著者:吉田 清登(株式会社FID CMO / Genview PM) 公開:2026-09-24

聞き方を4通りに変えても、毎回言及される会社は、同じ質問を聞き直したときと変わりませんでした。動いたのは、出たり出なかったりする会社です。同じ質問の聞き直しでも44%が入れ替わり、聞き方を変えると52%が入れ替わりました。

4業界8つの題材を、「おすすめ/比較/一覧/ランキング」の4通りで聞き、ChatGPTとGeminiの回答に出た社名と引用元を数えました(2026年9月16日、同じ日に3回)。

この記事の「言及」は、回答の本文に社名が出たことです。「引用」は、回答に付いた引用URLのことです。2つは分けて数えています。

会社の顔ぶれの重なり(聞き方を変えたとき)

46.6〜53.2%

同じ質問を聞き直したとき

50.8〜58.1%

−4.2〜−4.9pt

この記事は、同じ内容を聞き方だけ変えて比べた実験です。これまでの調査(同じ質問を繰り返したとき同じ企業名が毎回挙がるか)では、同じ質問を繰り返して回ごとの揺れを見てきました。今回は、その揺れを基準線にして、聞き方の違いがどれくらいかを見ます。

AIに聞くとき、「おすすめを教えて」と「比較して」と「一覧で」と「ランキングで」では、答えが変わるのか。聞き方を変えるだけで、出てくる会社は入れ替わるのでしょうか。

4業界の8つの題材について、同じ内容を4通りの聞き方で並べ、同じ日に3回聞きました。聞き方の違いと、同じ質問を聞き直したときの違いを、同じ数え方で比べます。

30秒でわかる結論

  • 聞き方を変えたときの顔ぶれの重なりは46.6〜53.2%。同じ質問を聞き直したときは50.8〜58.1%で、差は4〜5ポイントだった
  • 毎回言及される会社は、どの聞き方でも9割前後で出ていた
  • 動いたのは、出たり出なかったりする会社。聞き方を変えると52.3%が入れ替わった(同じ質問の聞き直しでは44.2%)
  • 「一覧」で聞くと、挙がる会社の数が増えた。ChatGPTは「比較」4.0社に対して「一覧」6.7社
  • 引用元の重なりも、聞き方を変えたときと聞き直したときで3〜6ポイントの差だった

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聞き方4通りの顔ぶれの重なり/挙がる会社の数/会社の層別の出やすさ/引用元の重なりと種類/自社で確かめる手順/この調査から言えないこと

聞き方を変えたときの重なりは、同じ質問を聞き直したときと4〜5ポイントしか違わなかった

同じ題材を4通りの聞き方で聞いて、回答に出た社名の顔ぶれがどれくらい重なるかを数えました。比べる相手は、同じ聞き方で、別の回に聞いたときの重なりです。AIの回答は1回ごとに変わるので、この基準線がないと「聞き方のせいで変わった」と読み間違えます。

質問の型・社名の顔ぶれの重なり(Jaccard、2026年9月16日の3回)

AI 聞き方を変えたとき 同じ質問を聞き直したとき(基準線)
ChatGPT 46.6% 50.8% −4.2pt
Gemini 53.2% 58.1% −4.9pt

聞き方を変えると重なりは下がりますが、その差は4〜5ポイントでした。

聞き方の組み合わせで見ても、大きな偏りはありません。ChatGPTでは「おすすめ×一覧」が40%で最も低く、「おすすめ×ランキング」と「一覧×ランキング」が51%でした。

ここで分かるのは、顔ぶれが半分ほど入れ替わっていることと、その入れ替わりが聞き方だけで説明できないことです。 同じ質問をもう一度聞いても、同じくらい入れ替わっていました。

変わったのは、挙がる会社の数だった

次に、1回答あたりに何社の名前が出たかを数えました。

質問の型・1回答あたりに名前が出た会社の数(3回の平均)

AI おすすめ 比較 一覧 ランキング
ChatGPT 4.7社 4.0社 6.7社 5.1社
Gemini 7.0社 6.2社 9.2社 7.2社

「一覧」がいちばん多く、「比較」がいちばん少ない。この並びは2つのAIで同じでした。 ChatGPTでは「一覧」が「比較」の1.7倍、Geminiでは1.5倍です。

なぜ「一覧」で増えるのかは、この調査では確かめていません。分かっているのは、同じ題材でも、聞き方によって挙がる会社の数が変わることです。

毎回出る会社は動かない。動いたのは、出たり出なかったりする会社

会社ごとに、4通りの聞き方でどれくらい名前が出たかを数え、出やすさで3つの層に分けました。

質問の型・会社の層別の出やすさと入れ替わり(単位は「会社×題材×AI」の組み合わせ)

組み合わせ おすすめ 比較 一覧 ランキング 聞き直したときの入れ替わり 聞き方を変えたときの入れ替わり
毎回出る(平均8割以上) 51 93.5% 84.3% 95.4% 93.5% 13.9% 15.8%
出たり出なかったり(3〜7割) 72 48.6% 37.7% 69.9% 51.4% 44.2% 52.3%
ほとんど出ない(3割未満) 109 10.1% 9.9% 25.7% 12.2% 23.5% 26.9%

* 入れ替わりは、「出た/出ない」が入れ替わった割合です。低いほど安定しています。

毎回出る会社は、聞き方を変えても9割前後で出ていました。 入れ替わりも13.9%と15.8%で、差は1.9ポイントです。

いちばん動いたのは、出たり出なかったりする会社です。 同じ質問を聞き直しただけでも44.2%が入れ替わり、聞き方を変えると52.3%でした。この層は、「一覧」で聞くと69.9%まで上がり、「比較」では37.7%に下がります。

ほとんど出ない会社も、「一覧」では25.7%まで上がりました。この層(109の組み合わせ)のうち、1回でも名前が出たのは、「比較」で28、「おすすめ」で29、「ランキング」で37、「一覧」で64でした。

自社が「毎回出る」側にいるのか、「出たり出なかったり」の側にいるのかで、見えている景色が違います。

引用元の重なりも、3〜6ポイントの差だった

同じ計算を、回答に付いた引用URL(ドメイン単位)でも行いました。

質問の型・引用元の重なり(Jaccard)と1回答あたりの引用元の数

AI 聞き方を変えたとき 聞き直したとき(基準線) 1回答あたりの引用元(おすすめ/比較/一覧/ランキング)
ChatGPT 36.8% 40.2% −3.4pt 5.0/4.1/6.3/4.9
Gemini 30.8% 37.1% −6.3pt 10.1/11.2/9.5/8.8

引用元も、聞き方を変えたときと聞き直したときの差は3〜6ポイントでした。 社名(言及)と同じ形です。

引用元の重なりは、社名の重なりより10〜20ポイント低くなっています。同じ会社の名前が出ていても、読んでいるページは入れ替わっているということです。この形は、別の調査でも見ています(観測結果の現在地 項目9〜12)。

引用元の種類は、「ランキング」だけ少し違った

引用元を種類ごとに分けて数えました。

質問の型・引用元の種類(引用回数ベース)

引用 公式サイト メディア 比較サイト 利用者の投稿 未分類
おすすめ 431件 47% 14% 12% 3% 17%
比較 443件 52% 12% 8% 5% 18%
一覧 432件 49% 13% 9% 3% 22%
ランキング 361件 43% 17% 14% 4% 16%
全体 1,667件 48% 14% 10% 4% 18%

* 未分類は、運営を確かめていないサイトです。「その他」(5%前後)は表から省いています。

「ランキング」だけ、公式サイトが少なく、メディアと比較サイトが多くなりました。 ただし差は数ポイントで、未分類も16〜22%あります。この違いは、今回の観測で見えた範囲にとどめます。

型をまたいで引用されたのは、サービスの公式サイトだった

型ごとに、引用が多かったサイトを並べます。

質問の型・引用が多かったサイト(引用回数、上位3)

1位 2位 3位
おすすめ マネーフォワード クラウド 17 弥生 16 freee 14
比較 マネーフォワード クラウド 24 弥生 21 freee 19
一覧 マネーフォワード クラウド 14 弥生 14 三井住友カード 13
ランキング マネーフォワード クラウド 16 マイベスト 14 弥生 11

会計ソフトの3社は、4つの型すべてで上位に入りました。 名前が挙がる回数でも、freee・弥生・マネーフォワードは、どの型でも12回中12回で出ています(3回×2AI×2題材)。

「ランキング」だけ、比較サイトのマイベストが2位に入りました。 種類別で「ランキング」の比較サイトが多かったのと、同じ方向の結果です。

ChatGPTは「比較」で、短い回答を返すことがあった

「比較してください」と聞いたとき、ChatGPTが250〜390字の短い回答を返し、社名も引用も1件も出さなかったことが3回ありました(離婚問題に強い法律事務所、交通事故に強い法律事務所、年会費無料のクレジットカード)。

同じ質問を「おすすめ」「一覧」「ランキング」で聞いたときには、社名が出ています。

なぜ短くなったのかは分かりません。 回数も3回です。ただ、聞き方によって「答えない」ことがあるという事実は、自社で確かめるときに知っておく価値があります。

自社で確かめる手順

  1. 1

    自社にとって重要な題材を3〜5つ選ぶ。

    「個人事業主に向いている会計ソフト」のように、自社が答えになりうる題材です。

  2. 2

    同じ題材を4通りで聞く。

    「おすすめを教えてください」「比較してください」「一覧を教えてください」「ランキングを教えてください」。ChatGPTとGeminiは分けて記録します。

  3. 3

    同じ聞き方で、日を変えてもう一度聞く。

    これが基準線です。これがないと、1回ごとの揺れを「聞き方の効果」と読み間違えます。

  4. 4

    自社がどの層にいるかを見る。

見え方
毎回出る どの聞き方でも名前が出る
出たり出なかったり 回によって出る・出ないが入れ替わる。「一覧」で出やすい
ほとんど出ない どの聞き方でもほぼ出ない
  1. 5

    競合がどの層にいるかも、同じ方法で見る。

    自社が「出たり出なかったり」で、競合が「毎回出る」なら、そこが差になっています。

この結果についての、私たちの考え

ここから先は観測結果ではなく、私たちの見方です。

対策が必要なのは、出たり出なかったりする会社だと考えています。毎回言及される会社は、聞き方を変えても出ていました。一方で、出たり出なかったりする会社は、同じ質問でも半分近く入れ替わります。

安定して言及されるようにするには、1社1社の状況に合わせた対策が必要だと考えています。 会社によって、どの題材で出ていないのか、どの聞き方で落ちるのか、競合が何を書いているのかが違います。同じ手順をあてはめて済む話ではありません。

質問の型の調査から言えること(Q&A)

Q1. AIに聞くときの言い方は、どこまで気にすればいいですか?

今回の結果では、「おすすめ/比較/一覧/ランキング」の言い換えは、答えを大きく入れ替えるものではありませんでした。 顔ぶれの重なりは46.6〜53.2%で、同じ質問を聞き直したとき(50.8〜58.1%)との差は4〜5ポイントです。

ただし、数は変わります。 「一覧」で聞くと、挙がる会社が1.5〜1.7倍になりました。ふだん出てこない会社が入ってくるのは、この聞き方です。

自社の見え方を確かめるなら、言い換えを何通りも試すより、同じ聞き方で回数を重ねるほうが先です。 1回ごとの揺れのほうが大きいためです。競合が何社まで並ぶかを見たいときは、「一覧」で聞くと範囲が広がります。

Q2. 聞き方より、何を足すと答えが変わるのですか?

別の実験では、質問に「年齢」を一語足したときのほうが、大きく変わりました。

化粧品の8問に「20代」「30代」「40代」を足して比べた実験(同じ数え方)では、引用元の重なりが、基準線に対してChatGPTで11.2ポイント、Geminiで24.5ポイント下がりました。今回の聞き方の違い(引用元で3.4〜6.3ポイント)と比べると、ChatGPTでは大きい値です。Geminiは24.5ポイントと6.3ポイントで、差が開いています。

ChatGPT Gemini
年齢を一語足したとき(化粧品・別の実験) −11.2pt −24.5pt
聞き方を変えたとき(今回) −3.4pt −6.3pt

* どちらも引用元の重なりで比べています(年齢の実験も引用元で数えているため)。今回の社名(言及)の差は −4.2pt と −4.9pt です。

別の調査なので、そのまま並べて優劣を決めることはできません。 業界も題材も違います。分かっているのは、「聞き方の言い換え」で見えた差より、「意味を足す語」で見えた差のほうが大きかった、ということです。

質問の型の調査から言えないこと

  • 「聞き方は関係ない」とは言えません。 今回の題材と回数で、基準線との差が4〜6ポイントだった、というところまでです
  • 題材は8つ(4業界×2つ)だけです。 業界の差としては言えません
  • 同じ日の3回だけです。 日をまたいだ変化は見ていません
  • 「一覧」で増える理由は分かりません。 回答が長くなるからか、AIが並べる件数を変えているからか、確かめていません
  • 名前が挙がったことと、推薦されたことは別です。 推薦や論調は判定していません
  • 辞書にない会社は数えていません。 6業界の企業辞書に載っている社名だけを数えました
  • 引用元の種類は、18%が未分類のままです
  • 打ち手の効果は確かめていません。 何をすれば安定して言及されるようになるかは、この調査では分かりません

観測条件

  • 質問(クエリ):32問 = 題材8つ × 聞き方4通り。題材は企業辞書がある4業界から2つずつ(会計ソフト、クレジットカード、化粧品、法律事務所)。全文は下の一覧に載せています
  • 聞き方:「〜のおすすめを教えてください」「〜を比較してください」「〜の一覧を教えてください」「〜のランキングを教えてください」。題材の文面は4通りで同じにそろえました
  • 観測日:2026年9月16日。4通りを必ず同じ回にまとめて実行しました(日を分けると、AIの日ごとの揺れと聞き方の違いが混ざるため)
  • 観測回数:同じ日に3回。1回64回答(32問 × 2つのAI)、3回で192回答
  • 対象AI:ChatGPT/Gemini(どちらもWeb版。モデル名は記録していません)
  • 取得方法:Genview の管理画面から書き出したCSVです
  • 数え方(言及):2026年9月18日の辞書(締め日)で、回答本文に社名が出たかを機械的に数えました。同じ回答に同じ社名が何度出ても1件です
  • 数え方(引用):引用URLをドメイン単位で数えました。重なりは Jaccard(両方に出たサイト ÷ どちらかに出たサイト)です
  • 比べ方:聞き方を変えたときは「同じ回・同じ題材・同じAIで、4通りのうち2つを比べたペア」、基準線は「同じ聞き方・同じ題材・同じAIで、回を変えたペア」です
  • この記事で数えていないもの:Geminiの転送用URL(vertexaisearch.cloud.google.com)14件は、行き先が特定できないため外しました。回答の本文が空だった2件(Gemini・比較)は、「0件」ではなく「数えられなかった」として外しています

同じ条件でもう一度観測しても、数字は一致しません。AIの回答は1回ごとに変わります。

集め方や数え方の詳しい説明は、調査方法にまとめています。

この調査で使った32問(クリックで開きます)
No. 聞き方 質問
1 おすすめ 個人事業主に向いている会計ソフトのおすすめを教えてください。
2 おすすめ インボイス制度に対応した会計ソフトのおすすめを教えてください。
3 おすすめ 年会費無料のクレジットカードのおすすめを教えてください。
4 おすすめ ポイント還元率が高いクレジットカードのおすすめを教えてください。
5 おすすめ 敏感肌向けのスキンケアブランドのおすすめを教えてください。
6 おすすめ プチプラの化粧水のおすすめを教えてください。
7 おすすめ 離婚問題に強い法律事務所のおすすめを教えてください。
8 おすすめ 交通事故に強い法律事務所のおすすめを教えてください。
9〜16 比較 上の8題材を「〜を比較してください。」で聞いたもの
17〜24 一覧 上の8題材を「〜の一覧を教えてください。」で聞いたもの
25〜32 ランキング 上の8題材を「〜のランキングを教えてください。」で聞いたもの

よくある質問

Q AIへの聞き方を変えると、出てくる会社は変わりますか?

A

今回の調査では、顔ぶれの重なりは46.6〜53.2%でした。同じ質問を聞き直したときの50.8〜58.1%と比べて、差は4〜5ポイントです。毎回出る会社は、どの聞き方でも9割前後で出ていました。一方で、挙がる会社の数は変わり、「一覧」は「比較」の1.5〜1.7倍でした。

Q どの聞き方で確かめるのがいいですか?

A

自社の見え方を追うなら、聞き方を何通りも試すより、同じ聞き方で回数を重ねるほうが先です。1回ごとの揺れのほうが大きいためです。競合がどこまで並ぶかを広く見たいときは、「一覧」で聞くと、ふだん出てこない会社も入ってきます。

Q ChatGPTとGeminiで違いはありましたか?

A

挙がる会社の数はGeminiのほうが多く(1回答あたり6.2〜9.2社、ChatGPTは4.0〜6.7社)、引用元の数も多くなりました(8.8〜11.2件、ChatGPTは4.1〜6.3件)。一方で、聞き方を変えたときの差の大きさは、2つのAIで似ていました(社名で−4.2ptと−4.9pt)。

まとめ

4業界8つの題材を、4通りの聞き方で聞きました。顔ぶれの重なりは46.6〜53.2%で、同じ質問を聞き直したとき(50.8〜58.1%)と4〜5ポイントの差でした。

毎回言及される会社は、聞き方を変えても9割前後で出ていました。 動いたのは、出たり出なかったりする会社です。同じ質問の聞き直しで44.2%、聞き方を変えると52.3%が入れ替わりました。

引用元でも同じ形でした。社名が同じでも、読まれているページは入れ替わっています。

自社がどの層にいるかを確かめる。 毎回出ているのか、出たり出なかったりするのか。それによって、次に見るものが変わります。

この記事を書いた人

吉田 清登 / Yoshida Kiyoto

株式会社FID 執行役員CMO / Genview プロダクトマネージャー / JECCICA客員講師

通販業界20年以上。再春館製薬所で越境EC・タイチームの管理を経て、現在は Genview の事業責任者。

得意分野のCRMのエッセンスをGEO対策に取り入れたのが Genview です。AI時代の接客は BtoC with AI。主役はお客様で、AIはその間に入った存在です。お客様に伝えると同時に、AIにも自社を正しく伝える。AIを通してどう伝わっているかを、実際に測って確かめています。

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