Embeddingとは?意味・仕組みとベクトル検索・RAGとの関係
著者:喜多 陽平 / Kita Yohei
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Embedding(エンベディング/埋め込み表現)とは、テキストや画像などのデータが持つ意味的な特徴や関係性を、数値ベクトルとして表現する技術です。
たとえば、「犬」と「猫」のように意味的に近いデータは、Embeddingによって表現されたベクトル空間でも近い位置になるよう設計されます。一方、「犬」と「自動車」のように意味が大きく異なるデータは、より離れた位置として表現されます。
Embeddingは、意味的に関連する情報を探すSemantic Search(意味検索)やベクトル検索などで利用されます。また、ベクトル検索を利用する一部のRAGでは、関連情報を取得するための仕組みとしてEmbeddingが使われます。
ただし、EmbeddingがすべてのAI検索やRAGで必須というわけではなく、EmbeddingされたからAIに引用されるわけでもありません。
Embeddingとは
Embeddingは、日本語では「埋め込み」や「埋め込み表現」と呼ばれることがあります。
テキストや画像などのデータを、その特徴や関係性を反映した多次元の数値ベクトルとして表現します。
たとえば、単純化すると次のようなイメージです。
「犬」→ [0.12, -0.45, 0.88, ...]
「猫」→ [0.10, -0.42, 0.84, ...]
「自動車」→ [-0.71, 0.30, 0.12, ...]
実際のベクトルは、この例よりもはるかに多くの次元を持つ場合があります。
重要なのは個々の数値そのものではなく、データ同士の意味的な関係を、ベクトル同士の位置関係や類似性として扱えるようになることです。
そのためEmbeddingを利用すると、単語が完全に一致していなくても、意味的に関連するデータを探すことができます。
語句の一致を利用する検索とEmbeddingを利用した意味検索の違い
検索にはさまざまな方式があります。
語句の一致を利用する検索では、ユーザーが入力した言葉と文書中の言葉の一致などを手がかりに情報を探します。
一方、Embeddingを利用した意味検索では、検索する内容と文書をベクトルとして表現し、意味的な近さを使って関連する情報を探します。
たとえば、
質問:「ログインできない」
関連文書:「サインインエラーの対処方法」
のように、使われている単語が完全には一致していなくても、Embeddingを利用した検索では内容の意味的な近さをもとに関連情報を見つけられる場合があります。
ただし、これは「現在の検索エンジンはキーワードしか見ていない」という意味ではありません。実際の検索システムでは、語句一致、意味理解、ランキングなど複数の方式が組み合わされることがあります。
Embeddingとベクトル検索の関係
Embeddingとベクトル検索は関連していますが、同じものではありません。
Embeddingは、データをベクトルとして表現する処理・表現です。
一方、ベクトル検索は、そのベクトルを利用して、検索対象と意味的に近いデータを探す検索方法です。
テキストや画像 → Embeddingでベクトル化 → ベクトル同士の類似性を比較 → 関連する情報を取得
ベクトル同士の近さを計算する方法には、コサイン類似度や内積などがあります。ただし、計算方法そのものはベクトル検索側の技術領域であり、Embeddingとは分けて理解することが重要です。
EmbeddingとRAG・Retrievalの関係
Embeddingは、一部のRetrievalやRAGでも利用されます。
たとえば、ベクトル検索を利用するRAGでは、次のような構成があります。
- 文書を必要な単位に分割する
- 各文書やチャンクをEmbeddingでベクトル化する
- ユーザーの質問もベクトルとして表現する
- 意味的に近い文書をベクトル検索で取得する
- 取得した情報をLLMへ渡し、回答生成に利用する
この場合、Embeddingは関連情報を探すための仕組みの一部として使われています。
ただし、RAGやRetrievalには複数の実装方法があります。すべてのRAGがEmbeddingやベクトル検索だけで情報を取得するわけではありません。
RAG=Embedding、Retrieval=ベクトル検索ではありません。それぞれ役割の異なる概念です。
AI検索全体がどのように質問を理解し、情報を取得し、回答を生成するかについては、AI検索の仕組みとは|情報取得からLLMによる回答生成までで解説しています。
EmbeddingとLLMの違い
EmbeddingとLLMは、どちらも生成AIやAI検索に関連する技術ですが、役割は異なります。
| 用語 | 主な役割 |
|---|---|
| Embedding | テキストなどの意味的な特徴を数値ベクトルとして表現する |
| LLM | 主に文章を理解・生成する |
| ベクトル検索 | ベクトル同士の類似性を使って関連情報を検索する |
| RAG | 取得した外部情報を回答生成に利用する仕組み |
たとえばベクトル検索を利用するRAGでは、Embeddingを利用して関連情報を取得し、その情報をLLMに渡して回答を生成する構成があります。
つまり、EmbeddingモデルとLLMは同じものではなく、異なる役割を持つ技術を組み合わせてAIシステムが構成される場合があります。
GEO対策におけるEmbeddingの位置づけ
GEO対策において、Embeddingそのものを直接「最適化」しようと考える必要はありません。
Embeddingは、AIシステムが意味的に関連する情報を扱う際に利用される技術の一つです。
そのため実務では、次のような情報設計を優先することが重要です。
- ユーザーが何を知りたいのか
- その問いに対する答えがページ内に存在するか
- 対象となる概念や用語が明確に説明されているか
- 関連する情報同士の関係が理解できるように整理されているか
ただし、
情報を明確に書けばEmbeddingで必ず取得される
Embeddingで取得されればAIに必ず引用される
という関係が保証されるわけではありません。
AIサービスによって情報取得の方式は異なり、検索・Retrieval・学習済み知識など複数の仕組みが利用される場合があります。
Embeddingは、そうしたAI検索の仕組みを理解するうえで重要な基礎技術の一つとして捉えるのが適切です。
GenviewによるEmbeddingの位置づけ
Genviewでは、EmbeddingそのものをGEO施策の目的とは考えていません。
GEOで重要なのは、「Embeddingされること」を目的にコンテンツを作ることではなく、企業やブランド、サービスについて必要な情報を整理し、ユーザーの問いに対して適切な情報を提供できる状態を作ることです。
Embeddingやベクトル検索は、その情報がAIシステムの一部でどのように扱われる可能性があるのかを理解するための技術概念です。
「Embedding対策をすればAIに選ばれる」と捉えるのではなく、「AIが情報を検索・取得する仕組みの一つとしてEmbeddingを理解する」という位置づけが適切です。
関連する用語
ベクトル検索
Embeddingによって作成されたベクトルなどを利用し、類似する情報を検索する方法です。
→ ベクトル検索とは
RAG
外部から取得した情報をLLMによる回答生成に利用する仕組みです。ベクトル検索を利用する構成ではEmbeddingが使われる場合があります。
→ RAGとは
Retrieval
質問や目的に関連する情報を検索・取得する処理です。Embeddingとベクトル検索は、その実現方法の一つです。
→ Retrievalとは
LLM
大量のテキストなどを学習し、文章の理解・生成を行う大規模言語モデルです。Embeddingモデルとは役割が異なります。
→ LLMとは
チャンク
長い文書を検索や処理に適した単位へ分割したものです。ベクトル検索型RAGでは、文書をチャンクに分けてEmbeddingを作成する場合があります。
→ チャンクとは
Embeddingについてよくある誤解
誤解①:EmbeddingされればAIに引用されやすくなる
一概には言えません。
Embeddingは、一部のSemantic Searchやベクトル検索、Retrievalなどで利用される技術です。しかし、AIサービスが情報を取得・引用する仕組みはサービスや状況によって異なります。
Embeddingされたこと自体がAI引用を保証するわけではありません。
誤解②:RAGでは必ずEmbeddingが使われる
必ずではありません。
ベクトル検索を利用するRAGではEmbeddingが広く利用されていますが、RAGには異なる情報取得方式を利用する構成もあります。
EmbeddingとRAGを同一の技術として扱わないことが重要です。
誤解③:EmbeddingとLLMは同じものである
同じではありません。
Embeddingはデータの意味的な特徴をベクトルとして表現するために使われます。一方、LLMは主に言語を理解・生成するモデルです。
AIシステムによっては両方を組み合わせて利用します。
よくある質問
参考文献・参考ページ
外部参考ページ
- Vertex AI Search APIs|Google Cloud
- Improve Gen AI Search with Vertex AI Embeddings and Task Types|Google Cloud
- Vector indexes in Azure AI Search|Microsoft Learn
- Build a Retrieval-Augmented Generation application|Microsoft Learn