EN ログイン

100クエリ監視して、何が分かるのか

コラム 2026-06-25
著者:喜多 陽平 / Kita Yohei

「100クエリ監視できます」

GEOツールの比較記事では、この数字が大きく見えることがあります。確かに、少ないより多い方が安心に見える。けれど私は、この訴求を見るたびに少し引っかかります。

100クエリ監視して、何が分かるのか。

100クエリ監視して、何が分かるのか

たとえば100本のクエリを並べたとします。そのうち自社が出ていたのは30本だったとします。では残りの70本で出ていないのは、なぜでしょうか。

もちろん、クエリ数が多いこと自体が悪いわけではありません。問題は、設計されていないクエリを大量に監視しても、次の改善につながりにくいことです。

課題認識の段階でAIに認知されていないのか。解決策を探しているユーザーの相談に出ていないのか。比較検討の段階で候補から外れているのか。これらは別の問題であり、別の対策が必要です。しかし100本を無設計に並べると、この切り分けができません。

100本のうち30本で出ていた、という情報は得られます。ただし「どこで出ていて、どこで出ていないのか」「どの段階のユーザーに届いていないのか」は、設計なしには見えてきません。

Search Engine JournalはGEOの監視クエリ設計について「顧客が実際に問いかける10〜15本の質問を設計せよ」と述べています。私もこの考え方に近いです。GEOの監視クエリは、網羅率を競うものではなく、顧客の意思決定プロセスを分解するためのものだと考えています。

GEOのクエリ監視は、量より設計だ

GEOで重要なのは「どのクエリで・どの文脈で引用されたいか」です。課題に気づく段階(ToFu)なのか、解決策を探している段階(MoFu)なのか、比較検討している段階(BoFu)なのか。この文脈を先に決めてから設計しないと、クエリを増やしても情報が散らばるだけです。

これはコンテンツ設計でも同じです。totheweb.comは「質が量に勝る。FAQは実際にユーザーが問いかける質問に答えるために使え、ページにキーワードを詰め込むためではない」と述べています。クエリの設計思想とコンテンツの設計思想は、同じ方向を向いています。

また、HubSpotのグロース担当シニアディレクターAja Frostは、eMarketerのインタビューで「マーケターはLLMからのトラフィック獲得を追いかけるより、AIの回答の中でブランド認知を高める『ソリューション認知』コンテンツに集中すべきだ」と述べています。何のクエリで・どんな文脈で出たいのかという目的設計が先であり、クエリの本数はその後の話です。

ファネルで設計することで見えてくるもの

クエリをToFu・MoFu・BoFuで設計すると、スコアの読み方が変わります。

たとえばBoFuのスコアが低くてもToFuが高ければ、「課題認識の段階では認知されているが、比較検討まで到達していない」という診断ができます。逆にToFuが低ければ、そもそも自社が属する課題領域をAIが正しく理解していない可能性があります。

この切り分けができると、次に取るべき施策が変わります。ToFuのスコアが低いなら、課題カテゴリを説明するコンテンツの整備が先決です。BoFuのスコアが低いなら、比較クエリに対して自社の強みが伝わるページを作ることが先決です。無設計の100本では、この判断ができません。

→ クエリ設計の考え方については「AIには出ている」のに、新規顧客の相談に出ていない企業の共通点をご覧ください。

「出ているか」より「どの文脈で出ているか」

もう一つ重要なことがあります。クエリの数を増やすと、「出ているか出ていないか」の確認に集中しやすくなります。しかしGEOで本当に確認すべきは、出ているかどうかだけではありません。

どんな言葉で説明されているか。競合と並んで候補に入っているか。説明が正しいか、古くないか。どのクエリでは出てどのクエリでは出ないか。これらを把握して初めて、改善の方向が見えます。

100本の「出た・出なかった」より、10本の「どう出たか・なぜ出なかったか」の方が、改善につながる情報量は多いと私は考えています。

Genviewが9本にしている理由

Genviewは現在、ToFu・MoFu・BoFuの各ファネル3本ずつ、合計9本(Proプラン)のクエリで設計しています。100本を否定しているわけではありません。ただ、まず設計された少数のクエリで「どのファネルに課題があるか」を把握することを優先しています。

最初から大量のクエリを入れるより、まずは9本で仮説を立て、どのファネルに課題があるかを確認する。そのうえで、次に見るべきクエリへ差し替えていく方が、改善の意図が明確になります。

9本は少ないのではなく、固定して放置するための上限ではありません。仮説を持って観測し、結果を見て入れ替えるための単位です。あるファネルのスコアが安定したら、次の3本に差し替える。このPDCAが、Genviewとして想定している使い方です。

まとめ

  • 100クエリを無設計に並べても、どの段階のユーザーに届いていないかは分からない
  • クエリ数が多いこと自体は悪くない。問題は設計なしに増やすことで改善の手がかりが見えなくなること
  • GEOのクエリ監視で重要なのは、どの文脈で引用されたいかという設計
  • ToFu・MoFu・BoFuで設計することで、スコアが低い原因を切り分けられる
  • 「出ているか」だけでなく「どの文脈でどう出ているか」を見ることが改善につながる
  • 9本は固定の上限ではなく、仮説を持って観測し、入れ替えるための単位

参考文献

関連コラム・記事

関連コラム:クエリ設計の考え方については「AIには出ている」のに、新規顧客の相談に出ていない企業の共通点をご覧ください。

関連コラム:AI検索で自社が紹介されているかの確認方法についてはChatGPTだけ見て安心していませんか?AI検索で自社が紹介されているか確認する方法をご覧ください。

← 実験・コラムに戻る
お申込みはこちら →