著者:吉田 清登(株式会社FID CMO / Genview PM) 公開:2026-09-25

AIが企業の名前を出すことと、その企業のサイトを引用することは、同じ回答の中でも別々に起きていました。

法律事務所・会計ソフト・化粧品・クレジットカードの各30問を、ChatGPT と Gemini に6回ずつ聞いた観測です。

Genview の商談では「ChatGPT に自社名が出ていたので、うちのサイトは読まれているんですよね」と聞かれます。画面には回答の文章と、参照元のリンクが並んで表示されます。同じ画面に出ているので、名前が出たことと自社サイトが読まれたことは、ひと続きの出来事に見えます。

ただ、この2つは別々に数えないと分かりません。名前が出た回答で、どのサイトが参照されていたのか。自社サイトが参照された回答に、自社の名前は出ていたのか。どちらも回答を1件ずつ開かないと確かめられない部分です。

そこで、4業界の質問を6回ずつ ChatGPT と Gemini に聞いて、回答1件ごとに突き合わせました。名前が出たかどうかと、その企業のサイトが引用されたかどうかを、同じ回答の中で数えています。

30秒でわかる結論

  • ChatGPT が freee の名前を出した132回答のうち、freee のサイトも引用していたのは129回答でした
  • Gemini がキュレルの名前を出したのは62回答、キュレルのページを引用したのは3回答でした
  • 三菱UFJニコスのサイトは Gemini の76回答で引用され、社名が出ていたのは12回答でした
  • AIにどう扱われているかを見るときは、名前と自社サイトの引用を分けて数えてください

この記事で扱う範囲

法律事務所・会計ソフト・化粧品・クレジットカードの4業界/ChatGPT と Gemini/各30問を6回・各AI 180回答/2026年9月4日〜13日の観測/名前が出たかと、その企業のサイトが引用されたかだけを見ています(推薦されたかどうかは見ていません)

まず、何を数えたのか

回答1件ごとに、企業ごとの状態を3つに分けました。

回答1件ごとに分けた3つの状態

区分 数えたもの
両方 その企業の名前も、その企業のサイトの引用も、同じ回答にあった
名前だけ 名前は出たが、その企業のサイトは引用されていない
引用だけ サイトは引用されたが、その企業の名前は出ていない

ここから2つの割合が出ます。名前が出た回答のうち自社サイトも引用された割合(この記事では「名前→引用」と書きます)と、自社サイトが引用された回答のうち名前も出ていた割合(「引用→名前」)です。分母が違うので、2つは別の数字になります。

これまで Lab では、名前が挙がった回答の割合と、サイトが引用された回答の割合を、別々に出して並べていました。その2つを、同じ回答の中で重ねたのがこの調査です。

同じブランドでも、ChatGPT は8割超、Gemini は0〜8割だった

4業界から6つ選んで、名前が出た回答のうち自社サイトも引用された割合を並べます。

名前が出た回答のうち、その企業のサイトも引用された割合(ChatGPTとGemini) 4業界の6回・各AI180回答の集計。ChatGPTは6ブランドとも85.5〜100%で、Geminiは0.0〜79.8%だった。法テラスとイハダは、Geminiの6回すべてで0件だった。 名前が出た回答のうち、その企業のサイトも引用された割合 ChatGPT Gemini 三井住友カード 98.2% 79.8% freee 97.7% 68.7% 楽天カード 100.0% 24.5% キュレル 86.4% 4.8% イハダ 87.5% 0.0% 法テラス 85.5% 0.0% 0% 50% 100% 0% 50% 100%
図1:名前が出た回答のうち、その企業のサイトも引用された割合(6回・各AI 180回答の集計)。分母は名前が出た回答数。ChatGPT/Gemini の順に、三井住友カード55/114、freee 132/134、楽天カード67/110、キュレル44/62、イハダ24/28、法テラス110/45。

ChatGPT は6つとも85.5%以上でした。Gemini は三井住友カードの79.8%から、イハダと法テラスの0.0%まで開きます。

業界ごとに中身を見ていきます。まず会計ソフトとクレジットカードです。

表1:会計ソフトで名前が挙がった回答と、そのブランドのサイトが引用された回答の重なり(6回・各AI 180回答中の件数)

ブランド ChatGPT 名前 / 引用 / 両方 Gemini 名前 / 引用 / 両方
freee 132 / 130 / 129 134 / 108 / 92
マネーフォワード 132 / 128 / 128 133 / 113 / 85
弥生 131 / 122 / 121 134 / 137 / 108
勘定奉行 36 / 27 / 27 36 / 29 / 14
PCA 15 / 11 / 11 17 / 13 / 3
ジョブカン (名前・引用とも10回答未満) 28 / 1 / 1

表2:クレジットカードで名前が挙がった回答と、その発行会社のサイトが引用された回答の重なり(発行会社のみ。国際ブランドは除く)

発行会社 ChatGPT 名前 / 引用 / 両方 Gemini 名前 / 引用 / 両方
JCB 90 / 84 / 80 139 / 97 / 84
楽天カード 67 / 69 / 67 110 / 49 / 27
三井住友カード 55 / 61 / 54 114 / 126 / 91
PayPayカード 40 / 36 / 36 55 / 0 / 0
dカード 26 / 21 / 21 24 / 0 / 0
エポスカード 16 / 31 / 13 54 / 22 / 15

ChatGPT は、名前を出したブランドのサイトを、ほぼ同じ回答で引用していました。freee は132回答中129回答、楽天カードは67回答すべてで両方そろっています。

同じ数字を Gemini で見ると、freee は134回答中92回答、楽天カードは110回答中27回答でした。名前は ChatGPT より多く出るのに、そのブランドのサイトを見ている回答は少なくなります。

自社の状況を確かめるときは、この2つのAIを1つにまとめないほうがよさそうです。ChatGPT で名前が出ていないなら自社サイトも参照されていない可能性が高く、Gemini では名前が出ていても参照されているとは限りません。見る順番が変わります。

Gemini がキュレルの名前を出した62回答のうち、キュレルのページを引用したのは3回答

化粧品と法律事務所では、Gemini のずれがもっと大きくなりました。

表3:化粧品で名前が挙がった回答と、そのブランドのページが引用された回答の重なり(6回・各AI 180回答中の件数)

ブランド ChatGPT 名前 / 引用 / 両方 Gemini 名前 / 引用 / 両方
キュレル 44 / 38 / 38 62 / 3 / 3
ミノン 18 / 8 / 8 38 / 3 / 3
イハダ 24 / 21 / 21 28 / 0 / 0
肌ラボ 26 / 22 / 22 23 / 2 / 2
メラノCC 18 / 16 / 16 25 / 2 / 2
無印良品 13 / 12 / 12 37 / 0 / 0
オルビス (名前・引用とも10回答未満) 42 / 6 / 6

表4:法律事務所で名前が挙がった回答と、そのサイトが引用された回答の重なり(公的な相談窓口を含む)

名前 ChatGPT 名前 / 引用 / 両方 Gemini 名前 / 引用 / 両方
法テラス 110 / 94 / 94 45 / 0 / 0
ベリーベスト法律事務所 29 / 28 / 28 41 / 51 / 28
アディーレ法律事務所 19 / 11 / 11 27 / 19 / 15
日本弁護士連合会 25 / 3 / 2 26 / 20 / 7

Gemini はイハダを28回答、無印良品を37回答で挙げながら、そのブランドのページを1件も引用していません。法テラスも同じで、名前は45回答に出るのに、法テラスのサイト(houterasu.or.jp)は0件でした。ChatGPT は同じサイトを94回答で引用しています。

この0は、6回の観測すべてで0でした。ある日の1回だけ起きたことではありません。

ブランド名がAIの回答に出ているかどうかだけを追いかけていると、こういう状態には気づけません。自社名が出た回答を開いて、そこに並んでいる参照元を見る。ここまでを1セットにすると、Gemini で何が起きているかが見えます。

逆に、サイトだけが引用されて名前が出ない会社もあった

ずれは片方向ではありませんでした。

表5:Gemini で、自社サイトの引用のほうが名前より多かった企業(6回・180回答中の件数)

企業 名前 引用 両方 引用→名前
三菱UFJニコス 12 76 6 7.9%
セゾンカード 8 69 3 4.3%
アトム法律事務所 4 27 4 14.8%
デイライト法律事務所 3 15 3 20.0%
ベンチャーサポート法律事務所 4 18 4 22.2%

三菱UFJニコスのサイトは76回答で参照され、そのうち社名が出ていたのは6回答でした。セゾンカードは69回答中3回答です。

引用された先を見ると、商品の一覧ではなく、クレジットカードの選び方や仕組みを説明する記事が並んでいました。セゾンカードなら「クレディクショナリー」、アトム法律事務所なら離婚の弁護士の選び方の記事です。記事はAIの回答の材料になっていて、そこから引かれてもいるのに、読者が目にする文章には会社の名前が出ていない、という状態です。

引用された数を成果として見ている場合、この部分は数字に表れません。引用が何件あったかと、社名が何回答に出たかを別々に持っておくと、どちらが起きているか分かります。

率が近くても、同じ回答とは限らない

ここまでは件数の多い少ないの話でした。もうひとつ、率を並べるだけでは見えないことがあります。

Gemini の IPSA は、名前が出た回答が18件、IPSAのページが引用された回答が16件でした。数だけ見ると、ほぼ同じくらい出ています。ところが、両方そろった回答は1件だけでした。名前が出る回答と、ページが引用される回答が、ほとんど別の回答だったということです。

表6:名前と引用の件数が近くても、同じ回答では重ならなかった例(Gemini・6回・180回答中の件数)

企業 名前 引用 両方
IPSA 18 16 1
ライフカード 13 15 1
ファンケル 25 6 0

月次のレポートで「名前が出た回答数」と「引用された回答数」を並べていると、この状態は「どちらも出ている」に見えます。回答1件ずつに降りて突き合わせないと分かりません。

名前だけが出た回答では、何が引用されていたのか

名前は出たのに自社サイトが引用されなかった回答で、代わりに何が参照されていたのかも数えました。

Gemini がキュレルの名前を出して、キュレルのページを引用しなかった59回答では、引用790件の内訳がこうなりました。

表7:Gemini がキュレルの名前を出して、キュレルのページを引用しなかった59回答の引用先(引用件数790件の内訳)

引用先の種類 割合
企業の自社サイト(キュレル以外のブランドを含む) 34.9%
報道・記事メディア 23.3%
未分類(まだ分類していない) 17.2%
利用者の投稿(口コミなど) 13.8%
比較・ランキング 8.7%

一番多いのは企業の自社サイトですが、これはキュレル以外のブランドの公式ページです。AIは公式の情報を見ていないわけではなく、別の会社の公式ページと、第三者の記事を見ながら、キュレルの名前を出していることになります。

自社の名前がAIの回答に出ているとき、その回答が何を根拠にしているかは、業界によっても、AIによっても変わります。自社サイトの整備とは別に、自社について書いている外部のページに何が書かれているかを見ておく。確かめる範囲は、そこまで広がります。

この調査から言えること

Q1. 自社サイトが引用されているのに、回答に社名が出ないのはなぜですか?

引用されたページの中身を見ると、商品の紹介ページより、選び方や仕組みを説明する記事が多く並んでいました。三菱UFJニコスの引用先は初心者向けの解説、セゾンカードは「クレディクショナリー」、アトム法律事務所は離婚の弁護士の選び方の記事です。

AIは質問に答えるための材料としてそのページを読み、答えの文章は質問に沿って書いています。「クレジットカードの選び方を教えて」と聞かれたときに、選び方の説明は使うけれど、その記事を書いた会社の名前までは書かない。こういう形になっているのだと考えています。

確かめ方としては、自社のどのページが引用されているかを見て、そのページが自社の紹介なのか、一般的な説明なのかを分けてみることです。説明の記事ばかりが引用されているなら、この状態に近いと思います。

Q2. ChatGPTとGeminiで結果が違うとき、どちらを信じればいいですか?

どちらも実際に起きていることなので、片方を選ぶより、2つを分けて記録するほうが使えます。

今回の4業界では、ChatGPT は名前と自社サイトの引用が同じ回答で重なり、Gemini はずれました。ずれる向きも業界で違います。化粧品は名前が出てもページが引用されないほうに寄り、クレジットカードの一部の会社は逆でした。1つの数字にまとめると、この差が消えます。

どちらを重く見るかは、自社のお客様がどちらを使っているかで決まります。そこは調査では決められません。社内で先に決めておくことをおすすめします。

Q3. 競合の名前ばかり出ているとき、何から確かめればいいですか?

まず、その回答の参照元を見てください。競合の名前が出ている回答で、競合の公式サイトが引用されているのか、それとも比較サイトや解説記事が引用されているのかで、状況が違います。

今回の観測では、名前は出るのに公式サイトはほとんど引用されない、という組み合わせがありました(Gemini のキュレルは62回答中3回答)。名前が出ている理由が、その会社のサイトにあるとは限らないということです。

そのうえで、自社の名前が出ていない回答を集めて、そこで何が引用されているかを見ます。引用元の顔ぶれは業界ごとに違うので、自社の業界で誰が読まれているかを確かめるところからになります。

この調査から言えないこと

  • 名前が出たかどうかだけを数えています。推薦されたのか、どう説明されたのかは見ていません。名前が出た回答の中には、比較対象として並べられただけのものも含まれます
  • 「自社サイト」は、人が確認した対応表に載っているサイトだけです。対応表に無い企業の0件は、「引用されなかった」ではなく「数えていない」です(資生堂・ロート製薬のように、1つのサイトに複数ブランドが載っていて、ブランド単位で対応づけられなかった企業を16社外しています)
  • 直したら引用されるようになるかは、この観測では分かりません。直す前と後を比べる実験が必要です
  • 観測したのは2026年9月4日〜13日の10日間です。月単位の変化は見ていません
  • Gemini の引用には行き先の分からない転送URLが含まれます。その分、Gemini の引用は少なめに出ている可能性があります

調査方法

この調査の条件

項目 内容
対象AI ChatGPT と Gemini(いずれもモデル指定なしのWeb版)
業界と質問 法律事務所・会計ソフト・化粧品・クレジットカードの各30問。検討段階が偏らないよう、どの業界も ToFu 9問・MoFu 10問・BoFu 11問で揃えています
期間と回数 2026年9月4日〜13日に6回。各AI 180回答、4業界で1,440回答
名前の数え方 人が確認した企業辞書(2026年9月18日時点、891表記)に載っている表記が回答本文に出たかどうか。辞書に無い企業は0ではなく、数えていません
サイトの数え方 回答に付いている引用URLが、その企業のサイトかどうか。化粧品は1つのサイトに複数ブランドが載るため、ドメインではなくURLの一部で対応づけています(shiseido.co.jp/ihada はイハダ)
対応表 引用されたサイトの持ち主を、担当者が236行、1件ずつ開いて確認しました(運営者を確認できなかったサイトは空欄のまま、持ち主なしとして扱っています)。表に出てくる企業のうち、引用が少なくて確認対象から漏れていた9件は、あとから足しています

よくある質問

Q AIにブランドを正しく認識させるには、何をすればいいですか?

A

まず、AIにどう理解されてほしいか(理想のAI認識)を決めます。次に、実際のAIの回答と、その回答が何を参照しているかを確認して、理想とのズレを見ます。そのうえで、自社サイトの情報設計や構造化データを整え、あわせて外部のサイトで自社がどう書かれているかも確認します。2026年9月の観測では、AIが名前を出していても、その根拠が自社サイトとは限りませんでした。回答の文章だけでなく、参照元まで見ることをおすすめします。

Q AIに自社名が出ていれば、自社サイトは読まれていますか?

A

AIによって違いました。ChatGPT は、名前を出した企業のサイトを同じ回答で引用することが多く、会計ソフトの freee では132回答中129回答で両方そろっていました。Gemini はずれが大きく、キュレルの名前を出した62回答のうち、キュレルのページを引用したのは3回答でした。名前が出ていることは、自社サイトが読まれている証拠にはなりません。

Q AIの回答に社名が出ないのに、自社サイトが引用されることはありますか?

A

あります。2026年9月の観測では、Gemini が三菱UFJニコスのサイトを76回答で引用し、社名が出ていたのは12回答でした。引用されていたのは商品の一覧ではなく、クレジットカードの選び方や仕組みを説明する記事です。引用の件数だけを見ていると、読者に社名が届いているかどうかは分かりません。

まとめ

AIの回答に自社の名前が出ていることと、自社のサイトがその回答の材料になっていることは、同じではありませんでした。ChatGPT では2つがほぼ重なり、Gemini ではずれます。ずれる向きは業界によって変わり、名前だけが出る場合も、サイトだけが引用される場合もありました。

Gemini がキュレルの名前を出した62回答のうち、キュレルのページを引用したのは3回答です。名前が出ているからサイトが読まれている、とは言えません。

自社がAIにどう扱われているかを見るときは、名前が出た回答数と、自社サイトが引用された回答数を、分けて記録してください。そのうえで、名前が出た回答を開いて参照元を確かめると、自社サイトが読まれているのか、外部のページから語られているのかが分かります。

この記事を書いた人

吉田 清登 / Yoshida Kiyoto

株式会社FID 執行役員CMO / Genview プロダクトマネージャー / JECCICA客員講師

通販業界20年以上。再春館製薬所で越境EC・タイチームの管理を経て、現在は Genview の事業責任者。

得意分野のCRMのエッセンスをGEO対策に取り入れたのが Genview です。AI時代の接客は BtoC with AI。主役はお客様で、AIはその間に入った存在です。お客様に伝えると同時に、AIにも自社を正しく伝える。AIを通してどう伝わっているかを、実際に測って確かめています。

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