自社データがない会社はどうすればいいのか?
著者:喜多 陽平 / Kita Yohei 公開日:2026年06月02日
GEOの話になると、よく「一次情報が重要です」と言われます。すると「うちはデータがない」「顧客も少ない」「調査もできない」という声が出ます。実際、私もそういった相談を受けることがあります。では本当に何もできないのでしょうか。
本当に何もない会社は少ない
まず私の感覚から話します。本当にゼロの会社は、ほとんどありません。
問い合わせがある・営業商談がある・導入相談がある・失注がある——これらはすべて「何かが起きている」証拠です。意識していないだけで、何かしらの情報は必ず存在しています。
前の記事でも書きましたが、一次情報は「作るもの」ではなく「見つけるもの」です。まずは社内を見渡すことが出発点です。
それでも無い場合は観察から始める
社内を見渡しても本当に何もないと感じたとき、私なら「観察」から始めます。
調査を外注する必要はありません。ツールを買う必要もありません。まず自分の目で観察することが、一次情報の出発点になります。
AIそのものを観察する
一番シンプルな観察対象はAIそのものです。
ChatGPT・Gemini・Claude・Perplexityに同じ質問を投げる。どの会社が出るか、どの会社が出ないか、どんな言葉で説明されるか——これを繰り返し観察します。
「〇〇業界のおすすめツールは?」「〇〇の導入事例を教えて」「〇〇と△△を比較して」——自社に関連するクエリを毎週同じ条件で確認するだけで、AI引用の傾向が見えてきます。
この観察は、他の誰もやっていなければ一次情報になります。同業他社が「AIに何が出るか」を週次で記録しているケースはまだ多くありません。
業界を観察する
次の観察対象は業界です。
競合が何を発信しているか。AIがどんな情報を引用しているか。業界の中でどんな調査が繰り返し使われているか。どんな質問がAI検索で多く入力されているか。
これらを観察することで「業界の中でまだ誰も発信していない情報は何か」が見えてきます。空白地帯が見つかれば、そこへの発信が一次情報になります。
業界観察は大規模なリソースを必要としません。AIに問いかけを繰り返すだけで、引用パターンと空白が見えてきます。
顧客を観察する
3つめの観察対象は顧客です。
顧客は何に困っているか。どこで迷うか。何を比較しているか。導入前に何を検索するか。——数字がなくても観察はできます。
顧客インタビューが5人分あれば、「5人のユーザーに聞いてわかったこと」という一次情報になります。アンケートが50件あれば、「50件の回答から見えた傾向」になります。規模は小さくても、他社が持っていない観察であれば価値があります。
→ 導入事例とは
GEOは調査会社選手権ではない
ここが、私がこの記事で一番伝えたいことです。
多くの人は「一次情報=大規模調査」と思っています。だから「うちにはできない」と感じます。でも私はそうは思いません。
GEOは「誰が一番大きな調査を持っているか」ではなく、「誰が新しい気づきを持っているか」です。1万人調査でも、他の人が気づいていることしか書いていなければ引用されません。50人のインタビューでも、業界で誰も言語化していなかった観察が入っていれば引用されます。
観察を続けると何が起きるのか
私がGenviewでやっている観察も、最初は単なるメモでした。
AI回答を記録する。引用される企業を記録する。GEO関連の発信を記録する。
それを続けていると、3ヶ月前との違いが見えてきます。「以前は出ていた企業が出なくなった」「新しい企業が引用されるようになった」「このクエリでは一貫して同じ企業が出る」——こうした変化が記録として積み上がっていきます。
観察を続けることで、変化そのものが一次情報になります。
私の考え
「データがない」という状態は「まだ観察していない」に近いと私は思っています。
高価な調査を外注する前に、まず自分の目で観察する。AI回答を見る、顧客の言葉を記録する、業界の空白を探す——そこから一次情報は生まれます。
調査を「買う」時代から、観察を「始める」時代になっていると私は感じています。
→ 一次情報とは
まとめ
「自社データがない=終わり」ではありません。
観察する→記録する→整理する、この3ステップから一次情報は始まります。AIそのものを観察する・業界を観察する・顧客を観察する——どれも今日から始められます。
次の問いは「では観察した情報をどう一次情報として形にするのか」です。それについては次の記事で考えます。