GEOのKPIは各社でどう違うのか|4社の公開記事から見る5つの考え方
著者:吉田 清登(株式会社FID CMO / Genview PM) 公開:2026-09-02
GEOのKPIは、支援会社やツール会社のあいだでも、中心に置く指標がそろっていません。
「GEOでは、結局何をKPIにすればいいんですか?」。商談で、よくこう聞かれます。
SEOには、検索順位、表示回数、クリック率、自然検索からの流入、コンバージョンといった、広く共有されている指標があります。GEOには、SEOの検索順位にあたる、業界共通の1つのKPIがまだありません。
生成AIでは、同じ質問でも、使うAI、質問文、聞いた時期、地域や言語によって、回答の中身や引用元、紹介されるブランドが変わります。AIに引用されること、ブランド名が言及されること、比較の候補として推薦されること、サイトへの流入や売上につながることのうち、どこを「GEOの成果」と考えるかも、会社によって違います。
そこで、GEOの支援会社やツール会社が公開している記事を読み、それぞれが何をKPIとして挙げているかを比べました。自社のKPIの決め方そのものは、GEO対策のKPIで解説しています。この記事では、各社の考え方の違いを見ていきます。
30秒でわかる結論
- GEOの支援会社・ツール会社4社の公開記事を比べると、どの会社も複数の指標を挙げているが、中心に置く指標は同じではなかった
- 考え方は、引用中心・言及中心・競合とのシェア・顧客の行動(ファネル)・階層の5つの型に分けられる
- 引用と言及は別々に起きる。Geminiがキュレルの名前を挙げた回答のうち、キュレルのページも引用していたのは4.8%だった
- GEOで何をKPIにするかは、各社の主張ではなく、自社がGEOで変えたい顧客の行動で決まる。5つの型は、その候補の一覧として使える
この記事で扱う範囲
GEOに標準のKPIがない理由/4社の主張の比較/5つの型/型の選び方(KPIの決め方と測り方は「GEO対策のKPI」)
GEOには、業界共通の標準KPIがまだない
SEOとGEOでは、成果を観測する仕組みが違います。
SEOでは、ある検索キーワードで自社のページが何位に出たかを確かめられます。順位は日々動きますが、「検索結果の掲載順位」という共通の物差しがあります。Search Consoleやアクセス解析を使えば、表示回数、クリック数、流入、コンバージョンまで順に追えます。
生成AIの回答には、検索結果のような決まった順位表がありません。同じ質問でも、回答に出るブランド、引用されるURL、説明の順番、推薦の中身が変わります。ChatGPT、Gemini、Perplexity、GoogleのAI機能など、使うサービスによっても結果は違います。
SEOとGEOで、成果の測り方がどう違うか
| SEO | GEO |
|---|---|
| 検索結果に掲載順位がある | 決まった順位表がない |
| 順位・表示・クリックを共通の指標として追いやすい | AI・質問・聞いた時期で回答が変わる |
| 検索エンジンの計測の仕組みで、流入まで確かめられる | いくつものAIをまたぐ、共通の公式の計測の仕組みがない |
| 代表的なKPIが広く共有されている | 引用、言及、シェアなど、重く見る指標が分かれる |
GEOが測れないわけではありません。SEOの検索順位のような、1つの指標では測りにくい。ここが、GEOのKPIを考えるときの出発点です。
GEOのKPIが決まりにくい4つの理由
1. SEOのような決まった順位がない
SEOなら「このキーワードで今3位」と表せます。生成AIでは、回答の中でブランドが何番目に出たかを順位として扱うツールもありますが、その定義はそろっていません。最初に紹介されたブランドを1位とするのか、推薦の強さを評価するのか、リンク付きの引用だけを数えるのかで、結果が変わります。
ツールが出す「AI Visibility Score」や「GEO Score」も、対象の質問、AI、測る頻度、重み付けがツールごとに違います。違うツールのスコアを、そのまま横に並べることはできません。
2. 同じ質問でも、回答や引用元が変わる
同じ日に同じ質問を何回か聞いても、自社が出る回答と出ない回答があり得ます。自社が出ていても、ある回答では推薦され、別の回答では選択肢の1つとして名前が挙がるだけ、ということもあります。「1回聞いたら自社が出た」だけでは、GEOの成果が安定して出ているとは判断できません。
3. AIのサービスをまたいだ共通の指標がない
AIのサービスによって、回答の形や情報源の示し方が違います。リンク付きで引用元を出すこともあれば、回答の本文でブランド名を紹介しながら、その会社の公式サイトは引用しないこともあります。ChatGPTでの引用、GoogleのAI機能での表示、Geminiでの言及を、同じ意味の数字としてひとつにまとめることはできません。AIごとの結果を確かめてから、全体を見ます。
4. 何を「成果」とみなすかが一致していない
各社の公開記事を読むと、GEOの成果として扱っている地点が違います。
- 自社のURLが情報源として引用された
- ブランド名が回答に出た/比較の候補として推薦された
- 競合より多く出た
- 自社サイトへ流入した/問い合わせや購入につながった
これらは、同じ成果を別の名前で呼んでいるのではありません。顧客の行動の、違う段階を測っています。どれを一番上のKPIにするかで、GEOの評価も変わります。
4社が公開しているGEOのKPIを比べる
次の表は、各社が社内で実際に使っているKPIを調べたものではありません。各社が公開記事で提案・重視している指標を、2026年9月28日に確かめられた範囲で整理したものです。
GEOの支援会社・ツール会社4社が公開記事で挙げているKPI(2026年9月28日に確認)
| 会社 | 主に挙げている指標 | 型 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 仁頼 | AI検索引用数、引用キーワードカバー率、AI検索経由のリファラルトラフィック、AI引用の正確性スコア、競合引用シェア | 引用中心 | 引用回数と指名検索数の推移を最も重く見る。時期に応じて、カバー率・流入、競合シェア・コンバージョンへ広げる |
| AI検索パートナーズ(TechSuite) | AI検索引用数、引用キーワードカバー率、AI経由流入、引用の正確性、競合引用シェア | 引用中心 | 引用数と指名検索数を軸に置く。仁頼の記事を出典として挙げている |
| Optyino | AI経由トラフィック、表示スコア、引用スコア、ブランド特性 | 顧客の行動(ファネル) | クリックの前に起きる変化(表示・引用・ブランドの語られ方)と、クリックの後の流入を分けて見る |
| homula | AI Visibility(AI可視性)、Citation Rate(引用率)、Share of AI Voice(AI占有率)、Post-click Value(AI経由の事業価値) | 競合とのシェア・階層 | 4つの層を順に並べ、可視性から事業価値までをつなぐ |
出典:株式会社仁頼「GEO対策の効果測定|追うべき5つのKPIと測り方【2026年版】」(2026年9月9日更新)/AI検索パートナーズ「GEO対策の効果測定|追うべき5つのKPIと測定ツール活用法」(2026年8月26日更新)/Optyino「GEO効果計測で見るべき指標とKPIの考え方」(2026年6月24日更新)/homula「エンタープライズGEO戦略 — KPI設計・組織体制・ツール選定・リスク管理」(2026年3月更新)
どの会社も複数の指標を挙げていますが、中心に置く指標は同じではありません。
記事の本数だけで、業界の多数派の意見を判断しないことにも気をつけます。AI検索パートナーズの記事は仁頼の記事を出典として挙げていて、示している5つのKPIも共通しています。この2本が一致していることを、2社が別々に同じ結論にたどり着いた証拠とみなすことはできません。GEOのKPIを比べるときは、記事の数だけでなく、どの記事がどの情報源を参照しているかも確かめます。
各社の主張は、5つの型に分けられる
引用中心型
AIが自社のサイトやコンテンツを情報源として引用したか(Citation)を重く見る型です。「自社のコンテンツが引用される → AI経由の流入が生まれる → 問い合わせや購入につながる」という流れで考えます。
自社の調査、記事、製品情報をAIの情報源として使ってもらいたい会社に合う考え方です。出版社、調査会社、専門メディア、オウンドメディアでは、引用率や引用されたページの数が中心の指標になります。
引用は「AIがそのページを情報源として使った」ことを示す指標で、「AIがその会社を推薦した」ことまでは示しません。自社のページが引用されても、回答の本文にブランド名が出ないことがあります。反対に、ブランド名が挙がっても、その会社の公式サイトが引用されるとは限りません。
弊社の調査では、Geminiは化粧品ブランドのキュレルの名前を62回答で挙げていましたが、キュレルのページを引用していたのは、そのうち3回答でした(出典:株式会社FID/Genview「AIが会社名を出すとき、見ているのは自社サイトとは限らない」2026年9月)。引用の数だけを見ていると、この62回答での言及は数に入りません。
引用と言及の違いは、AI引用とは?AIに引用される仕組みと、引用元になりやすい情報源を15業界の調査で解説で詳しく解説しています。
言及中心型
リンクがあるかどうかではなく、AIの回答の中にブランド名や製品名が出たか(Mention)を重く見る型です。「AIの回答にブランド名が出る → 比較の候補として知られる → 指名検索やブランドの想起につながる」という流れで考えます。ブランドを知ってもらいたい会社や、AIが自社をどう認識しているかを確かめたい会社に合います。
言及されたことは、良い意味で推薦されたこととは違います。回答にブランド名が出ていても、「価格が高い」「この用途には向かない」など、会社が望まない文脈で説明されているかもしれません。古い料金や終わった機能が説明されていることもあります。言及の数と一緒に、情報が正しいか、どの特徴が説明されているか、推薦されているかまで確かめます。
競合とのシェア型
競合と比べて、自社がどれだけ登場・引用・推薦されているか(Share of Voice、SOV)を見る型です。GEOでは「Share of Model」などの名前が使われることもあります。
たとえば、大事な質問を100件観測して、自社が30件、競合A社が40件、競合B社が20件に出たなら、それぞれの相対的な存在感を比べられます。この型の特徴は、絶対数ではなく競合との関係を見られることです。自社の言及が前の月より増えていても、競合がそれ以上に増えていれば、相対的な位置は下がっているかもしれません。
シェアの値は、どの質問を対象にするかで大きく変わります。情報を集める段階の質問を多く入れるのか、比べて選ぶ段階の質問に絞るのかで、同じ会社でも結果は違います。言及、引用、推薦のどれを数えるかでも、計算の仕方が変わります。シェアを使うときは、何を分母にして、どの質問とAIを対象にした数字なのかを書き添えます。
顧客の行動(ファネル)型
AIの回答の中で出たかどうかに加えて、そのあとの顧客の行動まで段階ごとに追う型です。「AIの回答に出る → 比較の候補・推薦の対象になる → 自社サイトを訪れる → 問い合わせ・商談・購入につながる」という流れで考えます。GEOにかけた費用の効果を、事業の成果まで説明したい会社に合います。
AIに触れてからコンバージョンまでを、すべて追いかけるのは簡単ではありません。AIの回答でブランドを知った人が、リンクを押さずに、後日ブランド名で検索してサイトを訪れることがあります。この場合、アクセス解析では自然検索やDirectの流入として記録され、最初のAIとの接点は見えません。AIの回答の中で比較や情報集めが終われば、ブランドを知ったり推薦を見たりしていても、サイトへのクリックは起きません。AI経由の流入だけをGEOの成果にすると、クリックの前に起きた変化を小さく見積もることになります。
階層型
GEOのKPIを1つに絞らず、施策、AIの回答の上での変化、事業の成果を分けて管理する型です。
- 施策(Activity):コンテンツの改善、公式情報の整備、質問の設定など
- AIの回答の上での変化(Quality / Visibility):引用、言及、推薦、正確さなど
- 事業の成果(Outcome):流入、コンバージョン、商談、売上など
最終的な成果が出なかったときに、どの段階でつまずいたかを確かめられるのが、この型の利点です。測れる指標を増やしすぎると、何から直すかが分からなくなるので、中心のKPIと、途中を診るためのKPIを分けます。
共通する指標はあるが、どれを中心に置くかが違う
各社の公開記事には、次の指標がくり返し出てきます。
各社の公開記事にくり返し出てくる指標と、それぞれが測っているもの
| 指標 | 測っているもの |
|---|---|
| 引用(Citation) | 自社のURLやコンテンツが情報源として使われたか |
| 言及(Mention) | ブランド名・会社名が回答に出たか |
| 推薦(Recommendation) | 比較の候補や、おすすめの対象として扱われたか |
| シェア(SOV) | 競合と比べた、登場・引用・推薦の割合 |
| AI経由の流入 | AIのサービスからサイトへ流入したか |
| コンバージョン | 問い合わせ・購入・商談などにつながったか |
| 正確さ・文脈 | 正しく、望ましい文脈で説明されたか |
共通する項目はありますが、どれを一番上のKPIにするかは一致していません。引用を重く見る会社もあれば、言及やシェアを中心に置く会社もあります。AIの上での見え方は途中の指標にすぎず、コンバージョンや売上まで確かめるべきだとする考え方もあります。
どの会社が正しいかという話ではありません。GEOで達成したいことが違えば、合うKPIも変わります。
どの型を選ぶかは、変えたい顧客の行動で決まる
会社がGEOで何を達成したいかによって、中心に置くKPIの候補は次のように変わります。
GEOで達成したいこと別の、中心のKPIの候補と、途中を診るKPI
| GEOで達成したいこと | 中心のKPIの候補 | 途中を診るKPI |
|---|---|---|
| 自社の情報をAIの情報源にしたい | 引用率 | 引用のシェア、引用されたページ |
| ブランドを知ってもらいたい | 言及率 | シェア、正確さ、指名検索 |
| 比べて選ぶときに選ばれたい | 推薦率 | 推薦のシェア、言及 |
| 競合との位置を知りたい | AIでのシェア(SOV) | 引用のシェア、競合との差 |
| サイトへの流入を増やしたい | AI経由の流入 | 引用、エンゲージメントのあったセッション |
| 商談・売上につなげたい | コンバージョン・商談・売上 | 流入、推薦、シェア |
自社の調査記事をAIの情報源にしたいメディアなら、引用率が中心のKPIになり得ます。消費者向けのブランドが比較の回答に出たいなら、言及や推薦のほうが目的に近い指標です。BtoBの会社が商談を増やしたいなら、中心のKPIを商談数に置き、推薦やシェアを途中を診る指標として使う考え方ができます。
「GEO全体に共通する一番上のKPI」を決めるのではなく、自社がGEOで変えたい顧客の行動に合わせて、中心のKPIを決める。今の時点では、これがいちばん実務に合う考え方だと、私たちは考えています。
KPIを階層で組み立てる方法、回答が毎回変わるGEOでの測り方、ツールを選ぶ順番は、冒頭で紹介した「GEO対策のKPI」にまとめています。
よくある質問
Q GEOで、すべての会社に共通する一番上のKPIはありますか?
今のところ、決まったものはありません。情報源として使われることを重く見る会社なら引用率、ブランドを知ってもらいたい会社なら言及率、競合との比較ならシェア、事業の成果ならコンバージョンや商談が候補になります。GEOで変えたい顧客の行動から逆にたどって決めます。
Q AIの引用率だけをKPIにしてはいけませんか?
弊社の調査では、Geminiがキュレルの名前を挙げた62回答のうち、キュレルのページも引用していたのは3回答でした。引用率は、自社のコンテンツが情報源として使われたかを確かめる指標ですが、ブランド名が回答に出たか、比較の候補として推薦されたか、流入やコンバージョンにつながったかまでは分かりません。引用率を中心のKPIにする場合も、言及、推薦、シェア、事業の成果を途中を診る指標としてあわせて見ます。
Q GEOのKPIは、SEOのKPIとひとつにまとめるべきですか?
同じ指標としてまとめるのではなく、共通する事業の成果の下でつなぐ形が合っています。SEOでは順位、表示、クリック、自然検索からの流入を見て、GEOでは言及、引用、推薦、シェアを見ます。最後は、指名検索、流入、コンバージョン、商談、売上といった共通の成果で評価します。
Q GEO対策ツールを入れてから、KPIを決めてもよいですか?
先に事業の目的とKPIを決めるほうが、目的と測り方のずれが起きにくくなります。ツールを先に選ぶと、そのツールが出せる数字を、そのまま成果として使ってしまいがちです。事業の目的、変えたい顧客の行動、中心のKPI、必要なデータを整理してから、それを測れるツールを選びます。ツールの比べ方はGEO対策ツールの比較にまとめています。
まとめ
GEOには、SEOの検索順位にあたる、業界共通の1つのKPIがまだありません。決まった順位がなく、同じ質問でも回答や引用元が変わるうえ、引用・言及・推薦・シェア・流入・コンバージョンのどこを成果とするかも、会社によって分かれています。
4社の公開記事を並べると、考え方は引用中心・言及中心・競合とのシェア・顧客の行動・階層の5つの型に分けられました。どの型が正しいかではなく、自社がGEOで変えたい顧客の行動に合う型を選びます。
他社やツールが示すKPIをそのまま使う前に、自社が「情報源になりたい」のか、「ブランドを知ってもらいたい」のか、「比較の候補として推薦されたい」のか、「商談や売上につなげたい」のかを先に決めます。GEO対策全体の考え方は、GEO対策とはで解説しています。