著者:喜多 陽平(Genview チームリーダー / 株式会社FID) 公開:2026-05-25

AIが引用した企業のページの多くは、商品の案内ではなく、解説の記事でした。

「GEO対策用に記事を書き直さないといけないんですか?」。商談で、こう聞かれることがあります。

GEO対策と聞くと、AI向けに特別な書き方があり、今ある記事を全部作り直すように思えます。けれどもGoogleは、AIによる概要やAIモードに表示されるために、特別な最適化は要らないと説明しています。

見直すのは、書き直す量ではなく、設計のほうだと考えています。この記事では、弊社の調査でAIが引用していたページの種類を確かめたうえで、書き方、見出し、ページの役割、ページどうしのつなぎ方を順に整理します。

30秒でわかる結論

  • 英会話サービスの公式サイトでAIに引用されたページは、9割がブログ・コラムの記事だった
  • Geminiが社名を出さずに引用していたページも、商品一覧ではなく選び方や仕組みの解説記事だった
  • GoogleはAI機能のための特別な最適化は要らないと説明しており、土台はSEOと同じ
  • GEO対策のために記事を全部書き直す必要はない。見直すのは、問いに答える書き方、見出し、ページの役割、ページどうしのつなぎ方(弊社の考え)

この記事で扱う範囲

買い手の調べ方の変化/AIが引用していたページの種類(弊社の調査)/結論を先に書く・ほかにない情報・書き手の明示/見出し/ページの役割と内部リンク/言葉と情報源の幅/書き直す前の確かめ方

なぜコンテンツの設計を見直すのか:買い手の調べ方が変わった

買い手がサービスを探すとき、AIに聞く場面が増えています。Wynterが2026年1月にB2B SaaS企業のCMO 101人に聞いた調査では、84%がベンダーを探すときにChatGPT・Claude・PerplexityなどのAIを使っていました。2025年は24%でした。68%は、検索エンジンより先にAIで調べ始めています(Wynter「How B2B SaaS CMOs buy software in 2026」)。

この調査を紹介したMarketingProfsの記事は、買い手がブランドに出会い、選ぶまでの流れを、ファネルではなく3つの重なり合う層で整理しています(MarketingProfs「Search Isn't Dead, but Your Customer Acquisition Strategy Might Be」Adam Heitzman、2026年)。

買い手に発見され、選ばれるまでの3つの層(MarketingProfsの記事をもとに整理)

層 意味 主な取り組み
Presence(見つけてもらう) 買い手が調べている場所にいること AIの回答での引用、検索、コミュニティ
Influence(信頼される) 信頼できる情報源として受け取られること 専門メディアへの寄稿、業界での発信、第三者の評価
Engagement(選ばれる) 発見から検討・選択につなげること 分かりやすいコンテンツ、デモ、問い合わせまでの道筋

買い手はAIでカテゴリの全体をつかみ、口コミや動画を見てから、企業のサイトにたどり着きます。その途中の接点の多くは、これまでの分析ツールでは見えません。AIの回答で情報が完結し、サイトに来ないまま比べられる場面については、ゼロクリック化で何が変わる?AI検索で変わるマーケティングファネルで解説しています。

AIが引用していたのは、解説の記事だった(弊社の調査)

では、AIは企業のサイトのどのページを引用しているのか。弊社の2つの調査で、同じ傾向が見えました。

1つ目は英会話です。30問をChatGPTとGeminiに聞いたところ、英会話サービス7社(Bizmates、ECCオンラインレッスン、Kimini英会話、イーオン、シェーン英会話、レアジョブ英会話、QQEnglish)の公式サイトで引用されたURLは59本でした。そのうち53本、9割がブログやコラムの記事で、コースやレッスン、教室の案内ページは6本でした(出典:株式会社FID/Genview「英会話のGoogle上位サイトは、AIの回答にどれだけ登場(引用)したのか?」2026年8月)。

2つ目はクレジットカードです。Geminiの回答で、三菱UFJニコスのサイトは76回答で引用されていましたが、社名が出ていたのは12回答でした。引用されていたのは商品の一覧ではなく、カードの選び方や仕組みを説明する記事でした(出典:株式会社FID/Genview「AIがあなたの会社の名前を出すとき、見ているのは自社サイトとは限らない」2026年9月)。

この調査から言えないこと

引用されていたページを数えただけで、記事を書く前と後を比べてはいません。「ブログやコラムを書けば引用される」とは言えません。

それでも、AIが企業のサイトから引用していたのは、商品の案内より、買い手の疑問に答えるページが多かった。コンテンツの設計を見直すときは、商品ページを飾るより先に、買い手が聞きそうな問いに答えるページがそろっているかを確かめます。

書き方①:問いへの答えを先に書く

AIは、1つのページを最初から最後まで読んでから答えるとは限りません。ページの一部を取り出して回答に使うこともあります。そのため弊社では、節ごとに、問いへの答えを最初の1〜2文で書くようにしています。結論を先に書く書き方は、BLUF(Bottom Line Up Front)と呼ばれます。詳しくはBLUF(ブラフ)とは|意味・読み方・定義で解説しています。

一文を短くする、指示語(「これ」「それ」)で前の文を受けない、表や箇条書きで比べるものを並べる。こうした、機械にも人にも読み取りやすい書き方の考え方は、AI可読性とは|意味・定義で整理しています。

書き方②:ほかのページにない情報を足す

同じ問いに答えるページがいくつもあるとき、どのページも同じことを書いていれば、そのページでなければならない理由がありません。ほかのページにない情報を、どれだけ足しているか。この考え方を情報利得と呼びます。詳しくは情報利得とは|情報密度との違いとGEOでの考え方で解説しています。

ほかにない情報の中心になるのが、自社の調査・実績・事例などの一次情報です。一次情報の集め方や作り方は、GEO対策で使う一次情報の作り方|自社データがなくても作れる4つの材料にまとめています。

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書き方③:誰が書いたかを示す

書いた人の経験や専門性、運営している会社が分かることは、読み手がその情報を信じるかどうかの手がかりになります。Googleがページの質を見るときの考え方として示しているのが、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)です。詳しくはE-E-A-Tとは|意味と4つの要素・E-A-Tとの違いで解説しています。

お金や健康など、読み手の生活に大きくかかわる分野はYMYLと呼ばれ、書き手と根拠をより丁寧に示すことが求められます。詳しくはYMYL(Your Money or Your Life)とは|意味・読み方・定義で解説しています。

書き手の情報を機械にも伝えるための構造化データ(Person)の入れ方は、GEO対策で優先する構造化データは?21種類の優先順位と設置場所で整理しています。

見出しは、節の中身が分かる形にする

AIがページの一部を取り出して使うなら、見出しは、その節だけを読んでも何の話か分かる形にしておきます。「まとめ」「ポイント」のような見出しだけでは、何のまとめなのかが伝わりません。「〇〇の選び方」「〇〇と△△の違い」のように、節が答える問いを見出しに書きます。

H1・H2・H3の順番を飛ばさないことも、ページの組み立てを機械に伝えるための基本です。見出しの使い方は、見出し構造とは?H1・H2・H3の正しい使い方とSEO・AI検索での考え方で詳しく解説しています。

ページに役割を与え、関連するページとつなぐ

1つの問いに1ページで答えきれないときは、全体をまとめるページと、細かい問いに答えるページを分け、リンクでつなぎます。この組み立て方はトピッククラスターと呼ばれます。詳しくはトピッククラスターとは|意味とピラーページ・コンテンツハブとの違いで解説しています。

SEOとGEOでページの役割の与え方がどこまで同じで、どこが違うのかは、SEO対策とGEO対策で、記事の書き方は違うのか|ページに与える5つの役割で整理しています。

ページどうしをつなぐリンクは、なぜその先に進むのかが分かる文の中に置き、リンクの文字には行き先のページの題名を使います。リンクの考え方は内部リンク(Internal Links)とは|意味・定義で解説しています。

言葉と情報源に幅をもたせる

あるテーマについて書くとき、そのテーマと一緒に使われることの多い言葉が入っていると、何の話かが伝わりやすくなると考えています。一緒に使われる言葉の関係を共起と呼びます。詳しくは共起(Co-occurrence)とは|意味・読み方・定義で解説しています。

AIの回答は、1つのサイトだけでなく、いくつもの種類の情報源をもとに作られることがあります。自社サイトの外で、自社がどう書かれているかも、あわせて見ておきます。考え方はソースの多様性(Source Diversity)とは|意味・定義で解説しています。

書き直す前に、今のAIの回答を確かめる

どの記事を見直すかは、AIに聞いて決めます。自社にとって大事な質問をAIに聞き、自社の名前が出るか、どのページが引用されているか、説明が正しいかを確かめます。そのうえで、答えるページがない問い、答えがずれているページから手をつけます。

AIの回答は、同じ質問でも聞くたびに変わります。1回の結果で決めず、何度か聞いて確かめます。進め方は、GEO対策の始め方|初心者向けに5つのステップで実践方法を解説で解説しています。

コンテンツを見直しても保証されないこと

  • Googleは、AIによる概要やAIモードに表示されるための追加の要件はなく、特別な最適化も要らないと説明しています(Google 検索セントラル「AI 機能とウェブサイト」)。
  • この記事の書き方や組み立て方で、AIの回答での引用・言及・推薦が増えるかどうかは、弊社でも確かめていません。書き方を変える前と後を比べた実験は、まだ行っていません。
  • 弊社の調査は、引用されていたページの種類を数えたもので、英会話とクレジットカードの2つの業界の結果です。

よくある質問

Q GEO対策のコンテンツ設計では、何を見直せばいいですか?

A

弊社では、問いへの答えを先に書いているか、ほかのページにない情報があるか、誰が書いたかが分かるか、見出しで節の中身が分かるか、関連するページとつながっているか、の順に見直しています。どのページから手をつけるかは、今のAIの回答を確かめてから決めます。

Q GEO対策用に記事を書き直さないといけないんですか?

A

全部を書き直す必要はありません。Googleも、AI機能に表示されるための特別な最適化は要らないと説明しています。答えるページが足りない問いや、答えがずれているページから、書き方と組み立てを見直します。

Q AIは、企業のサイトのどんなページを引用していますか?

A

弊社の調査では、英会話サービス7社の公式サイトで引用された59本のうち53本がブログやコラムの記事でした。クレジットカードでも、Geminiが引用していた三菱UFJニコスのページは、商品一覧ではなく選び方や仕組みの解説記事でした。記事を書く前と後を比べたわけではないので、記事を書けば引用されるとまでは言えません。

Q AI検索の時代でも、SEOへの取り組みは続けるべきですか?

A

続けます。GoogleはAI機能についても、これまでのSEOのベストプラクティスが引き続き有効だと説明しています。GEO対策のコンテンツ設計は、SEOで作ってきたページの上に、問いへの答え方とページのつなぎ方を足していく作業だと考えています。

Q B2BとB2Cで、コンテンツの設計は変わりますか?

A

書き方の基本は同じです。重みが変わるのは、答える問いの種類です。B2Bでは比べるときの質問(違い・選び方・導入の条件)に、B2Cでは買う前の質問(使い方・口コミ・価格)に答えるページが要ると考えています。

まとめ:GEO対策のコンテンツは、書き直すより設計を見直す

買い手がAIで調べ始めるようになっても、AIが企業のサイトから引用していたのは、多くが買い手の疑問に答える解説の記事でした。英会話では、公式サイトで引用されたページの9割がブログやコラムでした。

GEO対策のために、AI専用の書き方で記事を作り直す必要はありません。問いへの答えを先に書く、ほかにない情報を足す、書き手を示す、見出しで中身を伝える、ページに役割を与えてつなぐ。どこから手をつけるかは、今のAIの回答を確かめて決めます。

この記事の答え

記事を全部書き直す必要はありません。GEO対策のコンテンツ設計で見直すのは、問いに答える書き方、見出し、ページの役割、ページどうしのつなぎ方です。

この記事を書いた人

喜多 陽平 / Kita Yohei

Genview チームリーダー / 株式会社FID

株式会社FIDにて、CRMツール「MOTENASU」および侍カートの営業・マーケティングを担当。海外のGEO・AI検索に関する最新情報をいち早くキャッチし、日本語で整理・発信することを得意としています。

GEOはまだ国内に一次情報が少ない領域です。海外のレポートや調査を正確に読み解き、日本のビジネス文脈で使えるかたちに届けることが、喜多の役割です。

専門領域:海外GEO・AI検索動向のリサーチ / SaaS・CRMツールの営業・マーケティング / 海外情報の翻訳・整理・発信

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