著者:喜多 陽平(Genview チームリーダー / 株式会社FID) 公開:2026-06-15

プレスリリースでAIに名前が届いても、正しく理解されるとは限りません。

「GEOって結局、広報活動なんですか?」。最近、よく聞かれる質問です。

結論から言うと、GEOは広報に近い。ただ、広報だけでは完成しません。広報が「認知を作る活動」だとすれば、GEOは「認知されたブランドを、AIが理解できる状態にする活動」だからです。GEOは広報の仕事だ、と見る意見もあります。私はその見方に一部同意しつつも、少なくとも日本の広報の役割を考えると、広報だけではGEOは完成しないと考えています。

この記事では、広報がカバーできる範囲と足りないところを、弊社の調査と、自社で観察したことをもとに整理します。

30秒でわかる結論

  • AIの引用で一番多かったのは企業の自社サイトで、各回35.6〜60.0%でした
  • 報道・記事メディアの引用は、会計ソフトの1.5〜2.6%から動画配信の12.2〜20.1%まで、業界で開きがありました
  • 弊社が2026年8月1日にプレスリリースを出したあと、Gemini は一度新しい料金で答え、翌日には名前の似た別会社と混同しました
  • GEO対策は、広報だけの仕事ではありません。名前を届けるところは広報がカバーでき、AIが正しく説明できる情報を整えるところは、ほかの部署と組んで進めます

この記事で扱う範囲

GEOが広報に見える理由/名前が届くことと理解されることの違い/広報がカバーできる範囲と足りないところ(プレスリリースや一次情報の書き方は扱いません)

GEOが広報の仕事に見える理由

GEO対策でよく挙がることを並べると、たしかに広報の仕事に見えます。

  • プレスリリースの配信
  • メディアへの掲載
  • 第三者のサイトでの言及(サイテーション)
  • SNSでの言及

外部の情報は、AIの回答の材料になっています。弊社が5業界で30問を ChatGPT と Gemini に6回ずつ聞いた調査では、引用の中で一番多かったのは企業の自社サイトで、各回35.6〜60.0%でした。報道・記事メディアの引用は、会計ソフトで1.5〜2.6%、化粧品で10.5〜12.2%、動画配信で12.2〜20.1%と、業界によって開きがあります(出典:株式会社FID/Genview「ChatGPTとGeminiが引用するサイトは、業界でこんなに違う」2026年9月)。

AIによっても違います。4業界で各30問を6回ずつ聞いた調査で、名前が出た回答のうち、その会社のサイトも引用されていた割合は、ChatGPT では6ブランドとも85.5%以上でした。Gemini では0.0〜79.8%で、自社サイトを引用せずに名前を出す回答が多いブランドもありました(出典:株式会社FID/Genview「AIが会社名を出すとき、見ているのは自社サイトとは限らない」2026年9月)。

メディアや第三者のサイトに載ることは、GEOにとっても材料になります。その重みは業界やAIで違い、自社サイトに代わるものでもありません。

プレスリリースで名前は届いても、理解されるとは限らない

名前が知られることと、AIに正しく説明されることは別です。弊社の観察を1つ紹介します。

Genview は2026年8月1日に、料金プランの統合を含む機能と料金の変更を、プレスリリースで発表しました。そのあと「Genviewとはどんなサービスですか?」をAIに聞き続けると、Gemini は8月5日に新しい料金で答えました。ところが8月6日には前の説明に戻り、種苗業界向けの別サービス「GenVIEW」を引用して、無関係な会社と混同しました。8月7日には混同がなくなっています(出典:株式会社FID/Genview「AIの回答はいつ最新になる?自社の機能・価格変更を2週間観測してみた」2026年8月)。

質問1つで確かめた、1社の観察です。それでも、発表した内容がAIに届いたあとも、説明が行き来したり、名前の似た会社と混ざったりすることは分かりました。プレスリリースで届くのは名前と発表の中身までで、「何の会社か」「誰向けか」「ほかとどう違うか」までAIが取り違えずに説明できるかは、別に確かめる必要があります。

AIは記者会見に来ない

ここに、広報とGEOのいちばん大きな違いがあると私は考えています。

人の記者は、プレスリリースを読んだあと、担当者に取材します。質問し、確認し、理解してから記事を書きます。認知から理解までのあいだを、記者が自分から埋めてくれます。

AIは取材しません。質問もしませんし、確認もしません。公開されている情報を読むだけです。

つまりAIに対しては、記者が取材で補っていた「理解の部分」を、企業の側が情報として用意しておく必要があります。「このサービスは何か」「誰の課題を解決するか」「ほかとどう違うか」。記者なら取材で引き出す情報を、AIは自分から取りに来ません。だから、その情報をWebに置いておきます。

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広報がカバーできる範囲と、足りないところ

日本の広報の仕事は、一般的にはメディア対応、プレスリリース、危機管理が中心です。FAQの整備や構造化データの実装まで広報部門が担う会社は、多くないと感じています。そこで、GEO対策でやることを、広報が中心で担えるものと、ほかの部署と組んで進めるものに分けてみます。

GEO対策でやることと、広報の担当範囲(筆者の整理)

やること 広報 組む相手
プレスリリース・メディア掲載 中心で担える ―
会社名・サービス名の表記をそろえる 中心で担える Webサイトの担当
独自調査・導入事例などの一次情報を出す 発信は担える 事業部(数字の定義、お客様の許可)
サービスの説明・FAQ・比較のページ 足りないところ マーケティング、コンテンツ、営業
構造化データ 足りないところ Webサイトの担当・開発
AIの回答を続けて確かめる 一緒に見る マーケティング

名前を届ける部分は、広報がカバーできます。足りないのは、AIが「何の会社か」を取り違えずに説明できるだけの情報を、自社のページに用意しておく部分です。ここは、事業の中身を知っている部署や、Webサイトを直せる部署と組まないと進みません。一次情報の作り方は、GEO対策で使う一次情報の作り方で解説しています。

GEOは、AI時代の広報なのか

SEOが「ページを見つけてもらう活動」だとすれば、GEOは「ブランドを理解してもらう活動」です。SEOが主にページ単位の最適化なのに対して、GEOはブランドそのものがどう認識されるかを扱います。その意味で、GEOはSEOよりも広報に近い形をしています。SEOとの違いは、GEOとSEOの違いとは?8つの観点で比較で整理しています。

それでも日本では、広報だけで完結するものではありません。広報、マーケティング、コンテンツの担当が組んで、はじめて成り立つ活動だと私は考えています。

GEOは広報ではありません。けれど、AI時代の広報を定義し直したもの、とは言えるかもしれません。

よくある質問

Q GEO対策は、広報の仕事ですか?

A

広報だけの仕事ではありません。プレスリリースやメディア掲載で名前を届けるところは、広報がカバーできます。AIが「何の会社か」「誰向けか」を取り違えずに説明できる情報を、サービスの説明やFAQ、構造化データとして整えるところは、マーケティングやWebサイトの担当、事業部と組んで進めます。

Q プレスリリースを出せば、AIに正しく紹介されますか?

A

正しく紹介されるとは限りません。弊社が2026年8月1日に機能と料金の変更を発表したあと、Gemini は一度新しい料金で答え、翌日には前の説明に戻って、名前の似た別会社と混同しました。発表のあとは、AIがどう説明しているかを何日かに分けて確かめます。

Q メディアに載ることは、GEO対策に関係ありますか?

A

関係します。AIは、報道や記事メディアも引用しています。弊社の5業界の調査では、報道・記事メディアの引用は会計ソフトの1.5〜2.6%から動画配信の12.2〜20.1%まで、業界で開きがありました。一番多く引用されていたのは、どの業界でも企業の自社サイトです。

まとめ

GEOは広報に近い活動です。プレスリリースやメディア掲載で名前を届けるところは、広報がカバーできます。一方で、名前が届いても、AIが正しく説明できるとは限りません。弊社の発表のあとも、Gemini は説明が行き来し、名前の似た会社と混同しました。

AIは記者会見に来ません。だから企業は、知ってもらうための情報だけでなく、理解してもらうための情報も、自分で公開しておく必要があります。それが、私の考えるGEOです。

この記事を書いた人

喜多 陽平 / Kita Yohei

Genview チームリーダー / 株式会社FID

株式会社FIDにて、CRMツール「MOTENASU」および侍カートの営業・マーケティングを担当。海外のGEO・AI検索に関する最新情報をいち早くキャッチし、日本語で整理・発信することを得意としています。

GEOはまだ国内に一次情報が少ない領域です。海外のレポートや調査を正確に読み解き、日本のビジネス文脈で使えるかたちに届けることが、喜多の役割です。

専門領域:海外GEO・AI検索動向のリサーチ / SaaS・CRMツールの営業・マーケティング / 海外情報の翻訳・整理・発信

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