著者:吉田 清登(株式会社FID CMO / Genview PM) 公開:2026-09-26

「Asian」と「Korean」は、AIにとってほとんど同じ聞き方でした。

英語の化粧品7問に、地域の言葉を4通り入れ替えて、ChatGPTとGeminiに同じ日に3回ずつ聞いた観測です。

越境ECをやっている会社から、「日本と一緒ですか?」とよく聞かれます。日本語で観測して見えてきたことを、そのまま海外向けのページに当てはめていいのか、という質問です。

日本語と英語で違うのかは、別に観測しています。ここではまず、英語の中の話をします。英語で聞かれたAIが、そもそも何を指して答えているのか。ここを確かめずに英語のページだけ足すと、何に向けて出したのかが分からないままになります。

そこで、英語で同じ質問をして、地域の言葉だけを入れ替えて聞いてみました。何も付けない/Asian/Korean/Japanese の4通りです。化粧品の7問を、ChatGPTとGeminiに、同じ日に3回ずつ聞いています。

30秒でわかる結論

  • 「Asian」と「Korean」で引用されたサイトの重なりは、ChatGPTで30.1%でした。ほかの組み合わせは1〜14%です
  • 「Asian」と聞いたとき、韓国のブランドの名前が挙がったのは、ChatGPTで21回答中17回答(81.0%)でした
  • 日本のブランドでいちばん多かった肌ラボは、同じ21回答のうち6回答でした
  • 日本のブランドも名前は挙がりますが、上位には届きません。「アジア」でまとめて拾われることは期待しにくい、というのが今回の結論です

この記事で扱う範囲

英語で聞いた化粧品7問/地域の言葉4通り/ChatGPTとGemini/同じ日に3回だけで、日をまたいだ変化と、日本語で聞いた場合との比較は見ていません

「Asian」と「Korean」で、引用されたサイトはどれだけ重なったか

先に断っておくことがあります。AIは、まったく同じ質問をもう一度しても、同じサイトを引用しません。今回の7問を3回繰り返したときの重なりは、ChatGPTで33.5%、Geminiで42.4%でした。地域の言葉を変えたときの重なりは、この数字と比べて読みます。

地域の言葉を変えたときの、引用元の重なり 英語の化粧品7問で、地域の言葉だけを入れ替えたときに引用されたサイトがどれだけ重なったか。同じ質問を3回繰り返したときの重なりを基準線として並べた。ChatGPTとGemini、1組あたり21組の平均。 ChatGPT Gemini 0% 10% 20% 30% 40% 50% 同じ質問の繰り返し 33.5% 42.4% Asian × Korean 30.1% 29.1% なし × Asian 13.6% 6.5% なし × Korean 12.9% 6.4% なし × Japanese 7.1% 1.3% Asian × Japanese 6.6% 14.4% Korean × Japanese 4.9% 3.9%
図1:地域の言葉を入れ替えたときに、引用されたサイトがどれだけ重なったか。英語の化粧品7問 × 3回、1組あたり21組の平均。いちばん上は、同じ質問を繰り返したときの重なり(基準線)。並び順はChatGPTの高い順で、Geminiは「Asian × Japanese」だけ順番が入れ替わります。

土台の同じ質問について、地域の言葉だけを変えて引用されたサイトがどれだけ重なったか(サイト単位・1組あたり21組の平均)

組み合わせ ChatGPT Gemini
同じ質問を繰り返したとき(基準線) 33.5% 42.4%
Asian × Korean 30.1% 29.1%
Asian × Japanese 6.6% 14.4%
なし × Asian 13.6% 6.5%
なし × Korean 12.9% 6.4%
Korean × Japanese 4.9% 3.9%
なし × Japanese 7.1% 1.3%

Asian と Korean の組み合わせだけが、基準線の近くにあります。ChatGPTで30.1%、Geminiで29.1%。ほかの組み合わせは1〜14%で、同じ質問を繰り返したときの半分にも届きません。

同じ質問を2回聞いたときと、Asian を Korean に置き換えたときとで、引用されるサイトの入れ替わり方がほとんど変わらなかったということです。

自社の見え方を英語で観測するなら、Asian と Korean を別々の質問として両方測る意味は薄そうです。手をかけるなら、大きく離れている Japanese のほうです。

「Asian skincare」で名前が挙がったブランドを、国ごとに数えた

同じ回答を、今度は本文に出てきたブランド名で見ます。

「Asian」を付けた7問 × 3回 = 21回答のうち、その国のブランドの名前が1つ以上出た回答の割合と、挙がった名前ののべ数に占める割合

国 名前が挙がった回答の割合 挙がった名前に占める割合
韓国(ChatGPT) 81.0% 44.9%
日本(ChatGPT) 57.1% 29.8%
韓国(Gemini) 76.2% 59.6%
日本(Gemini) 57.1% 27.0%

左の列で見ると、日本も57.1%と半分を超えています。回答のどこかに日本のブランドが出てくること自体は珍しくありません。

右の列を見ると、差がひらきます。挙がった名前の数でいえば、ChatGPTで韓国44.9%に対して日本29.8%、Geminiでは59.6%に対して27.0%。1つの回答の中で、韓国のブランドのほうが多く並んでいます。

自社が「アジア」の質問で出てくるかを確かめるときは、出たか出ないかだけでなく、同じ回答に何社並んでいて自社が何番目かまで見ないと、実際の見え方とずれます。

日本のブランドは、21回答のうち何回出てきたか

名前の数でどれくらい差があるのか、実際の顔ぶれで見ます。

「Asian」を付けた7問 × 3回 = 21回答のうち、そのブランドの名前が出た回答の数。上位のみ。会社名(ロート製薬・コーセーなど)はブランドと分けて数えており、この表には入れていない

AI Asian と聞いたときに挙がったブランド(21回答中の回答数)
ChatGPT SKIN1004 9・Beauty of Joseon 9・COSRX 8・Purito 5・Anua 5(韓国)/肌ラボ 6・キャンメイク 5・SHISEIDO 5(日本)
Gemini COSRX 14・Round Lab 13・Beauty of Joseon 11・SKIN1004 11・Anua 9(韓国)/肌ラボ 7・ビオレ 6・アネッサ 5(日本)

日本のブランドは、ChatGPTで19件、Geminiで28件が名前として挙がっています。数の種類でいえば、決して少なくありません。

問題は1件あたりの回数です。日本でいちばん多い肌ラボが6〜7回答。韓国の上位は8〜14回答です。日本のブランドは「出てこない」のではなく、「出てくるが上位に来ない」。

ここは、自社名で検索するように観測していると見落とします。自社が1回出たことをもって「アジアでも拾われている」と読むと、実際には回答の後ろのほうに一度だけ名前が載っていた、ということが起こります。

「Korean」と聞くと日本は消え、「Japanese」と聞くと韓国が消える

地域の言葉を国名まで絞ると、顔ぶれは入れ替わります。

聞き方ごとに、その国のブランドの名前が1つ以上出た回答の割合。それぞれ7問 × 3回 = 21回答中

聞き方 韓国(ChatGPT/Gemini) 日本(ChatGPT/Gemini)
Asian 81.0%/76.2% 57.1%/57.1%
Korean 100%/95.2% 0.0%/0.0%
Japanese 4.8%/0.0% 100%/85.7%

Korean と聞いたとき、日本のブランドの名前は両方のAIで一度も出ませんでした。Japanese と聞いたときの韓国は、ChatGPTで21回答中1回答、Geminiで0回答です。

国名を入れた質問は、その国だけの世界になります。「アジア」のときだけ、日本と韓国が同じ回答に並びます。

英語で観測するときに、国名を入れた質問と入れない質問を混ぜて平均すると、この差が消えます。聞き方ごとに分けて見るほうが、何が起きているかを追えます。

ChatGPTは韓国ブランドの公式サイト、Geminiは通販と口コミを見ていた

同じ「Asian」の質問でも、2つのAIは違う場所から引用していました。

「Asian」を付けた7問 × 3回の回答に付いていた引用URLを、サイト単位で数えたもの(上位・3回合計の引用回数)

AI 引用されたサイト
ChatGPT aad.org(米国皮膚科学会)14/beautyofjoseon.com 11・purito.com 6・skin1004.com 6・cosrx.com 6(韓国ブランドの公式サイト)/yesstyle.com 6
Gemini skinsort.com(比較)11/reddit.com(口コミ)10/yesstyle.com 10・kbeautyworld.com 7・jolse.com 6(越境通販)

ChatGPTは、韓国ブランドが自分で出しているページを直接引用しています。Geminiのほうは、比較サイト・口コミ・越境通販が上位に並び、ブランドの公式サイトは上位に入っていません。

この違いは、自社の見え方を確かめるときにどこを見るかを変えます。ChatGPTで名前が挙がるかを追うなら自社のページ、Geminiなら自社が載っている通販・比較サイトのほうです。どちらのAIを重く見るかで、観測する場所が変わります。

この調査から言えること

Q 越境ECをやっているんですが、日本と一緒ですか?

A

英語の中に限っても、聞かれ方で別の世界になっていました。

「Asian」と聞かれたときに名前が挙がったのは、ChatGPTで韓国が21回答中17回答(81.0%)、日本が12回答(57.1%)。回答のどこかに日本のブランドが出ること自体は珍しくありません。1つの回答に並ぶ名前の数で見ると、韓国44.9%に対して日本29.8%でした。「Korean」まで絞られると、日本のブランドは両方のAIで一度も出てきません。

日本語で聞いたときとどう違うのかは、この調査では測っていません。別のデータで観測しているところです。

ここで言えるのは、英語で自社の見え方を確かめるなら、1つの質問文で代表させないほうがいい、ということです。「Asian」で見たときと「Japanese」で見たときでは、引用されたサイトの重なりがChatGPTで6.6%しかありません。どちらか一方だけを測ると、もう一方で何が起きているかは分からないままになります。

この調査から言えないこと

  • 同じ日に3回だけの観測です。日をまたいだ変化も、月単位の変化も見ていません
  • 化粧品の7問だけです。ほかの商材でも同じかは分かりません
  • 「Asian skincare」と実際に検索する人がどれだけいるかは観測していません。この記事で言えるのは、そう聞かれたときにAIが何を返すかまでです
  • 名前が本文に出たかだけを数えています。推薦されたかどうか、どう書かれたかは判定していません
  • 1マスが21回答(7問 × 3回)と小さく、個々の数字より大小の並びのほうが確かです
  • 辞書に載っていないブランドは、0件ではなく「数えていない」扱いです
  • 引用されたサイトの種類のうち、44サイトは人の確認が済んでいません(機械的な判定のまま)
  • 直せば名前が挙がるようになるか(打ち手の効果)は、この観測では分かりません

観測条件

  • 質問(クエリ):英語の化粧品31問。うち土台7問 × 4水準(何も付けない/Asian/Korean/Japanese)を比較に使用。全文は下に掲載
  • 観測日:2026年9月17日(同じ日に3回)
  • 観測回数:1回の観測で31問 × 2つのAI。合計186回答。比較に使ったのは土台7問ぶんの168回答
  • 対象AI:ChatGPT / Gemini(モデル名は記録していない)
  • 取得方法:Genview の管理画面から書き出したCSVを取り込み
  • 数え方:引用URLは重複を除いて数える。ブランド名は辞書に載っている表記だけを数える
  • 辞書の時点:2026年9月18日の辞書(891表記)で数えた
  • この記事で数えていないもの:辞書に無いブランド/推薦かどうか/同じ回答の中の同じURLの重複

同じ条件でもう一度観測しても、数字は一致しません。AIの回答は1回ごとに変わり、同じ日に3分あけて聞き直しても引用元の重なりは4割前後でした(法律事務所・2026年9月13日)。

集め方や数え方の詳しいところは、調査方法にまとめています。

実際に聞いた31問(クリックで開く)

1〜7が「何も付けない」、8〜15が Asian、16〜23が Korean、24〜31が Japanese です。比較に使ったのは各水準の先頭7問で、8問目の「Is ○○ skincare worth buying?」は「何も付けない」に対応する質問がないため外しています。

  1. Which skincare brands do you recommend for sensitive skin?
  2. Which toner do you recommend for dry skin?
  3. Which sunscreen do you recommend?
  4. Which skincare products do you recommend for acne-prone skin?
  5. What are the most popular cosmetics brands right now?
  6. Where can I buy skincare products online with international shipping?
  7. Which online stores sell cosmetics and ship internationally?
  8. Which Asian skincare brands do you recommend for sensitive skin?
  9. Which Asian toner do you recommend for dry skin?
  10. Which Asian sunscreen do you recommend?
  11. Which Asian skincare products do you recommend for acne-prone skin?
  12. What are the most popular Asian cosmetics brands right now?
  13. Where can I buy Asian skincare products online with international shipping?
  14. Which online stores sell Asian cosmetics and ship internationally?
  15. Is Asian skincare worth buying?
  16. Which Korean skincare brands do you recommend for sensitive skin?
  17. Which Korean toner do you recommend for dry skin?
  18. Which Korean sunscreen do you recommend?
  19. Which Korean skincare products do you recommend for acne-prone skin?
  20. What are the most popular Korean cosmetics brands right now?
  21. Where can I buy Korean skincare products online with international shipping?
  22. Which online stores sell Korean cosmetics and ship internationally?
  23. Is Korean skincare worth buying?
  24. Which Japanese skincare brands do you recommend for sensitive skin?
  25. Which Japanese toner do you recommend for dry skin?
  26. Which Japanese sunscreen do you recommend?
  27. Which Japanese skincare products do you recommend for acne-prone skin?
  28. What are the most popular Japanese cosmetics brands right now?
  29. Where can I buy Japanese skincare products online with international shipping?
  30. Which online stores sell Japanese cosmetics and ship internationally?
  31. Is Japanese skincare worth buying?

よくある質問

Q 越境ECで、海外のChatGPTやGeminiに自社商品を紹介してもらうには?

A

まず、どの聞かれ方で自社が出ているかを分けて確かめることからです。

英語で化粧品の質問をしたとき、地域の言葉を「Asian」から「Japanese」に変えるだけで、引用されたサイトの重なりはChatGPTで6.6%、Geminiで14.4%になりました。同じ質問を繰り返したときの重なり(33.5%・42.4%)を大きく下回ります。聞かれ方が変われば、AIが見に行く先も、挙げる名前も入れ替わります。

「Japanese」と付けて聞かれたときは、日本のブランドの名前がChatGPTで21回答すべてに、Geminiで18回答(85.7%)に出ていました。一方、地域の言葉が何も付かないときは、ChatGPTで1回答(4.8%)です。

この観測で言えるのはここまでです。ページをどう直せば紹介されるようになるかは、直す前と後を比べる実験をしないと分かりません。

まとめ

英語で「Asian skincare」と聞かれたAIが返すのは、ほぼ韓国のブランドでした。日本のブランドも名前は挙がりますが、1つの回答に並ぶ数では届きません。

「Asian」と「Korean」の重なりは30.1%(ChatGPT)。同じ質問を繰り返したときの33.5%とほとんど変わらない数字です。AIにとって、この2つはほぼ同じ聞き方でした。

「日本と一緒ですか」という質問に、この調査だけで答えることはできません。日本語と英語の違いは別に観測しています。ただ、英語の中に限っても、聞き方ひとつで返ってくる顔ぶれが入れ替わることは分かりました。

海外向けに英語で観測するなら、「アジア」と「日本」を1つにまとめずに、聞き方ごとに分けて見ることです。どの聞き方で自社が出て、どの聞き方で出ないのか。そこが分かって初めて、次に何を確かめるかが決まります。

この記事を書いた人

吉田 清登 / Yoshida Kiyoto

株式会社FID 執行役員CMO / Genview プロダクトマネージャー / JECCICA客員講師

通販業界20年以上。再春館製薬所で越境EC・タイチームの管理を経て、現在は Genview の事業責任者。

得意分野のCRMのエッセンスをGEO対策に取り入れたのが Genview です。AI時代の接客は BtoC with AI。主役はお客様で、AIはその間に入った存在です。お客様に伝えると同時に、AIにも自社を正しく伝える。AIを通してどう伝わっているかを、実際に測って確かめています。

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