AI検索で流入は減ってもCVが落ちない?検索行動・SEOの変化を解説
著者:喜多 陽平 / Kita Yohei
公開日:
AI検索の普及によって、「検索流入が減っている」「SEOで上位を取っても以前ほどクリックされない」と感じる企業は増えています。
実際、GoogleのAI Overviews(AIによる概要)が表示される検索では、上位ページのクリック率低下を示す調査があります。一方で、AI検索を経由してサイトを訪れたユーザーは、すでに情報収集や比較を進めているため、コンバージョンにつながりやすい可能性を示すデータもあります。
つまり、AI検索時代に起きている変化を「流入が減る」という一言だけで捉えるのは不十分です。
重要なのは、どの流入が減っているのか、CV(コンバージョン)はどう変化しているのか、そして検索順位とは別にAI上で自社がどのように言及・引用されているのかを分けて見ることです。
この記事でわかること
- AI検索によって検索流入が減る可能性がある理由
- 影響を受けやすい検索と、サイト訪問が残りやすい検索の違い
- 流入が減ってもCVまで減るとは限らない理由
- AI検索時代に見るべきSEO・Webマーケティング指標
- 検索順位とAI上の言及・引用を分けて確認する必要性
AI検索で検索流入は本当に減るのか
結論から言えば、AI検索によって一部の検索流入が減る可能性はあります。
ただし、「AI検索が普及すると、すべてのWebサイトの流入が一律に減る」と考えるのは正確ではありません。
Google検索のAI Overviewsと、ChatGPTやGeminiなどの対話型AIでは、ユーザー体験もサイトへの流入経路も異なります。
GoogleのAI Overviewsでは、通常の検索結果と同じ画面上にAIによる回答と関連リンクが表示されます。一方、ChatGPTなどでは、AIとの対話の中で情報収集や比較を進め、その回答からサイトへ移動したり、後から企業名を検索したりすることがあります。
そのため、AI検索の影響を見るときは、単純に「AI経由のアクセスが何件あったか」だけではなく、検索行動全体がどのように変わったのかを見る必要があります。
AI検索とは何かについては別ページで解説しています。情報取得から回答・引用生成までの流れは、AI検索の仕組みとは|情報取得からLLMによる回答生成までをご覧ください。
AI Overviewsが表示される検索ではクリック率低下が確認されている
Ahrefsが2025年12月のデータを用いて30万キーワードを分析した調査では、AI Overviewが表示されるキーワードでは、検索1位ページの平均CTRが、AI Overviewがない場合に比べて約58%低いという結果が報告されています。調査対象には情報収集型キーワードが使われています。
参考:Ahrefs「Update: AI Overviews Reduce Clicks by 58%」
日本向けの2026年6月データを分析したAhrefsの調査でも、情報収集型キーワードにおいて、AI Overview表示時の検索1位CTR低下が報告されています。
参考:Ahrefs「AI概要で検索1位のCTRが半年で -62.7%に激減」
つまり、検索順位を維持できていても、以前と同じだけクリックされるとは限らないということです。
これまでSEOでは、「上位表示される → クリックされる → サイト内で情報を収集する」という流れが中心でした。
AI Overviewsでは、検索結果上で回答の一部を確認できるため、ユーザーがそこで疑問を解決すれば、Webサイトをクリックする必要がなくなる場合があります。
ただし、すべての検索流入が一律に減るわけではない
一方で、GoogleはGoogle検索全体について、2025年8月時点でオーガニッククリック総量は前年比で概ね安定しており、「質の高いクリック」は増加していると説明しています。
Googleは、AIによる回答で概要を把握した後、さらに詳しく調べたり、購入を検討したりするためにサイトを訪れるケースがあると説明しています。
参考:Google「AI in Search: Driving more queries and higher quality clicks」
ここで、「Googleは流入が減っていないと言っている」「AhrefsはAI OverviewでCTRが下がると言っている」と単純に矛盾として捉えるべきではありません。
見ている範囲が異なるためです。
AhrefsはAI Overviewが表示される特定キーワードのCTRを分析しています。一方、GoogleはGoogle検索全体のクリック総量について説明しています。
つまり、個別の情報収集型クエリではクリック率が下がる一方、新しい検索行動や検索回数の増加などを含めた検索全体では、異なる動きが起きている可能性があると捉えるのが適切です。
AI検索で減りやすい流入・残る可能性がある流入
AI検索の影響を考えるときに重要なのが、すべての検索を一括りにしないことです。
情報収集型クエリは影響を受けやすい
たとえば、次のような比較的短い説明だけで疑問を解決できる検索では、検索結果やAI回答だけで情報収集が完結する可能性があります。
- 「GEOとは」
- 「CRM 意味」
- 「MAツールとは」
- 「〇〇と△△の違い」
このような検索では、これまでWebサイトが担っていた「最初の説明」の一部をAIが代替します。
特に、大量の「〇〇とは」記事から流入を獲得してきたサイトでは、検索順位だけを維持していても、クリック数が以前と同じ水準にはならない可能性があります。
詳細確認や意思決定ではWebサイトが引き続き使われる
一方、ユーザーがAIの回答だけですべての判断を完了するとは限りません。
たとえば、サービスを導入する場合には、次のような情報を確認する必要があります。
- 最新の料金
- 詳細な機能
- 導入条件
- 実際の導入事例
- 契約内容
- 公式な仕様
Googleも、AI OverviewsやAI Modeでは関連するWebサイトへのリンクを表示し、ユーザーがさらに詳しく調査できるよう設計していると説明しています。
参考:Google Search Central「AI機能とウェブサイト」
つまりAI検索によってWebサイトが不要になるというより、Webサイトへ訪れる前の情報収集プロセスの一部がAI側へ移っていると考えた方が実態に近いでしょう。
Zero Clickによって検索行動やファネル全体がどう変わるかについては、Zero Click Searchとファネル崩壊|AI時代に何が変わるのかで詳しく解説しています。
流入が減ってもCVまで減るとは限らない
ここがAI検索時代のWebマーケティングで特に重要なポイントです。
サイトへの訪問数が減ったとしても、CV数まで同じ割合で減るとは限りません。
理由の一つは、ユーザーがサイトへ訪問する前に、AIとの対話によって情報収集や比較を進められるようになったことです。
サイトへ来る前に情報収集や比較が進む
従来は、ユーザー自身が複数のWebサイトを訪問して情報を集めることが一般的でした。
検索 → 複数の記事を読む → サービスを知る → 比較する → 公式サイトを確認する → 問い合わせる
AI検索では、その一部をAIとの対話で進められます。
AIへ相談 → 選択肢を知る → 条件を整理する → 比較する → 候補を絞る → 公式サイトを確認する → 問い合わせる
この場合、Webサイトに訪問した時点で、以前よりもユーザーの検討が進んでいる可能性があります。
その結果として、サイト全体の訪問者数は減っても、問い合わせや購入に近いユーザーの割合が高まり、CVRが上昇するケースは考えられます。
流入40%減でもCV数が変わらないケース
簡単な例で考えてみましょう。
従来、100人が訪問し、そのうち2人が問い合わせた場合、CVRは2.0%です。
一方、サイト訪問前に情報収集する人が増え、60人が訪問し、そのうち2人が問い合わせた場合、流入数は40%減っていますが、CV数は2件のままです。
CVRは、2 ÷ 60 × 100 = 約3.3%となります。
| 指標 | 従来 | 変化後 |
|---|---|---|
| セッション | 100 | 60 |
| CV | 2 | 2 |
| CVR | 2.0% | 約3.3% |
流入数が40%減っていても、CV数が変わらない状態は成立します。流入が減ったという事実だけでは、ビジネス成果まで悪化したとは判断できません。
もちろん、これはAI検索によって実際にCVRが必ず上昇するという意味ではありません。
AI経由ユーザーのCVRが高いという調査もある
Semrushは、ChatGPTなどGoogle以外のAI検索ソースから訪れたユーザーを分析し、対象データでは、平均的なAI検索訪問者は従来のオーガニック検索訪問者より、コンバージョン率ベースで4.4倍の価値があったと報告しています。
Semrushはその背景について、AIで事前に情報収集や比較を行ったユーザーが、より意思決定に近い状態でWebサイトを訪れている可能性を挙げています。
参考:Semrush「AI検索がSEOトラフィックに与える影響を調査」
ただし、この「4.4倍」をAI検索全体の普遍的な数値として扱うべきではありません。
業界、商材、サイト、コンバージョンの定義、ユーザーの流入経路などによって結果は変わります。また、この調査で扱われているAI検索経由の流入と、GoogleのAI Overviewsによって影響を受けた自然検索流入は同じものではありません。
したがって、企業が確認すべきなのは一般的な平均値ではなく、自社サイトで実際に流入・CV・CVRがどう変化しているかです。
Genviewでは、GA4と連携してChatGPTやGeminiなどのAIサービスから発生した流入や、流入先のランディングページを確認できます。AI検索時代の流入を把握する方法については、GenviewのAI流入分析(GA4)をご覧ください。
「流入が減った=AIの影響」とは限らない
検索流入が減少したとき、「AI OverviewsやChatGPTが原因だ」と考えたくなるかもしれません。
しかし、流入減少にはAI以外にも複数の原因があります。
- 検索順位の低下
- 検索需要そのものの減少
- インデックスの問題
- Googleのコアアップデート
- 競合コンテンツの強化
- AI Overviews以外の検索結果画面の変化
そのため、「流入が減った時期」と「AI検索が普及した時期」が重なっているだけで、AIが原因だと断定することはできません。
検索順位は維持できているのか、表示回数そのものが減っていないか、特定ページ・特定クエリだけで減っているのかなどを確認し、複数の可能性を切り分ける必要があります。
AI検索の影響を見ることは重要ですが、AIだけを原因として施策を決めてしまうと、本来必要なSEO改善を見落とす可能性があります。
AI検索時代にSEOの成果をどう見るべきか
AI検索によって最も変える必要があるのは、SEOそのものよりも、SEOやWebマーケティングの成果の見方かもしれません。
これまで検索順位とオーガニック流入を中心に評価していた企業ほど、指標を広げる必要があります。
流入数だけでなくCV・CVRを見る
まず、流入減少だけで「SEOが悪化した」と判断しないことです。
最低でも、次の指標を合わせて確認します。
- 検索順位
- 表示回数
- オーガニック流入
- CV数
- CVR
たとえば、流入は減っているもののCV数が維持され、CVRが上昇しているのであれば、「成果まで同じ割合で失われている」とは言えません。
反対に、流入もCVも大きく減っているのであれば、AI検索だけでなく、検索順位やサイト内導線など別の要因も含めて確認する必要があります。
SEO順位とAI上の露出は分けて確認する
もう一つ重要なのが、Google検索順位とAI回答上の露出を同じ指標として考えないことです。
Genviewが2026年8月に実施した15業界450クエリの調査では、AIが引用したURLのうち、同じクエリでGoogle検索上位10位にも入っていたURLの割合は、ChatGPTとGeminiの合算で25.0%でした。
逆に見ると、AIが引用したURLの75.0%は、そのクエリのGoogle上位10位には含まれていませんでした。
この結果は「SEO順位がAI引用に関係しない」という意味ではありません。検索順位を確認しているだけでは、ChatGPTやGeminiを含むAI回答上で自社がどう扱われているかまでは十分に把握できない、ということです。
そのため、今後はSEO指標に加えて、次のようなAI上の可視性も別途確認する必要があります。
- AI回答でブランドが言及されているか
- 競合と比較したときに候補として提示されているか
- 自社サイトや第三者サイトが引用されているか
- 自社について正確な情報が回答されているか
詳しい調査条件と業界別の結果は、Genview ResearchのSEO上位サイトはAIにも引用されるのか?15業界450クエリをChatGPT・Geminiで調査で公開しています。
SEOは不要になるのではなく、見るべき対象が増える
AI検索の普及によって、SEOが不要になるわけではありません。
Google Search Centralも、AI OverviewsやAI Modeについて、従来のSEOの基本的なベストプラクティスが引き続き有効であり、AI機能に表示されるためだけの特別な追加要件はないと説明しています。
参考:Google Search Central「AI機能とウェブサイト」
したがって、「SEOからGEOへ乗り換える」という考え方ではありません。
これまでの「検索で見つけてもらう」というSEOに加えて、AIの回答内で正しく理解され、必要な場面で言及・引用されるという確認対象が増えたと考える方が適切です。
AI引用とは何かについては、別ページで詳しく解説しています。
AI検索時代に企業が取り組むべきこと
AI検索の影響を受けているからといって、これまでのSEO施策を止める必要はありません。
1. SEOの基本を維持する
検索エンジンがページをクロール・インデックスでき、ユーザーにとって有用で信頼できるコンテンツを提供するという基本は引き続き重要です。
2. 流入数だけで成果を判断しない
検索順位、流入、CV、CVRを合わせて確認し、どこで変化が起きているのかを把握します。
3. AI上での言及・引用を確認する
ChatGPTやGeminiなどで、自社がどのような質問で候補として挙げられているか、どの情報源が使われているかを確認します。
4. AIが必要とする情報が不足していれば改善する
AI上で正しく説明されていない場合は、自社サイトやWeb上に必要な情報が存在しているかを確認し、改善します。
具体的な進め方については、GEO対策の始め方|初心者向けに5つのステップで実践方法を解説で詳しく解説しています。
AI検索に適したコンテンツの考え方については、AI検索時代のコンテンツ戦略とは|従来戦略との違いと新しいフレームワークもあわせてご覧ください。
よくある質問
参考文献・参考ページ
外部参考ページ
- Google Search Central|AI機能とウェブサイト
- Google|AI in Search: Driving more queries and higher quality clicks
- Ahrefs|Update: AI Overviews Reduce Clicks by 58%
- Ahrefs|AI概要で検索1位のCTRが半年で -62.7%に激減
- Semrush|AI検索がSEOトラフィックに与える影響を調査