ハルシネーションとは|意味・具体例・起こる理由とファクトチェックとの違い
著者:喜多 陽平(Genview チームリーダー / 株式会社FID) 公開:2026-05-25
ハルシネーション(Hallucination)とは、生成AIやLLMが、事実ではない情報や根拠のない内容を、もっともらしい回答として生成してしまう現象です。
英語表記:Hallucination(AI hallucination とも)
特徴は、「分からない」と答えるのではなく、誤った内容を自然で説得力のある文章として示す場合があることです。文章として自然で自信のある回答に見えても、その内容が実際の事実や情報源と一致しているとは限りません。
この言葉の基本
ハルシネーションという言葉の表記・分野・現れ方
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 英語表記 | Hallucination |
| 分野 | 生成AI・大規模言語モデル(LLM) |
| 主な現れ方 | 存在しない事実・数字・出典の生成、人物や企業の混同、不確かな内容の断定 |
| 区別したいもの | 古い情報を答えること。過去には正しかった情報をそのまま答えているなら、主に情報鮮度の問題 |
ハルシネーションの具体例
ハルシネーションの主なパターンと例
| パターン | 例 |
|---|---|
| 存在しない事実を生成する | 実際には提供していない機能やサービスを「提供している」と回答する |
| 人物や企業を混同する | 別企業のサービス内容を、他社の情報として説明する |
| 存在しない出典を作る | 存在しない論文、記事、URL、著者名などを示す |
| 数字や固有名詞を作る | 実在しない統計数値、調査結果、製品名などを回答する |
| 不確かな内容を断定する | 十分な根拠がないのに、事実であるかのように説明する |
どれも、文章そのものは自然でも、中身を確かめると事実や根拠と一致していない、という点が共通しています。
ハルシネーションが起こる理由
原因は一つではありません。LLMは、入力された文脈をもとに、次に続く可能性が高いトークンを予測しながら文章を生成します。この生成のしくみ自体は、回答の中身が事実であることを保証するものではありません。そのため、文章としての自然さと、事実としての正確さは必ずしも一致しません。Google Cloud の解説も、LLMが誤った情報を生成する現象として説明しています。
このほか、質問に答えるための情報が足りない(専門的な内容、ニッチな固有名詞、最近の出来事など)、質問が複数の意味に読める、Web検索などで取得した情報が誤っている・古い、取得した情報をAIが読み違える、といった要因も関わります。
ハルシネーションとファクトチェックの違い
ハルシネーションとファクトチェックの意味の違い
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| ハルシネーション | 生成AIが事実ではない情報や根拠のない内容を生成する現象 |
| ファクトチェック | 生成された内容が事実と一致しているかを、情報源と照合して検証する行為 |
ファクトチェックは、誤った情報を見つけて確かめるための手段です。AIに「事実確認してください」と頼むだけでは足りない場合もあります。同じAIが誤った前提のまま答え直すことがあるためです。
似た言葉との関係
ハルシネーションを減らす方法として、Retrieval、RAG、Groundingなどの仕組みが使われることがあります。
ハルシネーションを減らすために使われる仕組みの言葉
| 用語 | 役割 |
|---|---|
| Retrieval | 質問に関連する情報を検索・取得する |
| RAG | 取得した情報をLLMによる回答生成に利用する |
| Grounding | 回答を特定の情報源・データ・事実などに基づかせる |
これらを使うと、LLMが学習時に得た情報だけに頼る場合より、最新の情報や特定の情報源を回答に反映しやすくなります。ただ、ハルシネーションが完全になくなるわけではありません。適切な情報を取得できない、取得した情報そのものが誤っている、複数の情報を誤って組み合わせる、といったことは起こりえます。
GEO対策における位置づけ
AI検索で企業や製品について質問されたとき、ハルシネーションは「提供していない機能を提供していると答える」「別企業のサービス内容と混同する」といった形で現れることがあります。
Web検索を使うAI検索でも起こります。取得したページの読み違いや、複数の情報の誤った統合があるためです。AI検索の仕組みの中で、ハルシネーションがどこで起こりうるかは、AI検索の仕組みとはで解説しています。
よくある誤解
Web検索を使っていればハルシネーションは起きない
起こる可能性はあります。適切なページを取得できない場合や、取得した情報を誤って解釈・統合する場合があるためです。
出典が表示されていれば、回答は正しい
出典が表示されていても、回答の中身がその出典で裏付けられているとは限りません。示されたページを開いて、回答と合っているかを見る必要があります。
RAGを使えばハルシネーションを完全に防げる
RAGは回答に外部の情報を使うための仕組みで、完全な防止策ではありません。情報取得の失敗、取得元の誤り、LLMによる読み違いなどで、誤った回答が生成されることがあります。
ハルシネーションに関連する用語
ハルシネーションに関連する用語と、その意味
よくある質問
Q AIが古い情報を答えるのもハルシネーションですか?
必ずしもそうではありません。過去には正しかった料金や制度をそのまま答えているなら、主に情報鮮度の問題です。存在しない情報を作ったり、複数の情報を誤って組み合わせたりした場合は、ハルシネーションと考えられます。
Q なぜ生成AIはハルシネーションを起こすのですか?
LLMは文脈をもとに続くトークンを予測して文章を生成するので、中身が事実かどうかは自動では保証されません。情報不足、曖昧な質問、外部情報の取得や解釈の失敗も原因になります。
Q ハルシネーションかどうかを確かめる方法はありますか?
回答に含まれる事実、数字、固有名詞、出典を、公式サイトや公的機関の資料、原著論文などの一次情報と照合します。AIが示した出典も、実在するか、回答の中身を裏付けているかを開いて確かめます。