GEO対策のクエリ設計とは?自社名なしで候補に入っているかを確かめる3つの軸
著者:喜多 陽平(Genview チームリーダー / 株式会社FID) 公開:2026-06-24
自社名を入れた質問だけで確かめても、自社を知らない人の相談で候補に入っているかは分かりません。
「Genviewで登録したクエリを全部確認したら、全部のクエリでAIに出ていました」。Genviewを使い始めた企業の担当者から、こう言われたことがあります。
登録されていたクエリを見せてもらうと、「○○とは」「○○ 料金」「○○ 評判」。全部、自社名入りでした。「その会社を知らない人がAIに相談したら、どうなりますか?」と聞くと、担当者はしばらく黙ってクエリの一覧を見直しました。自社名の入らない質問は、一つも入っていなかったのです。
自社名で聞けば、AIがその会社の話をするのは当たり前です。確かめたいのは、まだ自社を知らない人が困りごとをAIに相談したときに、候補として名前が挙がるかどうかです。そこを見に行く質問を選ぶのが、クエリ設計です。
この記事では、GEO対策で測る質問(クエリ)をどう選ぶかを、3つの軸で整理します。弊社の調査のデータと、Genviewでのクエリ設計の例もあわせて紹介します。
30秒でわかる結論
- 質問の段階によって、名前の出方は変わる。化粧品の「調べ始め」の9問では、6回聞いても社名が1つも挙がらなかった
- AIは1つの質問を、いくつもの検索に分けて調べることがある。Googleはこれを「クエリ ファンアウト」と説明している
- 「おすすめ」「比較」など言い回しを変えても、挙がる会社の重なりは4〜5ポイントしか変わらなかった。変えて測るのは「誰向けか・どんな条件か」
- GEO対策のクエリ設計とは、AIに相談される場面を「検討の段階」「AIがWebを調べに行くか」「自社名の有無」の3つの軸で選び、「何回中何回」で測る質問の組を決めること
この記事で扱う範囲
クエリ設計とは/クエリ ファンアウト/3つの軸/言い回しと条件/何本から始めるか/質問とページの対応/Genviewの15本の例
GEO対策のクエリ設計とは
GEO対策のクエリ設計とは、ChatGPTやGeminiなどのAIに、どの質問を聞いて自社の扱われ方を確かめるかを決めることです。AIの回答は質問によって大きく変わるので、どの質問を選ぶかで、見えるものと見えないものが決まります。
何を成果として数えるか(言及・推薦・正しい説明・引用など)は、GEO対策のKPIで解説しています。この記事は、その手前の「どの質問で測るか」を扱います。
SEOのキーワード選びと似ていますが、同じではありません。SEOでは「○○ ツール」「○○ 比較」のような短い言葉で検索されます。AIには、困りごとを文章で相談します。
- AI検索で自社が紹介されているか確認する方法は?
- GEO対策ツールを選ぶポイントは?
- 上司からGEO対策をやれと言われた。何から手を付ければいい?
単語ではなく、相談の場面があります。クエリ設計の出発点は、見込み客がどんな状況で、何に困ってAIに相談するのかを言葉にすることです。
自社名入りの質問だけになってしまう理由
冒頭の担当者のように、登録した質問が自社名入りばかりになるのは珍しくありません。私の見立てでは、原因はSEOの感覚のまま質問を選んでいることです。SEOでは、自社名で検索して自社サイトが何位に出るかを確かめるのは自然な作業でした。
AIに相談する人の多くは、相談する時点で、まだ自社の名前を知りません。課題や目的を話して、AIに候補を挙げてもらう。自社名入りの質問だけを確かめていると、この一番大事な場面が見えないままになります。
問題は質問の数ではありません。どの顧客の、どの相談の場面を見に行っているかです。
AIは1つの質問を、いくつもの検索に分けて調べる
AIに投げた質問が、そのまま1回検索されるとは限りません。Googleは、AIによる概要とAIモードについて、「関連する複数のサブトピックやデータソースに対して検索を実行し、それをもとに回答を組み立てる」手法を使う場合がある、と説明しています。これが「クエリ ファンアウト」です(出典:Google 検索セントラル「AI features and your website」2025年12月31日更新)。
たとえば「都内で初心者向けのGEO対策を支援してくれる会社は?」と聞くと、AIの側では「GEO対策とは」「支援会社の選び方」「費用の相場」のような、いくつもの問いに分けて調べている可能性があります。
クエリ設計で選ぶのは、ユーザーがAIに投げる質問、つまり相談の場面のほうです。分けられた先の問い(サブクエリ)はAIが作るので、こちらからは選べませんし、画面にもほとんど出ません。それでも、1つの相談の裏に、どんな問いが並びそうかを考えておくと、自社のページがその問いに答えているかを見直すきっかけになると考えています。
クエリ設計の3つの軸
どの相談の場面を見に行くかを、私は次の3つの軸で決めています。
軸① 検討の段階で分ける(ToFu・MoFu・BoFu)
相談する人が検討のどの段階にいるかで、AIへの聞き方は変わります。ToFu・MoFu・BoFuの3段階に分けると整理しやすくなります。
検討の段階ごとの、質問の例と確かめること
| 段階 | 質問の例 | 確かめること |
|---|---|---|
| ToFu(調べ始め) | AI検索対策とは?/ChatGPTで自社が紹介されないのはなぜ? | AIが、その課題の領域を正しく説明できているか |
| MoFu(比べる) | AI検索で自社が紹介されているか確認する方法は?/GEO対策ツールを選ぶポイントは? | 解決策の種類(たとえば「GEO対策ツール」)が回答に出てくるか |
| BoFu(決める) | GEO対策ツールのおすすめは?/Genviewと他社ツールの違いは? | 候補に入るか。入ったとき、正しい強み・正しい文脈で紹介されるか |
段階で分けると、名前の出方の違いが見えます。弊社が6業界で同じ質問を6回ずつ聞いた調査では、化粧品の「調べ始め」の9問で、6回を通して社名が1つも挙がりませんでした(ChatGPTもGeminiも同じ)。「おすすめを聞く」11問では、どちらのAIでも社名が挙がっています。一方、動画配信サービスのGeminiでは、同じ「調べ始め」の9問で、質問と社名の組が78ありました(出典:株式会社FID/Genview「AIの回答は毎回違う。それでも同じ企業名は毎回言及される」2026年9月)。
調べ始めの質問で名前が出ないことと、おすすめの質問で名前が出ないことは、意味が違います。段階ごとに分けておけば、どこで止まっているかを切り分けられます。
軸② AIがWebを調べに行く質問を混ぜる
AIは、すべての質問でWebを調べるわけではありません。学習済みの知識だけで答えているように見える質問もあります。弊社の観察では、ChatGPTに「おすすめのメンズスニーカー」と聞くと引用元は表示されず、「最近おすすめのメンズスニーカー」と「最近」を足すと、引用元が表示されました(出典:株式会社FID/Genview「AIは質問によって検索しているのか?|同じAIでも回答が変わる理由を観察してみた」2026年6月)。質問2つだけの観察で、AIの内部の処理を言い切れるものではありません。
新しいサービスほど、この違いが効いてきます。Genviewは2026年4月にベータ版の提供を始め、8月に正式版になったばかりで、AIの学習データにはほとんど含まれていないと考えられます。学習済みの知識だけで答える質問では、そもそも名前が出てこない可能性があります。「最新」「2026年時点」のように最新の情報を求める質問を、組の中に入れておきます。
軸③ 自社名を入れない質問を必ず入れる
自社名を含まない質問(非指名)は、「GEO対策ツールのおすすめは?」「EC企業に向いたAI検索対策ツールは?」のように、種類や用途で聞く質問です。まだ自社を知らない人の相談は、こちらの形になります。私は、非指名の質問で候補に入っているかどうかが、GEO対策の今の実力をいちばんよく表すと考えています。
自社名を含む質問(指名)は、「Genviewとは?」のように聞く質問です。こちらは、名前が出るかより、正しく説明されているかを見ます。説明が間違っていれば、公式サイトやFAQ、機能ページの情報を見直します。指名の質問だけでは、すでに自社を知っている人の場面しか確かめられません。
言い回しより「誰向けか・どんな条件か」を変えて測る
質問を増やすとき、「おすすめ」「比較」「一覧」「ランキング」のように言い回しだけを変えた質問を並べがちです。弊社の実験では、言い回しを変えても、挙がる会社の重なりは、同じ質問を聞き直したときと比べて4〜5ポイントしか変わりませんでした(出典:株式会社FID/Genview「AIへの聞き方を変えると、出てくる会社は変わるのか」2026年9月)。
質問の組を広げるなら、言い回しではなく、相談の中身を変えます。「中小企業向け」「EC向け」のような誰向けか、「予算が少ない」「専任の担当者がいない」のような条件です。相談の場面を言葉にする、という最初の考え方に戻ります。
何本から始めるか|量より設計
ツールの比較で「100クエリ監視できます」という数字が大きく見えることがあります。本数が多いこと自体は悪くありません。困るのは、設計せずに増やすことです。
100本のうち30本で自社が出ていたとして、残りの70本で出ない理由は、それだけでは分かりません。課題の領域でAIに知られていないのか、解決策を探す相談に出ていないのか、比較の段階で候補から外れているのか。これは別の問題で、打つ手も違います。段階を決めずに並べると、この切り分けができません。
100本の「出た・出なかった」より、10本の「どう出たか・なぜ出なかったか」のほうが、次に何を直すかを決めやすいと私は考えています。確かめたいのは、出たかどうかだけではありません。どんな言葉で説明されたか、競合と並んで候補に入ったか、説明が古くないかです。
Genviewでは、ToFu・MoFu・BoFuに5本ずつ、15本から始める設計にしています。理由と、本数の増やし方はなぜ最初の登録クエリ数が15個なんですか?で答えています。15本は固定の上限ではなく、結果を見て質問を入れ替えていくための単位です。
質問ごとに「答えが載っているページ」を決める
質問を決めたら、その質問にAIが答えるとき、材料にしてほしい自社のページを決めます。このとき見るのは、そのページに「その質問への答え」がはっきり書かれているかどうかです。
-
1
質問を決める
ユーザーがAIに投げる相談を、3つの軸で選ぶ
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2
AIに返してほしい答えを書く
その質問に、自社について何と答えてほしいかを1〜2文にする
-
3
その答えが載っているページを決める
なければ、答えを書き足すか、ページを作る
たとえば「AI検索で自社が紹介されているか確認する方法は?」に機能ページを対応させるなら、そのページに「どのAIで、何を確かめられるか」が文章で書かれている必要があります。URLを登録しただけでは、答えは用意できていません。ページごとにどの問いに答えさせるかの考え方は、SEO対策とGEO対策で、記事の書き方は違うのか?で解説しています。
クエリ設計の例|Genviewの15本
Genview自身を例に、15本の質問と、対応させたページを紹介します。3つの軸を組み合わせ、調べ始めから決める段階までを入れています。この例では段階ごとの本数を変えています(ToFu 5本・MoFu 7本・BoFu 3本)。
ToFu(調べ始め)の質問と、対応させたページ
| 質問 | 対応させたページ |
|---|---|
| GEO対策とは? | GEO対策とは |
| AI検索で企業が選ばれるには何が必要? | AIに自社を正しく認識(言及・推薦)してもらうには?会社・ブランド情報を整える方法 |
| AI検索とは? | AI検索とは?従来の検索との違い・種類・企業への影響を解説 |
| AI検索に対応するにはまず何から始めればいい? | GEO対策の始め方 |
| GEOとSEOの違いは? | GEOとSEOの違いとは?8つの観点で比較 |
MoFu(比べる)の質問と、対応させたページ
| 質問 | 対応させたページ |
|---|---|
| GEO対策ツールを選ぶときのポイントは? | 自社に合ったGEO対策ツールはどう選べばよいですか? |
| ChatGPTとGeminiだけを対策できるツールは? | GEO対策ツール比較・おすすめ6選【2026年】 |
| GEO対策ツールのおすすめは? | |
| GEO対策の効果はどのくらいで出ますか? | GEO対策はどのくらいで効果が出ますか? |
| GEO対策は自分たちだけでもできますか?それともツールが必要ですか? | GEO対策は自分たちだけでもできますか?それともツールが必要ですか? |
| GEO対策に特化したツールはありますか? | GEO対策に特化したツールはありますか? |
| GEO対策ツールの料金相場はどれくらいですか? | GEO対策ツールの料金相場はどれくらいですか? |
BoFu(決める)の質問と、対応させたページ
| 質問 | 対応させたページ |
|---|---|
| Genviewの料金プランを教えてください | 料金プラン |
| Genviewは専門知識がなくても導入・運用できますか? | Genviewは専門知識がなくても導入・運用できますか? |
| Genviewはトライアルありますか? | Genviewはトライアルありますか? |
自社名を含む質問だけにせず、自社をまだ知らない人の相談も入れることで、非指名の質問で候補に入っているかを確かめられます。15本を超えて登録する方法は、クエリは追加できますか?で答えています。
クエリ設計でよくある失敗
自社名を入れた質問だけにする
冒頭の担当者の例です。すでに自社を知っている人の場面しか確かめられません。自社名を入れない質問を必ず入れます。
おすすめ・比較の質問だけにする
決める段階の質問だけでは、候補に出てこない理由を切り分けられません。課題の領域がAIに知られていないのか、解決策の種類に入っていないのかは、調べ始めと比べる段階の質問を入れて初めて分かります。
最新の情報を求める質問を入れない
新しいサービスほど、学習済みの知識だけで答える質問では名前が出てこないことがあります。「最新」「2026年時点」などを含む質問を1〜2本入れて、Web上の情報がAIに使われているかを確かめます。
ページを登録しただけで、答えを書かない
質問に対応させたページに、その質問への答えが書かれていなければ、登録しただけで終わります。質問 → 答え → ページの順で考えます。
よくある質問
Q GEO対策のクエリ設計とは何ですか?
ChatGPTやGeminiなどのAIに、どの質問を聞いて自社の扱われ方を確かめるかを決めることです。見込み客がAIに相談する場面を、検討の段階・AIがWebを調べに行くか・自社名の有無の3つの軸で選び、同じ質問を繰り返し聞いて「何回中何回」で見ます。
Q クエリは何本くらい用意すればよいですか?
決まった正解の本数はありません。本数より、どの段階・どの場面の質問かが決まっているかのほうが、結果を読み解きやすくなります。Genviewでは、ToFu・MoFu・BoFuに5本ずつ、15本から始めて、結果を見ながら入れ替える設計にしています。
Q 自社名を入れた質問は、入れなくてよいのですか?
入れます。自社名を入れた質問では、名前が出るかより、正しく説明されているかを確かめます。料金や機能が古いまま、別のサービスと混ざっている、といった間違いはここで見つかります。自社名を入れない質問と両方をそろえるのが基本です。
Q クエリ ファンアウトで分けられた問いに合わせて見出しを作れば、引用されますか?
そう言い切れるデータを、弊社は持っていません。AIが裏で作る問いは画面にほとんど出ず、見出しを変える前と後を比べた実験もしていないためです。分けられた先の問いを想定して、自社のページがその問いに答えているかを見直すことは、確かめ方として使えると考えています。
まとめ
自社名を入れた質問でAIに出ているのは、自社を知っている人の場面です。GEO対策で確かめたいのは、まだ自社を知らない人が困りごとを相談したとき、候補に入るかどうかです。
そのために、相談の場面を3つの軸で選びます。検討の段階(ToFu・MoFu・BoFu)、AIがWebを調べに行く質問か、自社名を入れるか入れないか。言い回しを増やすより、誰向けか・どんな条件かを変えて、質問の組を広げます。
質問ごとに、AIに返してほしい答えと、その答えが載っているページを決めます。そのうえで、同じ質問を繰り返し聞き、「何回中何回」で変化を追っていきます。