著者:吉田 清登(株式会社FID CMO / Genview PM) 公開:2026-09-19

Amazonは、ChatGPTやGeminiのボットが自分のサイトに入らないよう、はっきり断っています。

amazon.co.jp の robots.txt(2026年9月18日取得)と、ChatGPT・Geminiの回答(動画配信30問を6回、通販に近い5業界の各30問を1回)を見ました。

先日、Geminiに「Amazonで人気の化粧品は?」と聞いてみました。返ってきた回答は、こう始まります。

Amazonで口コミ評価が高く、常に売れ筋上位をキープしている人気の化粧品をご紹介します。

VT COSMETICSのリードルショット、トリデンの美容液、メラノCC。どれも見覚えのある商品です。メラノCCには「Amazonでのリピート買い率が非常に高いアイテムです」と添えられていました。

私は、Amazonのことを聞けば、Amazonのページが出典になるものだと思っていました。ところが出典を開いてみると、Amazonのページは1つもありません。並んでいたのは、外部のサイトでした。

Amazonのことを、Amazonのページを出典にせずに話している。これは、たまたまなのか。気になって、Amazonのサイトの設定と、私たちがためてきた観測データを見てみました。

30秒でわかる結論

  • amazon.co.jp は、ChatGPT・Gemini・Claude などの99のボットに、サイト全体への立ち入りを断っていました(2026年9月18日時点)
  • Geminiは、動画配信の質問でAmazon Prime Videoに151回答で触れましたが、amazon.co.jpを出典にした回答は0でした
  • ChatGPTは、断られているはずのamazon.co.jpを、同じ質問の41回答で出典にしていました

この記事で扱う範囲

Amazonのrobots.txt/AmazonとAIのこれまでの経緯/GeminiとChatGPTの出典の違い/楽天市場・Yahoo!ショッピングとの比較/今回の数字について

Amazonのrobots.txtには、AIのボットの名前が99個並んでいました

サイトには、robots.txt というファイルを置けます。「このボットは入らないでください」とボットごとに書いておく、入口の張り紙のようなものです。守るかどうかは相手次第で、強制力はありません。

amazon.co.jp の robots.txt を開くと、「サイト全体に入らないでください」と書かれたボットの名前が99個ありました。ChatGPTを動かすOpenAIのボットは、3つとも入っています。(出典:amazon.co.jp の robots.txt、2026年9月18日取得)

表1:amazon.co.jp が立ち入りを断っているボットのうち、ChatGPTとGeminiに関わるもの(役割は各社の説明)

ボット 何をするボットか
GPTBot(OpenAI) AIの学習に使うページを集める
OAI-SearchBot(OpenAI) ChatGPTの検索で、サイトを表示するために使う
ChatGPT-User(OpenAI) ユーザーの質問に答えるため、その場でページを見に行く
Google-Extended(Google) Geminiの学習と、回答の裏付けにページを使ってよいかを決める

 役割の出典:OpenAI「Overview of OpenAI Crawlers」Google「Google の一般的なクローラ」

Google-Extended は少し変わっています。Googleは、このボットを止めても「Google検索への掲載や順位には影響しない」と説明しています。Amazonは、Google検索には出たまま、Geminiには使わせない設定にしています。(出典:Google「Google の一般的なクローラ」

Amazonは、なぜAIを断っているのでしょうか

先に書いておくと、robots.txt でAIを断っている理由を、Amazonは公式に説明していません。

それでも、ここ3年ほどの出来事を順に並べると、Amazonが何を嫌がっているのかは、かなり見えてきます。以下の報道は、どれも米国のAmazon(amazon.com)についてのものです。

始まりは、2023年夏のChatGPTの学習用ボットでした

2023年8月7日、OpenAIは「GPTBot」を発表しました。AIの学習に使うため、Webのページを集めて回るボットです。止めたいサイトは robots.txt に書けば止められる、という方法も一緒に公開されました。

Amazonは、その2週間以内にGPTBotを止めた大手サイトの1つでした。このときAmazonが断ったのは、「自社のページをAIの学習に使われること」です。(出典:PPC Land(2025年8月)

2025年、断る相手が一気に増えました

2025年7月ごろ、AmazonはClaudeを作るAnthropic、AI検索のPerplexity、そしてGoogleの「Project Mariner」を止めました。Project Mariner は、人の代わりにブラウザを操作するAIです。8月には、Meta・Google・Huawei・Mistralなどのボットを6つ足しています。

これを報じた米国の小売メディア Modern Retail は、Amazonに取材を申し込みました。返事はありませんでした。記事の中で、EC業界のアナリストは「AmazonはAIの会社に、自社のデータで学習させまいと必死になっている」と話しています。(出典:Modern Retail(2025年8月21日)

2025年秋、エージェンティックコマースをめぐって、Amazonは裁判を起こしました

ここで、話の中心が「学習」から「エージェンティックコマース」に移ります。

Perplexityは、Cometというブラウザを出しています。ユーザーが「これを買っておいて」と頼むと、AIが代わりにAmazonを開き、商品を探して、注文まで進めます。このように人の代わりに操作までするAIを「AIエージェント」、AIエージェントに商品探しから注文までを任せる買い物を「エージェンティックコマース」と呼びます。

2025年10月31日、AmazonはPerplexityに警告の手紙を送りました。問題にしたのは、Cometが「AIです」と名乗らず、ふつうのGoogle Chromeのふりをして、Amazonのサイトに来ていたことです。手紙でAmazonは、AIエージェントには期待していると書いたうえで、「身元を明かし、サイト側の判断を尊重して動くべきだ」と求めています。(出典:AmazonからPerplexityへの警告の手紙(2025年10月31日)

11月4日、AmazonはPerplexityを訴えました。許可なくサイトに入っている、お客さんのアカウントの安全を脅かしている、という主張です。

Perplexityも黙っていません。「Amazonは、あなたが誰かに頼んで、代わりに買い物をしてもらう権利を認めていない」と反論しました。Amazonが嫌がっているのは、広告やおすすめの枠を見てもらえなくなることだ、とも言っています。(出典:Retail Dive(2025年11月6日)

同じ11月、Amazonは robots.txt に、ChatGPTのボットを2つ足しました。ユーザーの質問に答えるため、その場でページを見に行く「ChatGPT-User」と、ChatGPTの検索に使う「OAI-SearchBot」です。これで、学習に使われることだけでなく、AIがその場で答えるためにページを読むことも断った形になりました。(出典:Modern Retail(2025年11月21日)

AmazonのCEOは、外のAIはまだ価格や商品情報を間違えると話しました

Amazonの社長(CEO)のアンディ・ジャシーは、投資家向けの決算説明会で、この話に触れています。

外のAIエージェントは、価格や商品情報をまだ正しく出せていないことが多い。お客さんにとってよい形を見つけなければならない。そう話す一方で、外のAIエージェントの会社とは話し合いを始めていて、いずれは組むつもりだとも言っています。(出典:Modern Retail(ジャシーの発言)

Amazon自身も、Rufus(ルーファス)という買い物用のAIアシスタントを持っています。ジャシーは、Rufusを「どこよりもよい買い物アシスタント」にしたいと話しています。(出典:PYMNTS(2026年4月29日)

2026年、裁判の判断は一度ひっくり返りました

2026年3月、一審の裁判所は、CometがAmazonで買い物をすることを差し止めました。裁判所の命令で、Cometを使ったAmazonでの買い物が止められたことになります。(出典:CNBC(2026年3月10日)

ところが8月4日、控訴審(米国の第9巡回区控訴裁判所)が、この差し止めを取り消します。AIがユーザーの指示で動いているなら、Amazonのサイトに入っているのはユーザー本人で、AIの会社ではない。そういう判断でした。報道によると、Amazonは次の手を検討していて、裁判そのものはまだ続いています。(出典:第9巡回区控訴裁判所の判決文(2026年8月4日)Jones Day の解説The Next Web(2026年8月5日)

並べてみると、Amazonが公式に言っていることは2つだけでした

1つは、AIエージェントは身元を明かして動くべきだ、という点。もう1つは、外のAIは価格や商品情報をまだ正しく出せていない、という点です。

報道やアナリストの見立ては、もう一歩踏み込んでいます。Amazonの広告事業は年間約560億ドルの規模があり、お客さんがAmazonのサイトに来て、商品を見てくれることが前提です。AIの中で商品選びが終わってしまうと、その前提が崩れます。AIのボットを断っているのは、そのためではないか、という見方です。(出典:Modern Retail(2025年11月21日)

ただし、robots.txt でAIを断る理由として、Amazon自身がそう言ったことはありません。この記事でも、ここは見立てとして扱います。

Geminiは、Amazonの話をしても amazon.co.jp を出典にしませんでした

私たちは、動画配信サービスについての30問を、ChatGPTとGeminiに6回ずつ聞いています。Geminiの180回答のうち、Amazon Prime Videoに触れたのは151回答でした。

そのうち、amazon.co.jp を出典にした回答は0です。

Amazonのサイトがまったく出てこないわけではありません。primevideo.com を出典にした回答が13、Amazonの広報サイト aboutamazon.jp を出典にした回答が12ありました。この2つのサイトの robots.txt は、Google-Extended を止めていません。残りの出典の多くは、比較サイトや、オリコンのようなメディアの記事でした。(出典:primevideo.com の robots.txtaboutamazon.jp の robots.txt、いずれも2026年9月18日取得)

Geminiの回答は、8月と9月で3,057件ためています。このうち amazon.co.jp が出典になった回答は、1件もありませんでした。

通販に近い業界でも、同じでした。8月に、化粧品・サプリ・家電・アパレル・食品飲料の5業界で、30問ずつ聞いた調査があります。

表2:通販に近い5業界(各30問・1回ずつ、2026年8月)で、各通販サイトを出典にした回答の数(各AI 150回答中)

通販サイト Geminiが出典にした回答 ChatGPTが出典にした回答 robots.txt でのAIのボットの扱い
Amazon 0 0 止めている
楽天市場 29 13 書かれていない
Yahoo!ショッピング 6 10 書かれていない

 robots.txt の出典:楽天市場の robots.txtYahoo!ショッピングの robots.txt(いずれも2026年9月18日取得)。回答の数は、Genview Lab の15業界調査(2026年8月)から、通販に近い5業界を取り出して数えました。

それでも、この表だけで「止めているから出典にならない」とは言えません。同じ150問で、AmazonはGoogle検索の上位10位にもほとんど出てこないからです(150問中1問)。

Geminiの回答にAmazonの話が出てきたら、出典の外部サイトを開いてみてください。AIが話す「Amazonでの人気」や「リピート率」が、いつ、誰が書いた記事から来ているのかが分かります。自社の商品がGeminiにどう紹介されているかを確かめるときも、見る先はAmazonの商品ページより、その外部の記事です。

ChatGPTは、断られているはずの amazon.co.jp も出典にしていました

ChatGPTの動きは違いました。同じ動画配信の30問で、Amazon Prime Videoに触れた108回答のうち、41回答が amazon.co.jp を出典にしています。primevideo.com や aboutamazon.jp も合わせると、Amazonのサイトをどれか1つでも出典にした回答は87ありました。

OpenAIの説明を読むと、手がかりが2つ書かれています。

  • OAI-SearchBotを止めたサイトも、「ナビゲーション用のリンク」としては表示されることがある
  • ChatGPT-Userはユーザーの操作で動くため、「robots.txtのルールが当てはまらないことがある」

 出典:OpenAI「Overview of OpenAI Crawlers」

ただ、私たちのデータからは、ChatGPTがどの経路で amazon.co.jp を出典にしたのかまでは分かりません。

同じように断られていても、Geminiは出典にせず、ChatGPTは出典にしました。robots.txtを読むだけでは、AIでの扱いまでは分かりません。自社サイトでAIのボットを止めるかどうかを考えるときも、設定を変えたあとにAIごとの回答を見て、確かめる必要があります。

次は、Geminiが挙げた「Amazonの売れ筋」が、同じ日のAmazonのランキングとどれだけ合っているかを見てみるつもりです。

今回の数字について

  • robots.txt:2026年9月18日(日本時間の夜)に取得したものです。それより前の状態は見ていません
  • 冒頭のGeminiの回答:私が1回試しただけのもので、下の観測データには入っていません
  • 動画配信:30問を、ChatGPTとGemini(どちらもWeb版、モデルは指定していません)に6回。9月2日〜3日に3回、9月14日に3回です
  • 「Amazon Prime Videoに触れた」:社名の辞書(2026年9月18日時点)で数えました
  • 「出典にした」:回答に付いた引用URLに、そのサイトが1つでも入っていた回答の数です
  • Geminiの3,057件:2026年8月〜9月に集めたGeminiの回答のうち、引用URLを数えられたものです。Amazonと関係のない質問も含みます
  • 通販5業界:2026年8月に、各30問を1回ずつ聞いたものです。Yahoo!ショッピングは、出典のURLが「yahoo.co.jp」までしか分からないものを数えていないため、少なめに出ています
  • この調査から言えないこと:出典にならない原因がrobots.txtかどうか(設定が変わる前と後を比べていません)。ChatGPTがamazon.co.jpを出典にした経路。amazon.com(米国)の設定が、日本と同じかどうか

参考にした資料

よくある質問

Q Amazonは、生成AIのボットをブロックしていますか?

A

2026年9月18日時点で、amazon.co.jp の robots.txt は、ChatGPTのボット(GPTBot・OAI-SearchBot・ChatGPT-User)やGeminiに関わるGoogle-Extendedを含む99のボットに、サイト全体への立ち入りを断っています。Amazonは、その理由を公式には説明していません。

Q AmazonがAIのボットを止めていても、AIはAmazonの話をしますか?

A

します。私たちの観測では、Geminiは動画配信の質問180回答のうち151回答でAmazon Prime Videoに触れましたが、amazon.co.jpを出典にした回答は0でした。出典になっていたのは、比較サイトやメディアの記事、Amazonの広報サイトなどです。

この記事を書いた人

吉田 清登 / Yoshida Kiyoto

株式会社FID 執行役員CMO / Genview プロダクトマネージャー / JECCICA客員講師

通販業界20年以上。再春館製薬所で越境EC・タイチームの管理を経て、現在は Genview の事業責任者。

得意分野のCRMのエッセンスをGEO対策に取り入れたのが Genview です。AI時代の接客は BtoC with AI。主役はお客様で、AIはその間に入った存在です。お客様に伝えると同時に、AIにも自社を正しく伝える。AIを通してどう伝わっているかを、実際に測って確かめています。

プロフィール / note

あわせて読む

Genview のご案内

AIでの見え方を測りたい方は、Genview をお使いください。

測った結果から、どの質問で何を直すかまで知りたい方には、コンサルプラン(戦略策定・改善提案・運営代行)をご用意しています。

GEO・AI検索のご相談。自社サイトの構造や情報設計、無料で相談してみませんか? 無料相談はこちら