AIの回答はいつ最新になる? 自社サービスの機能・価格変更を2週間、定点観測してみた
著者:吉田 清登(株式会社FID CMO / Genview PM)
公開日:
「AIの回答がプレスリリース内容に切り替わるまでには、数か月かかる」と思っている方は意外と多い印象があります。実はもっと早く切り替わることもあるのですが、これまでは社内の知見としてしか持っておらず、外に出したことはありませんでした。今回、Genviewが機能・料金の大幅なアップデートを行ったタイミングだったので、「AIの回答はいつ最新になるのか」を、きちんとログに残して確認してみることにしました。
結論:2週間の観測では、AIが新情報に切り替わるタイミングは一律ではありませんでした。Geminiは最も早く新料金を反映した一方、いったん旧情報へ戻る場面もあり、ChatGPTは数日遅れて新用語に切り替わりました。Claudeでは、観測期間中、主要な説明の更新は確認できませんでした。AIの情報更新は「古い→新しい」と一直線に進むわけではなく、揺り戻しが起きることがある——これが今回最も大きな発見です。
目的
2026年8月1日、Genviewは機能・料金プランを刷新し、正式版としてリリースしました。プラン統合(Free/Standard/Pro → Baseプラン+オプション制)、単一「GEOスコア」表示の廃止、「ブランド認識改善」「クエリ改善」への機能名変更など、変更内容は多岐にわたります。
こうした変更を外部に発信(プレスリリース等)した場合、ChatGPT・Gemini・Claudeといった生成AIの回答は、いつ・どのように新しい情報へ切り替わるのか。また、AIごとに反映のスピードや反映のされ方に違いはあるのか。これを実際に定点観測してみました。
なお、今回の変更点のうち、料金プランの統合(Free/Standard/Pro→Base)は8/1のプレスリリースで新規に発表された内容です。一方、「ブランド認識改善」「クエリ改善」という機能名自体は、8/1より前からサイト上で段階的に反映(サイレントアップデート)されていました。8/1のプレスリリースでは、この機能をあらためて「目玉」として扱い、前面に押し出して発表しています。この2つは性質が異なる変更のため、後述の結果を見る際は「プレスリリースをきっかけに変わったのか」「それ以前からのサイト更新にAIが追いついただけなのか」を区別して読む必要があります。
条件
| 対象AI | ChatGPT、Gemini、Claude |
|---|---|
| クエリ | 「Genviewとはどんなサービスですか?」(一部日は「価格は?」も併せて確認) |
| 実施方法 | すべてシークレットモードで実施し、アカウントの利用履歴による影響をできるだけ避けた |
| 起点 | 2026年8月1日、Genview正式版リリース |
| 観測期間 | 2026年7月27日〜2026年8月10日(約2週間、計6時点) |
なお、利用した各AIのモデル名やWeb検索機能のON/OFF、実施のたびの正確な検索条件までは記録していません。同じ質問でも、モデルや検索設定によって結果が変わる可能性があるため、この点は今回の観測の限界として明記しておきます。
時系列のまとめ
| 日時 | ChatGPT | Gemini | Claude |
|---|---|---|---|
| 7/27(変更前) | GEOスコア等の言及なし | GEOスコア(0〜100点)・Proプラン・Now Score機能を明記 | GEOスコア(0〜100点)・Standard/Proプランを明記 |
| 8/4 | GEOスコアに言及(旧のまま) | Proプラン・Now Scoreの言及は消滅、GEOスコアの説明は残る | 「計測する・改善する・深める」の機能構成、GEOスコアの言及あり |
| 8/5 16時 | 旧プラン(Free/Standard/Pro)のまま。引用元URLの更新日もすべて8/1以前 | Baseプラン・オプション料金まで反映 | 8/1の正式版リリースという事実は引用。機能構成・GEOスコアの説明は変わらず |
| 8/6 17:50 | 「ブランド認識改善」「クエリ改善」という新用語に切り替わる | GEOスコア(0〜100点)等の説明に戻る。さらに種苗業界向けの別サービス「GenVIEW」を引用し、無関係な別会社と混同 | 変化なし |
| 8/7 10:09 | 新用語のまま安定 | 変更経緯まで説明。別会社との混同は解消 | 変化なし |
| 8/10 10:55 | 新用語のまま安定 | GEOスコアという言葉自体が説明から消え、正式版の内容のみで簡潔に説明 | 旧情報のまま変化なし |
引用先データ
各AIが引用元として画面上に示した、または検索結果として確認できたURLも合わせて記録しました(8/6・8/7・8/10の構造化データ分を集計)。回答画面に引用元として明示されたものを「明示引用」、それ以外に検索結果として確認できたものを「検索結果由来」としています(今回の観測では「推定参照」に該当するものはありませんでした)。
引用URL総数
18件
ChatGPT 3件/Gemini 15件/Claude 0件
ユニークな引用ドメイン数
5ドメイン
genview.io を含む
| 分類 | ドメイン(例) | 補足 |
|---|---|---|
| 8/1以降の最新情報 | prtimes.jp/commercepick.com | 正式版リリースのプレスリリース・報道記事 |
| 8/1より前の情報のまま | marketing.f-i-d.jp/primeticsseed.com | 2026年4月の旧ニュース記事/無関係な別会社との混同 |
| 分類が難しかったもの | genview.io(自社サイト) | ページによって内容の新旧が混在し、一律に分類できなかった |
なお、ChatGPTは回答本文中にインラインリンクの形で引用元を示す仕様でした。Claudeについては、今回の観測方法では引用元URLを構造化データとして確認できませんでした。Claudeが情報源を参照していないと断定するものではなく、今回の取得方法の限界です。
わかったこと
今回、実際に確認できたこと
- AIごとに更新タイミングが異なった(ChatGPTは8/6から、Geminiは8/5から反映が始まった)
- Geminiでは「最新→旧情報→最新」という揺り戻しが起きた
- 同じドメイン(genview.io)内でも、参照されるページによって新旧の情報が混在していた
- 今回利用したClaudeの環境では、観測期間中、回答本文の主要な記述(GEOスコア・無料プランに関する言及)に変化は確認できなかった
今回の結果から考えられること
- 参照されたURLに古い情報が残っていた期間は、回答にも旧情報が含まれていました。Web検索をしていても、参照した情報自体が古ければ、回答も古いままになることがあります。
- 今回、最新情報へ切り替わった回答では、prtimes.jpやcommercepick.comなど、8月1日以降に公開された外部ページも引用されていました。自社サイトの更新だけでなく、外部に最新情報が存在することも、AIが更新情報に到達する経路の一つになっている可能性があります。
- 同じドメイン内でも新旧が混在していた理由として、ページごとのクロール時期や、検索時に採用されたURLの違いが影響している可能性があります。
- ChatGPTが8/6に「ブランド認識改善」「クエリ改善」という新用語を使うようになった変化についても、8/1のプレスリリースに反応したものか、それより前からサイトに存在していたページ内容に追いついただけなのかは、今回のデータでは完全には区別できません。
結論
今回の観測からは、プレスリリースの公開後、AIの回答が一定の日数で一斉に更新されるわけではないことがわかりました。AIごとに更新速度が異なるだけでなく、同じAIでも参照するページや検索結果によって、情報の反映状況が変わります。また、新情報に切り替わった後も、旧情報へ戻る揺り戻しや、同名サービスとの混同が発生しました。
生成AI上で自社サービスの最新情報を正しく認識させるには、自社サイトの更新だけでなく、プレスリリース、第三者メディアなど複数の情報源を整備し、継続的に観測する必要がありそうです。
今回は1社・1サービス・約2週間の観測であり、AIの更新メカニズム全体を説明するものではありません。ただし、サービス変更後にAIの回答がどの程度の期間で変化し、どの情報が残り続けるのかを確認する実務的な方法としては、一定の示唆が得られました。
なお、Genviewの「クエリ改善」機能では、こうした反映状況を、独自のスコアではなく実際の言及・引用件数ベースで、ChatGPT・Geminiを中心に複数のAIについて継続的に追跡できます。今回の調査も、この機能を用いて実施しました。
Genviewについて
Genviewは、AIに正しく認識され、AIから選ばれるためのGEO(生成AI最適化)対策ツールです。主な機能は次の3つです。
- ブランド認識の改善:ChatGPT・Geminiなど複数のAIが自社ブランドをどう認識しているかを計測し、理想の認識像とのギャップ(事実と異なる紹介・ハルシネーションを含む)を特定した上で、改善提案を行う
- クエリ改善:想定される質問(クエリ)ごとに、AIの回答内でどれくらい言及・引用されているかを実数ベースで計測し、露出を増やすための改善提案を行う。独自の総合スコアやセンチメント分析には依存しない
- サイト整備:AIが情報を正しく読み取れるサイト基盤(構造化データ、llms.txt、クロール設定等)になっているかを診断し、改善提案を行う
これら3つの計測結果は、競合比較やトレンドを含むレポートとしても出力できます。
よくある質問
Q. AIの回答はいつ最新になりますか?
反映までの日数は一律ではありません。今回の観測では、最短で数日で反映されたAIもあれば、2週間経っても主要な記述が変わらなかったAIもありました。
Q. なぜAIによって最新情報への反映速度が違うのですか?
各AIが参照する情報源(自社サイトのどのページか、外部メディアか)や、そのクロール・検索のタイミングが異なるためです。
Q. 一度最新情報になったAIの回答が、また古くなることはありますか?
あります。今回のGeminiのように、いったん最新化した後に旧情報へ戻るケースが確認できました。
Q. うちの会社でも、AIにどう認識されているか確認したいときはどうすればいいですか?
Genviewの「クエリ改善」機能を使うと、自社ブランドに関するクエリでChatGPT・Geminiなど複数のAIがどう回答しているかを継続的に計測できます。今回の記事のような定点観測も、この機能を使って行いました。
本記事は、株式会社FIDが自社サービスGenviewの機能・料金変更(2026年8月1日)を対象に、社内で実施した検証結果をまとめたものです。すべての検証はシークレットモードで実施しています。