白書|個人における生成AIサービスの利用経験」2026年7月)。調査というのは、こうした対象年齢や設問の小さな変更が積み重なっていくものだと、あらためて感じました。

さらに面白かったのが、同じ白書にある60〜69歳の国際比較です。

生成AIサービスを使ったことがある60〜69歳の割合(国別) 60〜69歳で生成AIサービスを使ったことがある人の割合。日本33.5%、ドイツ45.2%、米国51.0%、中国86.5%。出典は総務省「令和8年版 情報通信白書」図表Ⅰ-1-1-7。 日本 33.5% ドイツ 45.2% 米国 51.0% 中国 86.5%
生成AIサービスを使ったことがある60〜69歳の割合(国別)。出典:総務省「令和8年版 情報通信白書」図表Ⅰ-1-1-7(2026年7月)。

同じ「60代の利用経験」で見ても、国によってかなりの差があります。今回の4か国の中では、日本の60代が一番低い数字でした。中国の86.5%は別として、米国やドイツと比べても、日本の60代はまだ低めです。

ここで注意しておきたいことがあります。総務省の「生成AIサービスの利用経験」と、Pew の「AIチャットボットを使ったことがあるか」は、聞き方も調査時期も違います。実際、総務省の調査の米国60〜69歳は51.0%なのに、Pew の米国65歳以上は23%です。同じ米国のシニアでも、ここまで数字が違います。2つを並べて「米国のシニアは○%」とまとめることはできません。方向として見れば、どちらの調査でも、「年齢が上がるほど利用は減るが、シニアにも無視できない数の利用者がいる」という向きは一致しています。

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結果:仮説は半分正しく、半分外れていた

最初の仮説、「50代以上はChatGPTやGeminiをほとんど使わず、Google検索にとどまっている」を確かめた結果は、半分正しく、半分外れていた、というのが私の見立てです。

正しかったのは、年齢が上がるほど利用が減るという傾向です。日本の60〜69歳(33.5%)は、20〜29歳(78.2%)の半分以下です。米国の Pew の調査でも、65歳以上(23%)は18〜29歳(66%)の3分の1ほどです。日本でも米国でも同じ向きでした。

外れていたのは、「ほとんど使わない」という前提のほうです。日本の50〜59歳は44.2%で、半数近くが生成AIを使ったことがあります。60〜69歳でも33.5%、3人に1人です。Pew の調査でも、50〜64歳は42%、65歳以上でも23%が使ったことがあると答えています。「ターゲットの大半は使っていない」と切り捨てられる数字ではありません。

この結果を見て、私は考えを少し改めました。年齢層が高いほど検索エンジンに頼る傾向はあると思うので、AI Overviewsの対策を最初の一手にする判断は、今も筋が通っていると考えています。ただ、50代で半数近く、60代でも3人に1人という規模になると、ChatGPTやGeminiでどう認識・引用されるかも、もう外せない領域に入っていると思います。あのクライアントへの答えは、次にお会いするときに更新するつもりです。

50代・60代向けなら、年代を入れた質問でも確かめる

50代・60代の人がAIに相談するとき、「50代におすすめの〇〇は?」のように、年代を質問に入れることがあります。年代が入ると、AIの答えは変わります。

弊社の実験では、化粧品の8問に「20代」「30代」「40代」を一語足して比べたところ、引用元の重なりが、同じ質問を聞き直したときの基準線に対して、ChatGPTで11.2ポイント、Geminiで24.5ポイント下がりました。「おすすめ」「比較」のような聞き方の違い(3.4〜6.3ポイント)より大きな変化です(出典:株式会社FID/Genview「AIへの聞き方で出てくる会社は変わるのか」2026年9月)。

この実験で試したのは20〜40代で、50代・60代は試していません。業界も化粧品だけです。それでも、年代の一語で引用元が変わる以上、50代・60代向けの商材なら、年代を入れた質問でも自社がどう出るかを確かめておく価値はあると考えています。確かめ方は、AI検索で自社が出ているか確認する方法|名前・説明・引用元の見方にまとめています。

よくある質問

Q 50代・60代は、ChatGPTやGeminiを使っているのですか?

A

一定の数の人が使っています。総務省の令和8年版情報通信白書(2026年7月)では、日本で生成AIサービスを使ったことがある人は、50〜59歳で44.2%、60〜69歳で33.5%でした。米国の Pew Research Center の調査(2026年6月発表)でも、50〜64歳の42%、65歳以上の23%が、ChatGPT・Gemini・CopilotのようなAIチャットボットを使ったことがあると答えています。

Q 日本の50代と米国の50代を、同じ数字で比べてよいですか?

A

別々の調査の数字をそのまま比べるのは、おすすめしません。「生成AIサービスの利用経験」と「AIチャットボットの利用経験」では聞き方が違い、調査時期も年齢の区切りも違います。同じ米国のシニアでも、総務省の調査(60〜69歳で51.0%)と Pew の調査(65歳以上で23%)で、これだけ差が出ます。数字は、それぞれの調査の中での傾向として読みます。

Q 50代以上向けのtoC商材では、GEO対策をどこから始めればよいですか?

A

「高齢層だからAI Overviewsの対策だけで十分」と一括りにしないことだと思います。検索エンジンに頼る傾向を考えると、AI Overviewsの対策を先に進めるのは筋が通っています。そのうえで、ターゲットの年代の3人に1人から2人に1人近くが生成AIを使ったことがある以上、ChatGPTやGeminiで自社がどう出るかも、あわせて確かめます。年代を入れた質問でも聞いてみてください。

まとめ

「年齢層が高いほどAIチャットボットを使わない」という傾向は、日本の公的統計でも米国の調査でも確かめられました。その下がり方はゆるやかで、50代・60代にも、すでに相当数の利用者がいます。日本の60代の33.5%は、米国・ドイツ・中国より低めですが、3人に1人です。

toC商材のGEO対策を考えるときは、「50代以上ならAI Overviewsの対策だけで十分」と一括りにせず、ターゲットの年代や国、使う場面ごとに、AI Overviewsの対策とChatGPT・Geminiでの見え方の比重を、そのつど見直すのが実態に近いと思います。

この記事を書いた人

喜多 陽平 / Kita Yohei

Genview チームリーダー / 株式会社FID

株式会社FIDにて、CRMツール「MOTENASU」および侍カートの営業・マーケティングを担当。海外のGEO・AI検索に関する最新情報をいち早くキャッチし、日本語で整理・発信することを得意としています。

GEOはまだ国内に一次情報が少ない領域です。海外のレポートや調査を正確に読み解き、日本のビジネス文脈で使えるかたちに届けることが、喜多の役割です。

専門領域:海外GEO・AI検索動向のリサーチ / SaaS・CRMツールの営業・マーケティング / 海外情報の翻訳・整理・発信

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